日銀、マイナス金利解除を決定 今後の見通しは?植田総裁「当面緩和的な金融環境が継続」

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18日午前、金融政策決定会合に出席するため日銀本店に入る植田和男総裁

日本銀行は、きょうまで行われた金融政策を決める会合で、マイナス金利の解除を決めました。

日本銀行 植田和男 総裁
「2%の『物価安定の目標』が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った。大規模な金融緩和政策は、その役割を果たした」
日本銀行の植田総裁は午後3時半ごろから開かれた会見で、「賃金と物価の好循環を確認した」としてマイナス金利政策の解除を決定したと話しました。
およそ17年ぶりの利上げで、長期金利を低く押さえ込むためのイールドカーブ・コントロールと呼ばれる金融政策も終えるとしています。
一方、今後の見通しについては。
植田総裁
「現時点の経済・物価見通しを前提にすると、当面緩和的な金融環境が継続する」
すぐに追加の利上げはしないことを示唆しました。
午後に日銀の決定が伝わったあと、円相場は150円台まで円安が進んだほか、日経平均株価は2週間ぶりに4万円台を回復して取引を終えています。

「1000兆円」を超える借金…「利上げ」で返済の金額も跳ね上がる パンパンに膨らんだ国債残高の行方は

 日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決めた。今後は次の利上げのタイミングを模索するが、国の借金である国債の利払い費が増えることも、金利上昇時に生じる懸念だ。財政の専門家は「国債費の増加が重荷になる前に、予算の見直しなど財政再建を急ぐ必要がある」と指摘する。

◆金融緩和前に比べて「1.5倍増」

 マイナス金利など日銀の大規模緩和の下では金利が低く抑えられるので、政府は借金である国債発行をしやすくなり財政が緩んだ。緩和開始前の2012年度末に705兆円だった国債残高は22年度末に1027兆円に膨張。23年度末には1075兆円に達する見込みで、緩和前の1.5倍となる。

 財務省は2月、金利が上昇した際の利払い費増について試算を公表した。名目経済成長率3%と消費者物価上昇率2%を前提にした場合、27年度の想定金利は2.4%に上がると仮定。利払い費は15.3兆円に増え、24年度の9.7兆円から1.6倍に増える。

 国の予算は膨張を続けており、24年度の一般会計当初予算における歳出総額は112兆円。そんな中、政府は27年度までの5年間における防衛費を総額43兆円に増やす方針で、今後税収が増えなければ、子育てや社会福祉など暮らしに欠かせない予算を圧迫しかねない。

 日本総合研究所の河村小百合氏は「歳出削減と並行し、欧米のように業績絶好調の企業や富裕層に応分の負担を求めるなど、国全体で財政再建に取り組むことが必要だ」と強調する。(高田みのり、市川千晴)