コロナワクチン 国費での無料接種終了へ「自己負担」になることで考えられる影響は? 専門家が解説

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。9月14日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「コロナワクチンの接種費用 全額公費負担終了」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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※写真はイメージです

9月8日(金)に開かれた厚生労働省の専門部会は、新型コロナウイルスのワクチン接種について、全額公費負担を来年3月31日(日)で終了する方針を了承しました。新型コロナウイルスの感染症法における分類は、今年5月に「5類」に移行しましたが、ワクチンに関する国の対応も節目を迎えました。
◆感染者は増加中 新規変異株への置き換わり進む
吉田:ワクチンについて来年3月までどのような運用がなされるのか、来年度からはどうなるのか、塚越さんに解説いただきます。
ユージ:あらためて、現状の「新型コロナウイルス」の感染状況はどんな様子ですか?
塚越:新型コロナウイルスの患者数は増えています。現在流行しているのは特に感染力が強いとされる新たな変異株で、オミクロン株の変異であるXBBの派生であるEG.5、通称「エリス」です。
オミクロン株より感染力は強いのですが、症状はオミクロン株と同じで、喉の痛みや倦怠感、咳、39度の熱が出るなどと言われています。専門家によれば、症状としては中等症~軽症で、重症は多くないということですが、これまで接種してきたワクチンは効きにくい可能性があるとのことです。
東京都のゲノム解析では、8月半ばの時点でこのエリスが全体の30%を超えています(※9月14日(木)の東京都の発表によると、現在ではおよそ40%にのぼるとのこと)。こちらは8月末の時点で59の国と地域に感染が報告されているものです。
さらに、オミクロン株の新たな派生であるBA.2.86、通称「ピロラ」というのも、東京都で8月に1例、確認されています。感染者は軽症でしたが、すでに世界15ヵ国で確認されているもので、病原性や感染力などはまだ分かっていないとのことです。いずれにせよ、さまざまな派生なども生じています。
また、コロナの流行はいわゆる第9波を迎えており、8月28日~9月3日までの1週間で報告された感染者は全国で10万1,289人です。5月にコロナが「5類」に引き下げられてから、感染者が最も多くなっており、5類移行前の8波に迫る勢いです。
◆ワクチン無料接種は来年3月末まで
吉田:新型コロナの発症や重症化を予防するため、今後も継続してワクチン接種を希望する方もいらっしゃると思います。現在は無料で接種できるんですよね?
塚越:自治体によって接種状況は異なりますが、9月19日(火)まで「令和5年春開始接種」が実施されており、20日(水)からは「秋冬の接種」が始まります。生後6ヵ月以上の全ての世代が対象で、オミクロン株の一種である「XBB」に対応するワクチンを使うことになります。そして、ここが重要なのですが、自己負担なしの接種は今年度末、つまり来年3月31日(日)までとなります。
ユージ:なぜ、無料接種が終わることになったのでしょうか?
塚越:全額公費負担となる「特例臨時接種」は、予防接種法の「予防上緊急の必要」の場合のみに限られ、その期限が今年度末までだからです。厚生労働省の専門部会での議論では、予防は必要だが緊急ではないということで、期限を延長するのではなく、「終了」という選択が了承されたということになります。
吉田:来年度以降のワクチン接種はどうなるのでしょうか?
塚越:議論は続いているので決定ではありませんが、コロナ感染は年末年始に比較的大きくなることを考慮し、接種のスケジュールは年に1回、タイミングは秋冬という方向で議論が進められる見込みです。
接種の対象は、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人で検討しており、インフルエンザと同じく、自治体などから費用負担も出ますが、一部は自己負担になるケースもある「定期接種」にするかどうかが議論されます。高齢者以外は、希望者による全額自己負担の「任意接種」とすることを視野に検討を進めるとのことなので、今年度中に最終的な決定がされるでしょう。
◆ワクチン接種…自己負担になることで考えられる影響は?
ユージ:来年度以降、ワクチン接種が自己負担になることで、どのような影響が考えられますか?
塚越:若者は任意接種になるので、やはり接種率が低下することです。ワクチンに関してはこの3年の間にさまざまな議論があるので、今後、高齢者がどれくらい接種するのか、あるいはしないのか、それによる影響がどうなるのか、といった観点から状況を観察する必要があると思います。
また、インフルエンザのワクチンに関しては、企業や団体で費用負担をおこなうところもあります。そういう意味では、コロナワクチンに関しても、そのような制度を設ける企業などが出てくると思います。いずれにせよ、ワクチンが自己負担になっても、コロナの予防という観点は引き続き重要になると思いますので、注意が必要です。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ