じつは確定申告しないと損する人…今まで誰も教えてくれなかった、税金が戻る「意外な事例」

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確定申告で税金が戻る「意外な事例」

「自宅を購入したときの住宅ローン控除については、ほとんどの方が忘れることなく確定申告で申請しています。ですが、自宅をリフォームするために資金を借りても、住宅ローン控除が申請できることを知らない方は多いんです。自宅をバリアフリー化したり、耐震補強することを検討しているシニア世代の方は、こまめに調べましょう。申請しなければ大きな損をしてしまいます」(税理士の板倉京氏)

今年も確定申告の時期が近付いてきた(2月16日~3月15日)。

会社員や公務員などで年収2000万円を超える人や個人事業主、公的年金収入が400万円を超える人など、確定申告の義務がある人にとっては恒例行事だろう。

他方、それ以外の人は「自分には関係ない」と気にも留めていないに違いない。だが、板倉氏が述べた住宅ローン控除のように、確定申告をしないと損をする場合も多々あるのだ。

年に400万円以下の年金生活をしている人でも、確定申告をすれば年金から引かれた所得税が還付される。その一つの例が雑損控除である。

前出の丸山氏が語る。

「元日の能登半島地震はもちろんですが、台風や豪雨などで屋根やひさしなどが壊れた場合に活用したいのが、雑損控除です。災害や盗難のほか、シロアリの被害に遭ったときも、確定申告で申請できるんです」

場合によってはかなりおトク

雑損控除は、日常生活に必要な住宅や家財、衣服、現金などが対象となる。壊れたり使えなくなったものを修理する費用などが災害関連支出として申告できるのだ。

ただし、時価30万円超の骨董品や貴金属、別荘などは日常生活に必要ではない資産とみなされるので対象外、振り込め詐欺や恐喝による被害も対象外だ。

実際にはどのくらいトクをするのか。前出の板倉氏にモデルケースをもとに算出してもらった。

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■年金収入300万円の70歳独身男性が、地震で家財の損壊など100万円の被害を受けた

この男性の場合は年金収入が400万円を超えていないので、確定申告する必要はない。だが、地震保険が適用されたとしても、確定申告をしたほうが良いという。

「仮に地震保険で保険金が30万円ほど支払われるとすれば、残りの被害額70万円を雑損控除として申告できます。計算してみると、控除を申告しない場合の所得税が6万1000円かかるのに対して、申告する場合は3万5500円なので、差額の2万5500円が還付されることになります」(板倉氏)

ただし、確定申告は前年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得が対象となることに注意しよう。

今年の被害は2月から始まる確定申告では申告できず、来年の申告となる。もし昨年に災害や盗難などに遭った人は申告するのも手だ(証明書等がなくても申告可)。

配当控除でおトクになる人

株の配当金や投資信託の分配金のような所得があった場合も、控除を受けられる(配当控除)。

課税総所得金額が、所得税率が20%となる695万円以下の人は、申告したほうがトクになるというが、この事例についても板倉氏に算出してもらった。

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■年間所得250万円の個人事業主の63歳男性(妻と2人暮らし)に、株の配当金が50万円入った

「個人事業主なので確定申告は毎年している人ですが、株の配当控除も加えて申告したほうがよいです。計算したところ、2万5000円ほどおトクになりました」

最も身近なもので申告できる控除といえば、やはり医療費控除だろう。

自身の病気やケガだけでなく、家族が治療を受けてかかった費用の合計額が年間10万円を超えたら、所得から最高200万円まで控除できるのだ。

では、多額の医療費がかかった場合を算出してみよう。

「週刊現代」2024年2月3・10日合併号より