生活習慣病のリハビリ①】慢性腎臓病には生活習慣の改善とウォーキングがおすすめ!

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杉浦 良介
リハコネ 【訪問リハビリ】 代表
著者杉浦 良介
保有資格:理学療法士
専門分野:訪問看護, 訪問リハビリ
通所リハビリ・訪問看護・回復期病棟・訪問リハビリでの経験のある理学療法士。YouTube「訪問リハ&訪問看護&介護保険【制度マニア】」、訪問リハブログ「訪問リハビリ・訪問看護情報サイト」、訪問看護ブログ「ビジケア訪問看護経営マガジン」で介護保険制度や訪問リハ、訪問看護などの情報発信をして…続きを読む

「慢性腎臓病ってどんな病気?」
「慢性腎臓病の予防やリハビリってどんなことがあるの?」

慢性腎臓病は生活習慣病の一つに数えられ、高齢者になるとかかりやすくなるとされています。
生活習慣病は、厚生労働省によると「生活習慣が原因で起こる疾患の総称」と定義されています。
逆に、生活習慣を整えると多くの病気の予防になるとも考えられます。
本記事では慢性腎臓病の予防策や、かかったときの生活上の注意点などをご紹介いたします。

慢性腎臓病とは?

慢性腎臓病とは、「腎臓の障害あるいは腎機能低下が3ヵ月以上持続している状態のこと」をいいます。症状は幅広く、軽いレベルから重たいレベルまであります。

また、この病気は高齢になるにつれてかかりやすくなるとされ、80代では約2人に1人が罹患しているというデータもあります。

慢性腎臓病の原因は以下のようなものがあります。
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また、主な症状は以下の通りです。
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最近では、慢性腎臓病があると、心疾患(狭心症や心筋梗塞、心不全)や脳血管疾患(脳梗塞など)の発症リスクが高くなることもわかってきました。

慢性腎臓病は悪化すると「末期腎不全」となり、人工透析が必要になります。そのため、慢性腎臓病は、早期発見・早期治療がとても重要であると言われています。

原因となる生活習慣

慢性腎臓病のすべてが、生活習慣病が原因ではないですが、生活習慣病に気をつけることで防ぐことができる場合もあります。

慢性腎臓病は以下のような生活習慣病に関連が強いとされています。
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生活習慣病による慢性腎臓病は、上記のように原因となる生活習慣を早期から治療することにより、進行をおさえることができます。

生活習慣の改善は慢性腎臓病の進行抑制だけでなく、心血管疾患の予防にも非常に重要です。

慢性腎臓病予防にはどんな生活習慣の注意が必要?

慢性腎臓病予防のために、特に重要なことを紹介いたします。

食事・減塩

バランスの良い食事を心がけ、ビタミンやミネラルを十分に摂取することで、体の健康を保つことができます。また、塩分の摂取制限も大切です。高塩分の食事は高血圧の原因となり、腎臓に負担をかけます。日常の食事で塩分の取り過ぎに注意しましょう。

禁煙

喫煙は血管を狭め、血流を悪くする原因となります。これにより、腎臓への血流が低下し、機能低下を招きやすくなります。喫煙は早めにやめることをおすすめします。

禁酒

過度なアルコール摂取は腎臓の働きを低下させるだけでなく、高血圧や肝臓の病気を引き起こす可能性があります。節度を保った飲酒を心掛けましょう。

ストレス

長期間のストレスは高血圧や心疾患のリスクを高めます。リラックスする時間を確保する、趣味やリフレッシュの時間を持つなど、心身のストレスを解消する工夫が必要です。

運動不足

定期的な運動は、高血圧や糖尿病、肥満の予防に役立ちます。日常生活に軽い運動を取り入れることで、腎臓の健康を守ることができるでしょう。
画像提供:photo AC

生活習慣を少しずつ改善していくことで、長く健康な生活を送ることができます。

慢性腎臓病のリハビリの方法や注意点

上述したように慢性腎臓病には運動不足解消が有効です。従来は腎臓病患者には運動療法は推奨されていませんでしたが、最近では運動療法を推奨する方針に大きく変わってきています。

ただし、慢性腎臓病と言ってもその人の心身状態や基礎疾患の有無など、それぞれ異なります。
そのため、その人に合った運動(リハビリ)の内容や負荷は医師や理学療法士などに相談しながら実施してください。

ここでは一般的に慢性腎臓病患者に有効とされている運動メニューを2つ紹介します。

有酸素運動

慢性腎臓病には有酸素運動が有効だと考えられています。主に以下のような効果があるといいます。

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方法としてはウォーキングがおすすめです。ただし、ジョギングや早歩きなどは運動強度が高くなってしまいますので実施するときは専門家の指導の下、実施しましょう。 また、自転車エルゴメーター※などを低負荷で実施することも良いとされています。

※自転車こぎ運動をすることで評価をする器具

筋肉に抵抗をかけるレジスタンス運動

慢性腎臓病には、スクワットをはじめとしたレジスタンス運動が有効だとされています。
スクワットであれば自分ができる程度の回数(運動強度)を決めて、それを1セットにして、1日1~3セットを実施しましょう。1~2日おきの実施をおすすめします。

まとめ

今回は慢性腎臓病についての概要と生活習慣病予防の大切さ、リハビリの方法について解説しました。

生活習慣病を予防することで慢性腎臓病だけでなく多くの病気の予防につながります。
普段から適度な運動、バランスのとれた食事、規則正しい生活習慣、禁煙、ストレス軽減などに気をつけましょう。

また、人それぞれ状態や症状は異なりますのでリハビリや治療方針は、主治医やリハビリ専門職と相談しながら実施することをおすすめします。