2024年1月下旬に、厚生労働省から「2024年度の年金額例」が公表されました。
2024年度は2.7%の増額改定となりましたが、具体的に国民年金・厚生年金それぞれでどのくらいの年金受給が期待できるのでしょうか。
本記事では、2024年最新データから年金額改定について詳しく解説していきます。
国民年金・厚生年金それぞれの平均受給額についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 2024年度の年金額は2.7%増額改定へ
厚生労働省によると、2024年度の年金額例は下記のとおりです。
2024年度の年金額の例
出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円(対前年度比+1758円)
国民年金は満額受給を想定した1人分の額例となっており、40年間未納なく保険料を納めていた場合は6万8000円を受け取れます。
一方で厚生年金は、夫婦2人分の額であり、国民年金を含む標準的な年金額となっています。
厚生年金の「モデル夫婦(標準的な年金額)」の内訳は下記のとおりです。
つまり、夫が40年間会社員として43万9000円を稼いでおり、妻が40年間専業主婦(もしくは自営業)である場合、2人分の年金として23万483円を受け取れます。
昨年度と比較すると、国民年金・厚生年金ともに年金額が増額しており、2.7%の引き上げとなります。
しかし、近年では増額率を上回る物価上昇となっていることから、実質的には目減りとなっています。
そのため、年金額は増額改定にはなっていますが、物価上昇率が年金の増額率を上回っていることから、素直には喜べない数字といえます。
2. 「国民年金・厚生年金」平均受給額はいくら?
前章では、2024年度の年金額例について紹介しましたが、この金額はあくまでも一例となっています。
特に厚生年金の金額例は、現役時代の収入や就業期間が限定的であるうえ、妻が専業主婦であることが想定されているため、共働き世帯の多い現代においては、該当しない世帯が多いとうかがえます。
では実際、国民年金・厚生年金をどのくらい受給しているのでしょうか。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金・厚生年金の全体及び男女別の平均月額は下記の結果となりました。
【国民年金】
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
【厚生年金】
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
国民年金・厚生年金それぞれの受給額別の人数も見ていきましょう。
2.1 【国民年金】受給額別の人数
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の受給額別の人数は下記のとおりです。
【国民年金】受給額別の人数
出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
2.2 【厚生年金】受給額別の人数
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額別の人数は下記のとおりです(国民年金の金額を含む)。
【厚生年金】受給額別の人数
出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
国民年金のボリュームゾーンは6〜7万円となっており、多くの人が満額に近い金額を受給できていることがわかります。
一方で厚生年金の受給割合にはバラつきが生じており、受給額に個人差があることがみてとれます。
厚生年金は現役時代の年収や加入期間によって受け取れる受給額が変わるため、国民年金よりも個人差が生じやすくなっています。
より詳しくご自身の年金見込額を知りたい場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで確認してみると良いでしょう。
3. 2024年度の年金受け取りは6月支給分から
次回の年金支給月は、2024年4月15日ですが、改定された年金額を受け取れるのは「4月」ではなく「6月」となっています。
公的年金は、偶数月に「前月分」と「前々月分」が支給されます。
つまり、2024年度4月支給の年金は「2023年度2月分」と「2023年度3月分」の年金が支払われるのです。
2024年度改定後の年金支給の開始月は6月(2024年度4月分・5月分)となりますので、ご留意ください。
4. 自分の将来受け取れる年金額を確認しておこう
本記事では、2024年最新データから年金額改定について詳しく解説していきました。
将来受け取れる年金は、現役時代に加入している年金保険や年収、加入期間によって個人差があるため、ご自身が受け取れる年金額を事前に確認しておきましょう。
確認をしてみて「思っていたよりも少ない」と感じた場合は、今のうちから年金だけに頼らない老後対策を考えておけると安心です。