オール電化とガス併用の光熱費を比較!月額料金が安いのはどっち?

住宅購入やリフォームの際に悩みどころの一つとなるのが、光熱費に関連する設備です。オール電化にするのか、もしくはガス併用のままでいくのか迷っている人も少なくないでしょう。

「結局どっちが安いの?」と気になっている人向けに、オール電化とガス併用を比較します。最適な選択をするためには、それぞれのメリット・デメリットを理解することも大切です。
毎月の光熱費を抑えたいと考えている人は、最後まで読み進めてみてください。

1. オール電化とガス併用の基本的な違い

image
オール電化とガス併用を比較する際、コストだけでなくそれぞれの特性を知ることが大切です。まずは、オール電化とガス併用それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

オール電化とは?メリットとデメリット

オール電化とは、家庭内で使用するすべてのエネルギーを電気でまかなうことです。一般的な家庭では、お風呂・キッチン・暖房でガスを利用している場合がほとんどです。オール電化はガスを使用せず、すべて電気エネルギーで対応します。
ガスを使用しない代わりに、IHクッキングヒーター・エコキュート・蓄熱ヒーター・床暖房などが使われます。

オール電化のメリット

オール電化のメリットは以下のようなものが挙げられます。

◦光熱費の基本料金を一本化できる
◦火を使わないため安全性が高い
◦災害時の復旧が早い
◦キッチン周りのお手入れがしやすい

オール電化はガス料金を支払う必要がないため、上手にやり繰りすることで光熱費を抑えられる可能性があります。
調理時にIHクッキングヒーターを使用することが特徴です。火を使わないため火災のリスクが軽減され、子どもがいる家庭でも比較的安全に使用できます。
また、IHクッキングヒーターは、コンロのように凸凹がないためお手入れが簡単です。

地震や台風などでライフラインが止まってしまうこともあるでしょう。電気の復旧は水道やガスと比べて早い傾向にあり、オール電化は緊急時の安全確保の面でもメリットがあります。

オール電化のデメリット

オール電化のデメリットは以下のようなものが挙げられます。

◦初期費用やメンテナンス費用がかかる
◦日中の電気料金が割高になる
◦停電時にすべての機能が止まってしまう
◦使えない調理器具がある

オール電化の利用には、オール電化対応の機器を導入する必要があります。IHクッキングヒーターやエコキュートなど、機器の購入費用に加えて、設置工事やメンテナンス費用もかかります。また、オール電化の料金プランは昼間が割高に設定されていることにも注意が必要です。

家庭内のすべてのエネルギーを電気でまかなうことから、停電時にすべての機能が停止する可能性があります。電気が復旧するまでに、代替手段を用意しておかなければなりません。

IHクッキングヒーターでは、対応できる調理器具に制限があることもデメリットです。アルミ・耐熱ガラス・陶器などでできた調理器具を使用することはできません。

ガス併用とは?メリットとデメリット

ガス併用とは、キッチンのコンロや給湯器はガスを使用し、照明や家電は電気を使用します。都市ガスとLPガスがあり、それぞれの特徴を把握することも大切です。

ガス併用のメリット

ガス併用のメリットは以下のようなものが挙げられます。

◦都市ガスだと光熱費が安くなる
◦日中の調理や給湯はオール電化より割安
◦停電時でも調理や給湯ができる

都市ガスはエネルギーコストに優れており、オール電化よりもお風呂の湯沸かしや調理などを低コストで行えます。一方で、LPガスの料金は、都市ガスと比べてエネルギーコストが割高です。LPガスを利用した電気+ガス併用の場合はコストが高くなる可能性があります。

日中に自宅で過ごすことが多い人は、電気とガスの併用のほうがメリットを得やすいでしょう。電気とガスの両方を使用するハイブリッド給湯器を導入すれば、効率よくお湯を沸かせます。

また、電気とガス併用は停電時でもコンロの火を使って調理や湯沸かしが可能です。ただし、換気扇は停電時に使用できないため、屋内の喚起には十分に注意してください。

ガス併用のデメリット

ガス併用のデメリットは以下のようなものが挙げられます。

◦基本料金が電気とガスそれぞれにかかる
◦火を使うため火災のリスクがある
◦都市ガスは契約できる地域が限られている

電気とガスを併用すると、それぞれに基本料金がかかります。基本料金は自分で節約できるコストではないため、毎月一定額を支払い続けなければなりません。

コンロや給湯器で火を使うため、火災になるリスクはオール電化と比べて高くなります。長時間ガスを使用すると室内の空気が悪くなる、室温が高くなることもデメリットの一つです。

電気とガス併用のメリットである都市ガスですが、契約できる地域が限定されています。都市部を中心に供給されるガス導管を利用するため、導管が通っていない地域だと契約できません。

2. オール電化とガス併用の光熱費比較!どっちがお得?

オール電化とガス併用では、光熱費はどちらかがお得なのでしょうか。ここでは、それぞれの月額料金がどのくらいになるのかシミュレーションしていきます。

オール電化の光熱費シミュレーション

オール電化住宅における世帯人数別・住居形態別の1ヶ月あたりの平均額は以下のとおりです。
【世帯人数別】

image

出典:関西電力オール電化世帯人数別の電気代平均額

世帯人数別では、1人から2人に増える際に電気料金が大きく変わることがわかります。世帯人数が増えると電気使用量が多くなるため、電気料金は割高になるのは当然です。一方で、2人世帯から4人世帯までの電気料金に大きな変化はありません。

ガス併用の光熱費シミュレーション

ガス併用における世帯人数ベルの1ヶ月あたりの平均額は以下のとおりです。

image

出典:総務省 統計局 世帯人員・世帯主の年齢階級別1世帯当たり1ヶ月収入と支出

オール電化と比べると、1人暮らしの場合はガス併用のほうが安いことがわかります。一方で、世帯人数が多くなるほど光熱費はオール電化のほうがお得です。2人暮らしでは1,000円以上、3人暮らしでは毎月1,500円近くも光熱費を節約できる計算です。

3. 新築の際の選択!オール電化 vs ガス併用

新築住宅を建てる際に、オール電化とガス併用で悩む人も少なくないでしょう。ここでは、どちらを選べばいいのか、設備コストの違いや住まいの大きさなどで比較していきます。

新築時の設備コストの違い

IHクッキングヒーター
オール電化とガス併用の設備コストの違いをまとめました。

image

オール電化の初期費用は40~90万円かかるのに対して、ガス併用は18~35万円です。初期費用を抑えたい場合は、ガス併用を選ぶのがいいでしょう。性能や機能によって、初期費用が割高になることもあるため、導入する機器についても比較検討することが大切です。

住まいの大きさや家族構成での選択のポイント

オール電化とガス併用は、世帯人数によっても料金に違いがあります。ここでは、総務省が2021年に行った「家計調査」のデータをもとに、世帯人数別の電気・ガス代の平均額を紹介します。

image

出典:総務省 統計局 世帯人員・世帯主の年齢階級別1世帯当たり1ヶ月収入と支出

ガス料金に変化はないものの、世帯人数が増えるごとに電気料金は高くなっています。家電は1人暮らし用と4人暮らし用では大きさや容量が異なります。また、世帯人数が増えれば、家族がそれぞれの部屋で過ごすことが多くなることも電気料金が高くなる理由の一つです。

住まいの大きさや家族構成によって、オール電化とガス併用の光熱費が変わります。電気をどのくらい消費するのかで料金が変わるため、シミュレーションすることが大切です。

4. 太陽光発電との組み合わせ

太陽光発電をしている住宅
太陽光発電とは、住宅の屋根などに設置した太陽光電池で光エネルギーを吸収して発電するシステムです。家庭内で使用するエネルギーのうち、電気料金が高くなりがちです。
光熱費を節約するためにも、太陽光発電とオール電化・ガス併用を組み合わせてみましょう。

オール電化×太陽光発電の効果

太陽光発電の導入で最大限にメリットを享受できるのがオール電化住宅です。電気料金が割高になる昼間は太陽光発電で使用電力をまかなえば、光熱費を大幅にカットできます。

また、昼間に発電した電気を夜間や天気の悪い日に使えるよう、蓄電池の導入も効果的です。太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めて、必要なときに自家消費すると電気代を節約できます。

ただし、太陽光発電を導入すれば、電気料金が0円になるわけではありません。太陽光発電の発電量は天気に左右されるうえ、季節によって発電量が変わります。毎日安定した発電量を確保できるわけではないため、太陽光発電だけで電気料金をまかなうのは難しいでしょう。

ガス併用×太陽光発電の効果

ガス併用のままでも太陽光発電を導入する家庭は少なくありません。ガス料金は従来のままですが、家庭で使用する電気を太陽光発電でまかなえることはメリットです。
ガス代が安い家庭ではオール電化への切り替えはせずに、太陽光発電の導入だけにとどめたほうがお得になります。

ただし、太陽光発電システムは設置費用がかかることに注意が必要です。経済産業省のデータによると、2022年度の太陽光発電システムの設置費用は1kWあたり26.7万円です。

一般的な住宅であれば、3~5kWのソーラーパネルで十分だとされています。メーカーや工事内容によっても変わってきますが、設置費用は80~133万円と考えておきましょう。
出典:経済産業省令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)

5. ガス併用からオール電化へリフォームできる?

世帯人数が多くなるほど、オール電化に切り替えるメリットが大きくなります。ガス併用からオール電化住宅へとリフォームを検討している人も少なくないでしょう。
ここでは、ガス併用からオール電化に切り替える際に把握しておきたいポイントを紹介します。

リフォームの料金

まず気になるのが、ガス併用からオール電化へリフォームした際の料金です。ここでは、オール電化の基本となるIHクッキングヒーターとエコキュートの設置費用を紹介します。

【IHクッキングヒーターにリフォームする際の費用相場】
◦本体価格…約4~15万円
◦配線機器・ブレーカー費…約1万円
◦配線工事費…約3万円
◦IHクッキングヒーター工事費…約2万円

IHクッキングヒーターのリフォーム費用相場は、約10~25万円です。熱源がガスから電気へと変わるため、ガス管の撤去と電気の配線作業が必要になります。

【エコキュートにリフォームする際の費用相場】
◦本体価格…約15~30万円
◦脚部カバー…約1万円
◦ドライフレックスパイプ・継手ユニオン…約5万円
◦風呂循環口…約9,000円
◦電線・電線管…約8,000円
◦接続材、支持材…約5,000円
◦漏電ブレーカー…約4,000円
◦プルボックス・野外用プラボックス…約3,000円
◦工事費…約15万円
◦給湯器搬出・処分費…約3万円

エコキュートのリフォーム費用相場は、約40~80万円です。エコキュートは使う人数で容量が変わりますが、370~460Lが一般的で、大容量でも550Lの場合がほとんどです。

オール電化の設備

オール電化の主な設備は以下のとおりです。

  • ガスコンロ→IHクッキングヒーター
  • お風呂→エコキュート・電気温水器
  • 石油ストーブ→エアコン・蓄熱ヒーター

また、必須ではないもののオール電化ならではのオプション設備もあります。

たとえば、温水式・電気床暖房です。

  • 電気式床暖房…床暖房器具に仕込まれた電気ヒーターで床を温める
  • 温水式床暖房…電気で温水を作り、床の下に流して温める

温水式の場合は、エコキュートで沸かしたお湯を活用できるため、節約につながります。

他にも、オール電化住宅では太陽光発電や蓄電池などを併用することもあります。設備が多いほど設置費用も高くなるため、どのくらいのコストがかかるのかシミュレーションしておきましょう。

まとめ

電卓と貯金箱とお金
オール電化・ガス併用ともにメリット・デメリットがあるため、比較する際の参考にしてみましょう。1ヶ月あたりの平均額は、世帯人数が多くなるほどオール電化のほうが安くなる傾向にあります。

しかし、オール電化は設備の導入・メンテナンス費用がかかることも考慮しなければなりません。料金や安全性など、さまざまな側面を比較したうえで、最適な方法を選んでみてください。