夫が死んだら離婚する…じつは日本で「死後離婚」が増えていた「納得の理由」

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いったいなにが起きたのか

いま日本はどんな国なのか?

私たちはどんな時代を生きているのか?

日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が話題になっている。

意外と知らなかった論点・視点の数々とは――。

「死後離婚」という現象

近年、「死後離婚」という現象が顕著になってきている。

この15年ほどの「姻族関係終了届」の件数を見てみると、毎年2000〜4000件の「死後離婚」が確認される。

〈法務省の統計によれば、2006年度の届出件数は1854件で、それが10年後の2016年度には4032件と、約2.2倍にも増えた。

実は2015年度までが2000件台で、続く2016、2017、2018年度の3年間は、3000件台を飛び越えて4000件台に跳ね上がった。

しかしその後2019、2020年度は3000件台に、2021年度現在は2934件と、下がる傾向を見せている。〉(『日本の死角』より)

いったいなにが起きているのだろうか?

なぜ「死後離婚」が増えたのか

なぜ「死後離婚」が増えたのか。

それは家族をめぐる意識の変化、そしてマスコミの力だった。

〈核家族化によって、結婚した子どものほとんどが親と同居しない現代、明治民法時代と違って、法的にも結婚すれば親子は別の家族となる。

したがって配偶者が亡くなってしまえば、その親との関係性は希薄である。現代社会では、このような家族関係意識が定着している。〉(『日本の死角』より)

〈2014年1月に、NHKの人気番組「あさイチ」が「死後離婚」に触れ、夫婦別墓の話を中心にしながらも「姻族関係終了届」にも触れ、2017年には「姻族関係終了届」をテーマに特集を組んでWEB掲載し、2018年に同番組で再度取り上げている。このようにマスコミによく取り上げられるようになって届出件数が急増した。

2019年度以降2021年度現在が3000件台に減ったのは、マスコミを通じて広まったときに、それまで届出の存在を知らなかった人たちが、知識を得て一気に申請したためではないかと考えられる。〉(『日本の死角』より)

話題書『日本の死角』では、死後離婚に限らず「夫婦別墓」などの現象についても深く掘り下げている。