「世界中を驚かせるような宮崎カカオを作りたい」 県庁を退職しカカオ栽培始める男性も「クラフトチョコレート」の魅力

最近、クラフトビールやクラフトコーラなど、小さな規模でこだわりの製品を作る「クラフト」が人気を集めていますが、今回は「クラフトチョコレート」に注目します。
宮崎県内でも「クラフトチョコレート」を販売する店が登場しているほか、原材料となる「カカオ」の栽培を始めた男性もいます。
「クラフトチョコレート」の魅力を取材しました。

仕入れる「カカオ豆」の産地次第で違う風味のチョコレートに出会える

宮崎市清武町にあるカフェ「RAW,S…(ローズ)」。
食材を加熱せず、生のまま調理する「ロースイーツ」の専門店です。
この店で人気を集めているのが「クラフトチョコレート」です。

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(RAW,S… 本山裕子店主)
「一つのお店で豆から仕入れて、その豆からチョコレートのタブレット、バーになるまでの工程を店が作ることをクラフトチョコレート」

時期によって仕入れる「カカオ豆」の産地が異なるため、常に同じ味を提供できるわけではありませんが、ベリーのようなフルーティーな味わいのものや、ジャスミンのような花の香りのものなど、違う風味のチョコレートと出会うことができるのも魅力の一つです。

(RAW,S… 本山裕子店主)
「『おいしい』って言ってくださったり、食べていただいて『あっ、こんなにくちどけがいいんだ』とか、『こんなに苦くてもおいしいんだ』ていう感覚がうれしく思ってます」

とりあえず味がおいしくなれば、なんでもOK。結果オーライ

そんなクラフトチョコレートに魅せられた男性がいます。
「これがカカオの果実になります」
宮崎市に住む大田原尊之さん(25歳)は、チョコレートの原料となるカカオを栽培しようと、先月、農園を開きました。

(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「たまたま社会人になってクラフトチョコレートっていうものを食べまして、産地ごとにそのフレーバーの違いがすごい出てるなってことを感じて、たった(カカオ豆と砂糖の)2つの原材料だけで作られてるのに、これだけ幅広い香りが出せることに可能性を感じて、自分自身でも宮崎でカカオを作ってみて、おいしいものをおもしろいものを作りたいなって思ったところがきっかけ」

現在、国内でカカオを栽培しているのは沖縄や小笠原諸島など、一部の地域のみ。
そのため、大田原さんは、海外の研究論文などを読み栽培技術を学んでいます。

(カメラマン)「これは何の種類なんですか?」
(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「これは謎なんですよね。ちょっと購入したときも書いてなかったので、全く不明なんですけど、とりあえず味がおいしくなればなんでもオッケー、結果オーライって感じです」

今年3月までは宮崎県の職員

そんな大田原さん、農家になったのはつい最近のこと。今年3月までは、県の職員として働いていました。
(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「県庁にいたころは2つ部署はやってたんですけど、最初の頃が福祉関係の部局で、そのあとは農政水産部」

県の職員として仕事をこなす傍ら、3年前から休日などを使って、自宅でカカオの試験的な栽培を行ってきました。

(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「こちらが家で管理しているカカオの苗になります。種の状態から3か月ぐらいたった状態で、毎日すくすく成長している様子を見ると感動します」

県庁を退職し、念願の農園を開いた大田原さん。
現在、自宅などで育てたカカオ10種類130本ほどをハウスに植え付け、「宮崎カカオ」の収穫に向けて日々奮闘しています。

(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「このすごい小さい花なんですけど、1センチくらいの。受粉させて、そこからだいたい半年後に収穫できる」

また、収穫したカカオは種子と果肉の発酵や乾燥をする必要があるため、県の食品開発センターと連携し、高品質なチョコレートの原材料となるよう、研究を進めています。

世界中を驚かせるような宮崎カカオを

この日は、クラフトチョコレートを販売している店の店主も農園の見学に訪れました。

(RAW,S… 本山裕子店主)
「果実状態でみるのは初めてで、写真とかではよく見てるんですけど。ほんとに応援したいし、皆様に食べてもらいたいし、楽しみですね」
(宮崎カカオ 大田原尊之さん)「ありがとうございます」

(宮崎カカオ 大田原尊之さん)
「カカオを使って宮崎の地域振興に役立てて行きたいというのが強くありまして、特に宮崎は農業県で農業が強いので、新しくカカオという作物を宮崎の特産物みたいな感じで出していければいいなって思っていますし、宮崎が地域活性化していくっていうような形にできればいいなと思っています」

「世界中を驚かせるような宮崎カカオを作りたい」
チョコレートに魅せられた男性の新たな挑戦が始まっています。

(スタジオ)
南米原産のカカオは寒さに弱いそうです。
そのため、大田原さんは、バイオマスを活用したカーボンニュートラルな暖房機を購入するためのクラウドファンディングを3日から始めたということです。

※MRTテレビ「Check!」8月3日(木)放送分から