いま一番「餃子」が売れている”意外な街”を大公開…!宇都宮、浜松、宮崎で「旨さ」にこれだけの違いがあった

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家庭料理としても、外食の定番としても、老若男女に人気の「餃子」。1世帯当たりの年間支出金額がもっとも高い「餃子の街」は、どこだか知っているだろうか。

宇都宮? それとも浜松? 実は餃子業界では、我々の知らない熾烈な争いがくり広げられていたのである──。

2022年、「餃子の街」1位は宮崎市!

総務省の最新の家計調査によると、宮崎市(宮崎県)の1世帯当たりの餃子の2022年支出額は、4053円。3763円の宇都宮市(栃木県)と3434円の浜松市(静岡県)を抑え、見事2年連続全国1位の快挙を成し遂げた。

総務省による「家計調査(2人以上の世帯)1世帯当たりの餃子年間支出金額の推移」をもとに作成総務省による「家計調査(2人以上の世帯)1世帯当たりの餃子年間支出金額の推移」をもとに作成

「餃子といえば宇都宮か、浜松か」……。競り合う2都市の間に入るどころか、じわじわと近づき一気に両者を追い抜いていった宮崎に、驚きを隠せない人も多いだろう。

ここで、宮崎・浜松・宇都宮のご当地餃子の特徴について、簡単にまとめてみる。

宮崎餃子:宮崎市ぎょうざ協議会のwebサイトによると、「宮崎県産の肉と新鮮な野菜を使った餡を包み込み、焼き上げる餃子。シンプルな料理だからこそ、素材の旨みが引き立つ」とのこと。エサや飼育方法にこだわった「宮崎ブランドポーク」に柔らかく甘いキャベツの組み合わせは、農畜産業が盛んな宮崎県ならでは。ラードでカリッと焼き上げる特徴も多く見られる。

宇都宮餃子:宇都宮市公式webサイトによると、「宇都宮の餃子は、焼、揚、水などの種類があり、店舗によって大きさや素材、皮の厚さや熟成度、包む具合やはねの大きさ、つけだれなどが異なり、さまざまな種類を楽しむことができます」とのこと。肉やにんにくは控えめで、野菜中心のジューシーな食感が特徴ともいわれる。

浜松餃子:浜松餃子学会のwebサイトによると、「3年以上浜松に在住して、浜松市内で製造した餃子」を定義とするそう。作り方や材料は問わず、浜松で作られていることが重要なようだ。特徴は「キャベツ中心のあっさり味に、豚肉のコクを併せ持つ」こと。円形に並べた餃子の中心に、もやしが盛られたスタイルも有名だ。

店舗や家庭によって具材も焼き加減もそれぞれということがわかった。「餃子の街」へ行った際はぜひ、お気に入りの一皿を見つけてほしい。

餃子人気、3つの理由

そもそも餃子はなぜ、子どもから大人までこんなにも愛されているのだろうか。

1.安くておいしい、外食の定番

餃子には大手のチェーン店がいくつも存在し、店舗数も多い。また安価なため、気軽に行ける外食として定着している。

2.有名店の持ち帰りなど「中食」としても便利

小さい子どもがいる家庭など、外食が難しい場合でも、持ち帰ってすぐ食べられる店舗が多い。スーパーで買える冷凍食品や無人餃子販売所も増加していて、いつでもどこでもおいしい餃子が食べられる。

3.すぐれた食材バランス

肉・野菜・炭水化物と食材のバランスが優れていて、家庭料理としても優秀。親子でいっしょに作れて、子どもも食べやすい。

餃子は食べるタイミングや場所を選ばず、さまざまな年齢層の人々に愛される、日本人にとって非常に身近な料理なのだ。

餃子は絵本の世界でも大人気!?

さて、そんな人気者の餃子が最近、意外な界隈で話題になっているようで……。

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絵本『ぎょうざが いなくなり さがしています』(作:玉田美知子)より

出版経験のないアマチュアのみが応募資格を持ち、絵本作家の登竜門ともいわれる「講談社絵本新人賞」。2022年におこなわれた第43回で最高賞を受賞した作品の主役は、そう、なんと餃子である。

タイトルは『ぎょうざが いなくなり さがしています』。餃子がいなくなったという町内放送を聞いた少年が、その理由をあれやこれやと妄想するストーリーだ。もしかして水餃子と喧嘩して、お店を飛び出したんじゃないか、とか、5つのひだが嫌になっちゃって、春巻きになる旅に出たんじゃないか……とか。

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絵本『ぎょうざが いなくなり さがしています』(作:玉田美知子)より

作者の玉田美知子さんは、地域で日々流されている町内放送を聞いて、この物語を思いついたという。中学生で絵本作家を志してから30年。私生活が落ち着いたことをさかいに、本当にやりたかったことに挑戦しようと絵本教室に通い始め、念願のデビューを果たすことができた。

そして玉田さんは、夢を叶えるきっかけをくれたともいえる餃子の大ファン。受賞からデビューまでの日々を受賞者自ら書き上げる「制作日記」では、毎回出会った餃子や自作の餃子の写真をアップする熱の入れようだ。

ともあれ、この絵本には正解がないため、子どもは想像力を身につけられるし、大人からしても奇想天外な展開がかなり面白い。親子で「餃子はどうしていなくなったと思う?」と意見を交換しあうのもおすすめだ。

餃子×ご当地! コラボイラストを公開

さて、第43回講談社絵本新人賞の受賞作『ぎょうざが いなくなり さがしています』の出版を記念して、10月8日の「宮崎日日新聞」「静岡新聞」「下野新聞」の1面には、広告が掲載された。

これらの新聞は、冒頭で紹介した“餃子の町”3都市に配布される地方紙だ。

全国3県でしか見ることのできないレア広告となったが、そこで絵本の著者・玉田美知子さんがご当地のコラボイラストを描き下ろしているので、紹介したい。

国の天然記念物に指定されている「御崎馬」などが有名な、宮崎とのコラボイラスト国の天然記念物に指定されている「御崎馬」などが有名な、宮崎とのコラボイラスト

国の天然記念物に指定されている「御崎馬」などが有名な、宮崎とのコラボイラスト

「餃子のビーナス」を彫った「餃子像」がある、宇都宮とのコラボイラスト「餃子のビーナス」を彫った「餃子像」がある、宇都宮とのコラボイラスト

「餃子のビーナス」を彫った「餃子像」がある、宇都宮とのコラボイラスト

「楽器の街」としても知られている、浜松とのコラボイラスト「楽器の街」としても知られている、浜松とのコラボイラスト

このゆるさが、なんとも癖になる。著者の餃子愛が伝わったのではないだろうか。

ライバル? 戦友? 新聞社からメッセージ

絵本の広告を掲載するにあたり、各新聞社からX(旧Twitter)などを通じて、コメントが届いた。

<■宮崎日日新聞
「ぎょうざがおらんごつなってさがしちょるとよ。」
8日付の宮崎日日新聞に全国で3つの“ギョーザ県”でしか見ることのできない広告を掲載しました。宮崎県民の皆さま、ぜひ紙面でギョーザを探してみてください。

■静岡新聞
毎年の餃子消費量はどうかと気になるが、何位だとしても浜松餃子が大好きだ!という人も餃子探しの旅に出かけよう。絵本とともに、宇都宮、宮崎よりジューシーな日常を。
講談社から玉田美知子さんの絵本『ぎょうざが いなくなり さがしています』が発売中!

■下野新聞
主人公はギョーザです。講談社から玉田美知子さんの絵本『ぎょうざが いなくなり さがしています』が刊行。県民なじみのギョーザの逃走?物語。下野新聞ほか、静岡新聞、宮崎日日新聞にもギョーザを探す声!?
皆さん、浜松と宮崎を寄せ付けない餃子愛で書店にギョーザを探しに行こう!

「餃子の街」1位を巡り激戦を重ねる間柄らしく、一部にメラメラと燃え盛る意思が感じられる。ますます熱くなるご当地餃子バトルと、思わぬところまで展開が広がる餃子の今後に、乞うご期待。

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ぎょうざが いなくなり さがしています

ぎょうざが いなくなり さがしています(作:玉田美知子)
「ほんじつ ごご2じごろ おおばまち にらやまの ぎょうざが いなくなり さがしています。とくちょうは……」。町内放送を聞いたとしおくんは、餃子がいなくなった理由を考えはじめ……。