「田舎の家」は売れない?更地にして売った方がいい?売却を成功させる方法を解説!

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田舎の家・田舎の土地は、売却に困りやすいと言われます。
昨今は売れない田舎の物件が多くなり、空き家が増加していることが大きな社会問題にもなっています。実際に「誰も住んでいない実家を売りたいけど、売れなくて困っている」と頭を悩ませている方もいるでしょう。

そこでこの記事では、田舎の家はなぜ売れないのか「売却に困りやすい理由」を解説したうえで、正しい売却方法や売却時の注意点などを解説していきます。

1. 田舎の家が売れないと言われる理由

バツのプレートを出す手
まずは、田舎の家が売れないと言われる理由について整理していきましょう。
具体的な理由は次のとおりです。

  • 生活利便性が低い
  • 建物の老朽化への不安
  • 維持費の負担が大きい
  • 対応できる不動産会社が少ない
  • このようにさまざまな要因があるため、田舎の家は売れ残りやすい傾向にあります。
    それぞれの理由について詳細を見ていきましょう。

    生活利便性が低い

    田舎の家は、生活利便性が低いため、売却に困りやすい傾向にあります。

    中心地にある物件は、周りにスーパーやコンビニ、教育機関や医療機関が充実しています。さらに交通利便性も高いため、総合的に快適に暮らせるのが特徴です。

    一方で田舎の家は、周りは山と畑だらけで、最寄りのコンビニまで車で30分もかかるというケースも少なくありません。公共交通機関もなく、通勤・通学には不便さを感じることも多いでしょう。
    田舎の家には総合的に不便な点が多く伴うため、積極的に購入したいと考える方は少ない傾向にあります。

    建物の老朽化への不安

    田舎の家は、築年数が長く経過した、古い建物であることが多いです。

    家の老朽化が進めば、設備の不具合や故障、災害による倒壊などのリスクが増すため、管理コストは大きくかかります。とはいえ老朽化した部分を放置すれば、住むうえで常に不安や不便さが伴いますし、周囲にも迷惑をかける可能性があります。

    「老朽化して見た目が悪いので、修繕してほしい」と近所から苦情が来ることも考えられるでしょう。

    維持費の負担が大きい

    田舎の家は、維持費の負担が大きいため、持つうえで多くの負担を許容する必要があります。

    古い家は経年劣化によって老朽化するため、安心して住み続けるためには、さまざまな修繕を施さなければなりません。大々的にリノベーション工事を行うにしても、骨組みのみを残してほとんどを作り変える工事の場合は、工事内容によっては新築を購入するくらいの費用がかかることもあります。

    常に維持するために気を配らなければならないため、費用だけでなく、劣化箇所を調べたり修繕計画を立てたりする総合的な手間もかかってくるでしょう。

    対応できる不動産会社が少ない

    田舎の家は上記の理由から、売れにくい要素を多く抱えているため、積極的に扱いたいと考える不動産会社も少ない傾向にあります。特に人口の少ない田舎の場合は、顧客獲得が見込めないからこそ、不動産会社はそもそも営業エリアの対象にしていないことも多いです。

    不動産売買では、プロである不動産会社への相談が基本ですが、田舎の家はそもそも対応できる不動産会社があまりいません。しかし、近年は空き家が増えている背景もあり、田舎の家や老朽化した空き家を専門的に買い取る業者も増えてきています。

    田舎の家を売却するときは、対応できる会社が少ないからこそ、田舎の家に特化して対応してくれる不動産会社を見つけることが重要です。

    2. 田舎の家を売却する方法

    田舎の家を売りたいときは、具体的にどのような売り方があるのか整理しておきましょう。

    売却方法の選択肢は、主に次の3つが挙げられます。

  • 不動産会社を探して仲介を依頼する
  • 不動産買取を利用する
  • 近隣の人に買ってもらえないか相談する
  • それぞれの詳細をチェックしていきましょう。

    不動産会社を探して仲介を依頼する

    不動産会社を探し、田舎の家を売る際の仲介を依頼する方法は一般的です。不動産会社に間に入ってもらい、売却物件として田舎の家を売り出してもらうことで、買い手を見つける方法になります。

    仲介の場合、うまく売れれば、相場またはそれよりも高い金額での売却も可能です。ただし購入が保証されているわけではないため、田舎の家という性質上、長く売れ残ってしまうケースにも注意が必要といえます。

    不動産買取を利用する

    田舎の家を売るときは、不動産買取を利用するのもおすすめです。

    不動産買取とは、不動産会社が売りたい家や土地の買い手になり、物件を買い取ることを指します。そのため仲介とは異なり、間に入ってもらって買い手を募る形態にはならないのが特徴です。

    不動産会社が直接買い取るため、不動産買取では、売れるということが保証されている点が大きなメリットになります。したがって諸々の条件が芳しくない田舎の家を売りたいときには、不動産買取の利用は積極的に検討したいところです。

    ただし、買取は仲介と違って確実に売却できる分、売値が低くなる傾向にあります。相場より6〜8割安い値段、もしくは物件の状態によってはさらに安い値段で買い取るケースも田舎では珍しくありません。

    不動産買取を利用する際は、このようなメリット・デメリットを考えたうえで、冷静に検討を進めることが大切です。

    近隣の人に買ってもらえないか相談する

    田舎の家を売りたいときは、近隣に住む方に買ってもらえないか相談する方法もあります。

    中古物件を購入する場合、近隣で物件を探す方は多いです。そのため条件が合えば、売れるチャンスはあるでしょう。特にある程度状態の良い家などは、地元の方に買い取ってもらえる可能性があります。

    たとえば民泊や別荘などの利用方法を提案し、購入を検討してもらうのもおすすめです。

    3. 田舎の家を仲介で売却する流れ

    田舎の売り物件
    田舎の家を仲介で売るときは、以下のような流れ・手順で売却手続きを進めることになります。

  • 不動産会社に査定依頼を出す
  • 査定額に基づき売値を決める
  • 売却物件として売り出しが始まる
  • 必要に応じて内見の対応をする
  • 買い手が現れたら不動産会社の仲介のもと売買契約を結ぶ
  • 決済・引き渡し
  • 必要に応じて譲渡所得の確定申告を行う
  • 大まかに仲介で売るときのステップをまとめると、上記のようになります。

    スムーズに売れれば、査定から決済・引き渡しまでは3か月〜半年ほどの期間で完了する場合もあるでしょう。

    なお、田舎の家を売却するにあたって譲渡所得(=売却の利益)が出た場合は、譲渡所得税の支払いが必要になるため、翌年の2〜3月の時期には確定申告が必要です。

    4. 田舎の家を売却する前に考えておきたいこと

    田舎の家を売却する際は、売れにくいからこそ、さまざまな対策を考える必要があります。
    ここからは、田舎の家を売却する前に考えておきたいこととして、解体やリフォーム、リノベーションなどの対策について詳細を解説していきます。

    そのまま売り出す?解体して更地で売り出す?

    田舎の家を売るときは、多くの選択肢があります。

    もちろんそのまま売る方もいますし、売れにくいことを考慮し、解体したうえで更地として売り出す方も少なくありません。更地で売り出せば、さまざまな活用方法が検討できるため、購入者にとっては自由度が高くなります。

    老朽化が著しい物件を売り出すときは、解体して売り出すことも積極的に検討したいところです。

    家の解体費用の目安

    更地にして田舎の土地を売る場合、そもそも家の解体費用はどれくらいになるのか気になる方も多いでしょう。

    家の解体費用の目安は次のとおりです。

  • 木造住宅:1坪あたり3~4万円
  • 鉄骨造の建物:1坪あたり5~6万円
  • RC造の建物:1坪あたり7~8万円
  • たとえば30坪の住宅の場合は、90〜120万円程度の解体費用がかかると考えられます。

    ただし田舎で周辺環境が悪く、たとえば重機がスムーズに進入できないなどの弊害があると、追加費用が大幅にかかるケースも少なくありません。

    田舎の家の解体を検討する場合は、まず解体業者に見積もり依頼を出してみましょう。

    リフォームやリノベーションはどうする?

    家の状態が悪いときは、リフォーム・リノベーション工事を施し、使いやすくしたうえで売り出すことを検討してみましょう。

    特に賃貸用の物件として売る場合、主な入居者は若い世代になると考えられるため、リフォームやリノベーションで内装や設備を新しくしておいたほうが良いのは確実です。築年数自体は古い物件でも、リフォームやリノベーションによって内部の利便性・快適性が高まれば、需要は増す可能性があります。

    アピールポイントはどこ?

    のどかな田舎の風景
    田舎の家を売るときは、アピールポイントを押さえたうえで、購入検討者にしっかりと働きかけていく必要があります。

    田舎の家のアピールポイントには、たとえば次のことが挙げられます。

  • のどかで落ち着いた暮らしが楽しめる
  • 広い庭で子どもを遊ばせることができる
  • 別荘として利用できる
  • 広々としたドッグランが作れる
  • 家庭菜園や鶏舎などを設けて自給自足の生活が送れる
  • 趣味に没頭できる(アトリエとしての利用など)
  • 古き良き時代の暮らしを感じることができる
  • 物価が安い
  • 田舎の家は生活利便性が総合的に低いものの、田舎暮らしならではの良さもたくさんあります。アピールポイントを押さえて魅力・メリットを伝えれば、スムーズに売却できる可能性もあるため、売却時はアピール方法にも工夫を加えましょう。

    5. 田舎の家を売却するときの注意点

    田舎の家を売るときは、以下の注意点に気をつけましょう。

  • 3年以内に売却すると特例が使える可能性
  • 契約不適合責任に注意する
  • 税金や手数料などの売却経費について
  • それぞれの注意点について詳細を解説していきます。

    3年以内に売却すると特例が使える可能性

    相続した空き家は、相続から3年以内に売却すると「空き家特例」が適用される可能性があります。

    これは相続空き家の3,000万円特別控除と呼ばれる制度で、正式には「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」という名称です。

    簡単にいうと特例が適用されれば、空き家の売却によって生まれた譲渡所得があった場合、最大で3,000万円まで税金の控除を受けることが可能になります。大幅な節税が可能なため、相続空き家は3年以内に売却したいところです。

    とはいえ特例の適用を受けるには、以下の厳しい要件を満たす必要があるため注意が必要です。

    要件

    空き家について
    ・空き家のみでなく土地もあわせて相続した
    ・1981年5月31年以前に建築された建物
    ・亡くなった方が相続が始まるまで住んでいた
    ・相続してから売却するまで空き家の状態が続いていた

    売却手続きについて
    ・相続から3年後の12月31日までに売却完了した
    ・第三者に売却した
    ・1億円以下で売却した
    ・耐震リフォームまたは建物を解体した状態で売却した

    出典:国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

    契約不適合責任に注意する

    田舎の家を売るときは、契約不適合責任について理解を深めておく必要があります。

    基本的に、一般の購入者に売却した場合は、空き家の売主は、契約不適合責任を負うことになります。これは老朽化した空き家を売ったあと、何らかの不具合が出たときに、売主として責任を負わなければならない決まりです。

    老朽化した物件にはあとから不具合が見つかることも珍しくないため、その場合、買主は売主に対して追完請求や代金減額請求などを行うことができるのです。したがって田舎の家を売るときは、あとになってから責任が生じるケースについて十分に注意する必要があります。

    しかし、売主(個人)と買主で合意すれば、特約事項で「契約不適合を免責」することも可能です。覚えておきましょう。

    税金や手数料などの売却経費について

    田舎の家を売るときは、税金や手数料、その他の売却経費の出費にも注意しましょう。

    経費には、たとえば以下の費用が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 税金(譲渡所得税、印紙税など)
  • 登記費用 など
  • そのためすべての経費をマイナスすると、手取りの金額は大幅に減ってしまうことも考えられます。総合的にかかる費用については不動産会社などとよく相談したうえで、後悔しない売却を考えましょう。

    6. 売却できない田舎の家を処分する方法

    田舎の家を処分したいときは、以下の方法で処分を検討すると良いでしょう。

  • 空き家バンクに登録する
  • 買取業者に相談する
  • 自治体やNPO法人への寄付を検討する
  • ここでは、処分方法について詳細を解説していきます。

    空き家バンクに登録する

    田舎の家がなかなか売れないときは、空き家バンクの利用をまず検討してみましょう。空き家バンクは、自治体が運営する「空き家を売りたい方と買いたい方を結びつける情報提供サービス」です。

    売れない空き家は空き家バンクに登録しておくことで、長期的なスパンで見れば、買い手が見つかる可能性があります。

    近年は田舎移住や古民家への憧れなどから、古い空き家に着目して、買いたい物件を探す方も少なくありません。そういった方が空き家バンクを見ている可能性は高いため、まずは登録を検討してみましょう。

    買取業者に相談する

    売れない空き家や土地を抱えている場合は、買取業者に相談するのもおすすめです。

    不動産買取は仲介と違って売却価格が安いことがデメリットになりますが、買取業者に相談すれば、状態の悪い物件でも買い取ってもらえる可能性はあります。特に最近は古い家や空き家に特化して買取事業を行っている業者も少なくないため、そのような業者を頼れば、スムーズに現金化できるかもしれません。

    田舎の家が売れないときは、一度査定を受けたうえで、買取も視野に入れてみましょう。

    自治体やNPO法人への寄付を検討する

    田舎の家になかなか買い手がつかないときは、自治体やNPO法人への寄付を検討するのも良いでしょう。

    「売れなくても良いのでとにかく手放したい」という方には、特におすすめの方法です。

    寄付のため売却にはなりませんが、売れない条件がネックとなっている物件は、少しでもスムーズに手放す方法を考えたほうが良い場合もあります。
    まずは自治体に相談し、寄付先がないかどうか聞いてみましょう。

    まとめ 田舎の家の売却成功に向けて

    田舎の家を売却したいときは、まず、なぜ売れにくいのかを整理する必要があります。
    生活利便性の低さなどから田舎の家は買い手がつきにくく、スムーズな売却を目指すには、リフォームやリノベーション、解体などさまざまな対策が必要になる場合があります。

    そのため売却するときは、どのような方法で売るのが望ましいのか、事前にしっかりと計画を立てましょう。必要に応じて買取業者への相談も検討しつつ、売却成功を目指すことが大切です。