岸田首相に銀色の物体を投げつけた男、50代の漁師が取り押さえる…「とっさに体が動いた」

 岸田首相が演説のために訪れた和歌山市の雑賀崎漁港で15日、銀色の物体が投げつけられ爆発音がした事件で、目撃者らは「安倍元首相が銃撃された事件を思い出した」と声を震わせた。

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演説前の岸田首相。この直後、男が取り押さえられた(15日午前11時27分、和歌山市で)=宇那木健一撮影

 現場で取材していた記者や複数の目撃者によると、岸田首相は午前11時過ぎ、黒い車で漁港に到着した。制服を着た警官や、スーツ姿のSPのような男性10人以上に囲まれていた。

 岸田首相は漁港関係者からエビなどを振る舞われ、笑顔で試食。その後、演説のために前方へ移動すると、岸田首相と向かい合うように多数の人が半円状に集まった。

 岸田首相が演説を始めようとしたところ、逮捕された男が、煙の出た銀色の筒を岸田首相の方に向かって投げ込んだ。女性の「キャー」という叫び声が聞こえ、前方にいた人々が後ろに走り出してきた。「離れて」と男性のどなり声がした。煙が見えてから30秒くらいたった後、破裂音が聞こえたという。

 男を取り押さえた50歳代の漁師の男性は「最初に何かを投げてまたリュックから何か出そうとしていた。とっさに体が動いて取り押さえた」と話していた。

 現場に居合わせた40歳代の女性は「まさかこんなことが起きるなんて。安倍元首相が銃撃された事件を思い出した」と声を震わせた。

 事件現場の漁港近くでたこ焼き店を営む女性(81)は「ドーンという音がしたので、驚いて外に出たら煙が上がっていた。岸田首相が来ていたので、何があったのか心配していた」と話した。

 現場から約100メートル離れた場所で飲食店を営む男性(68)は、「突然大きな音がし、衝撃を体に感じた」と振り返る。男性は当時、店の2階から窓を開けて現場を見ており、「ドン」と大きな音がした後に、煙が上がったのが見えたという。

 男性は「安倍元首相の事件に続いてこんなことが起きて、驚いた。けが人がなく、すぐに男が確保されてよかった」と語った。