再婚後出生なら現夫の子 改正民法施行、嫡出推定見直し―相続登記も義務化

image

法務省の看板=2023年12月、東京・霞が関

 妊娠や出産の時期から子の父親を推定する「嫡出推定」制度を見直す改正民法が1日、施行された。離婚から300日以内に生まれた子は「前夫の子」とする規定に例外を設け、女性の再婚後なら「現夫の子」と推定する。1日以降に生まれた子から適用される。所有者不明土地を解消するため不動産の相続登記を義務化する改正不動産登記法も同日、施行された。

 嫡出推定は、女性が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定し、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子、結婚・再婚から200日経過後に生まれた子は現夫の子と推定する制度。扶養義務を負う父親を早期に確定する目的があり、1898(明治31)年施行の民法で規定された。

 女性が離婚から300日以内に別の男性との子を出産した場合、前夫の子と扱われることを避けるために出生届を提出しないケースがあり、無戸籍の子が生じる要因と指摘されてきた。法務省によると、昨年4月時点で無戸籍者は779人に上り、その約7割が嫡出推定を理由に出生を届け出なかった。

 これまでは、父親が前夫か現夫かを推定する期間が重なるため、女性に限って離婚後100日以内の再婚を禁止してきた。嫡出推定制度の見直しに伴い、女性の再婚禁止期間は撤廃された。

 改正民法は2022年12月に成立した。従来は父親だけに認められた「嫡出否認」の申し立ては、子と母親も行えるようになった。既に無戸籍の場合、25年3月末まで嫡出否認の申し立てが認められる。

 改正不動産登記法は21年4月に成立。今年4月以降、相続人は土地の取得を知った日から3年以内の登記申請が義務となる。重病などの正当な理由なく申請を怠れば、10万円以下の過料の対象となる。4月以前に相続した場合も、未登記であれば27年3月末までに申請を行わなければならない。

 所有者不明土地は、相続時に登記が変更されないなどの理由で生まれる。合計面積は九州より広いとされ、公共事業や民間取引の障害となっている。