都城で市民向け焼酎蔵体験会 ユネスコ無形文化遺産目指し

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仕込み中の甕の香りをかぐ参加者=2023年1月27日午後4時30分、宮崎県都城市乙房町、中島健撮影

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酒蔵で杜氏の説明を聞く参加者=2023年1月27日午後4時31分、宮崎県都城市乙房町、中島健撮影

宮崎県都城市の都城観光協会が、市民向けの焼酎蔵体験会を初めて開いた。こうじを使う「伝統的酒造り」は、ユネスコ国連教育科学文化機関無形文化遺産登録が期待されており、焼酎造りへの理解を深めてもらって機運を醸成しようと企画した。

 都城市は「日本一の肉と焼酎のふるさと」を掲げる。都城観光協会は、県外からの観光客向けに、肉を味わい、酒蔵を体験するツアーを昨年から開いている。ユネスコの審議を前に、焼酎でも行われる伝統的酒造りを地元の人に知ってもらおうと、老舗酒蔵を体験する参加者を募った。

 1月下旬、1909年創業の大浦酒造を14人が訪れた。4代目杜氏(とうじ)の大浦晋一社長(47)から、蒸したコメに手作業でこうじ菌を付けることや、甕(かめ)でこうじや酵母と原材料を合わせて発酵させることなどの説明を受け、甕の中の香りもかいだ。

 酒蔵体験後は料亭に移動し、体験した焼酎と、焼酎に合わせて考えられた牛カツや鶏のたたきなどのメニューを味わった。

 参加した鎌田弘己さん(66)は「原酒の方が製品よりいい香り。昔から焼酎造りのにおいを感じて暮らしてきたが、内側は知らなかった。サツマイモが大量に必要なことを知り、病気で原料が足りないという話とつながった」と話した。

 大浦さんは「都城は焼酎どころだが、知らないことも多いと思う。少しでも酒造りを知ってもらうと、味わい深く飲んでもらえるのでは。つくる方にも励みになる」と語った。(中島健)