電動キックスケーター、7月から自転車並みのルールに緩和…普及加速の一方で事故懸念も

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電動キックスケーターの講習会で安全な乗り方を学ぶ参加者(18日、東京都世田谷区で)=園田寛志郎撮影

都市部を中心に普及が進む「電動キックスケーター」の新しい交通ルールが7月1日に始まる。一定の条件を満たす車体は、これまでの原付きバイク扱いから、自転車に近いルールに変わる。普及が加速する一方、事故などが増える可能性もあり、警察当局は交通ルールの周知を進める。

「右折時は自転車と同様に一度直進し、信号が変わってから渡ります」

今月18日、警視庁交通安全教育センター(東京都世田谷区)。約30人の参加者が電動キックスケーターの安全講習を受けていた。川崎市の会社員(54)は「不安定で、乗り方にもコツが要りそう」と少し不安そうだった。

電動キックスケーターは従来、法令で原付きバイクに分類され、運転免許やヘルメットの着用が必要だった。その一方、東京都心などで広がる「シェアリングサービス」では特例としてヘルメット着用などが免除されており、「交通ルールが分かりづらい」といった声があった。

そうした現状を踏まえ、7月1日に改正道路交通法が施行され、新たな交通ルールが導入される。最高時速20キロ以下で、大きさなどの基準を満たす車体を「特定小型原動機付自転車」と規定し、16歳以上であれば運転免許がなくても乗れるようになる。

ナンバープレートやウィンカーなどは必要だが、自転車と同様、ヘルメット着用は努力義務で、自転車道の走行も可能となる。

課題は、普及に伴う事故や違反の増加だ。

警察庁によると、電動キックスケーターの人身事故は2020年に4件だったが、21年は29件、昨年は41件に増えた。酒気帯びや歩道走行などの摘発も21年9月以降、2000件を超える。今後さらに普及が進めば、こうした事故や違反が増える恐れがある。

警察だけではなく、シェアリング事業者なども新ルールの周知を進める。東京や大阪など7都市で事業を展開する大手「ループ」(東京)は、利用登録時に行う交通ルールのテスト内容を改正法に対応するよう変更し、16歳以上であることを示す身分証明書の写真撮影などを求める。

販売事業者らでつくる「日本電動モビリティ推進協会」も新たな交通ルールを紹介する動画を作成し、販売店などで購入者に見てもらうという。

警察庁幹部は「歩行者や自転車、車とともに安全な交通環境を維持できるようにしていく」と話した。