植物に合わせた3つの「種まき」の方法

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タネから植物を育てる最大の利点は、リーズナブルに多くの花苗、野菜苗を作れる点にあります。苗を買う場合と、タネから育てる場合とでは、コストが10分の1になることも珍しくありません。基本を押さえれば、初心者でも発芽させることができます。植物に合わせた3つのタネまき方法をご紹介。

タネから植物を育てる方法

植物のタネには、いろいろな大きさや形があります。1mmもないケシ粒のようなものや、マメの形そのものの大きさのタネなど、それぞれのサイズや特徴に合わせて、種まきにも適した方法があります。

写真左はトウモロコシのタネ。赤い色は消毒・保存のために人工的に着色されたものです。右の黒いタネはバジルのタネです。

Photo/Petra Schueller, MelodyAnneM/Shutterstock.com

まずはタネを播く場所について。3つの選択肢があります。

  • 直播き/庭や畑に直接タネを播きます。
  • ポット播き/小さなビニールポットに播きます。円柱にした新聞紙などでも代用できます。
  • 箱播き/育苗用の専用トレーや浅箱に播きます。卵のパックなどでも代用できます。
  • 1の方法は、移植すると生育が悪くなるものを育てる場合に向いています。まっすぐ下に向かって根が伸びる「直根性」と呼ばれる植物は、小さな容器で育てると根が曲がってしまい、苗が傷むため3の方法は向いていません。種播き前に植物の特徴を確認しましょう。

    2と3の方法は仮に育てておく場所で、ある程度の大きさまで苗が育ったあとに移植、定植します。

    タネの播き方3種類

    種まきには、基本的に次の3つの方法があります。

  • すじまき
  • 点まき
  • ばらまき
  • タネ袋の裏を見てみると、その植物に適した種播き方法が記してあるので、それに従ってタネを播きます。タネ袋には、そのほかにもタネを播く前の準備など(ex.一晩水に浸ける、傷をつけるなど)の手順が記されています。また、タネを播いたあとに土をかぶせる必要があるかないか、発芽に最も重要な発芽適温など、重要な情報が書いてあるのでよく読んで従いましょう。

    3つの種まき方法について次で解説します。

    「すじまき」

    バジルのタネを播きます。バジルのタネのような細かいタネを播くときには、粒子の細かい培養土が適しています。今回は「水でふくらむタネ播きの土  ジフィーピートバン(R)5枚入り 860円/サカタのタネ」を使いました。給水させて土を湿らせておきます。上からかぶせるための土も、種まき専用の粒子の細かい専用培養土を使います。割り箸も用意。

    割り箸をピートバンの長さに合わせてカットし、表土にめりこませて深さ5〜7mmくらいのスジを作ります。

    スジに沿ってバジルのタネをパラパラと播きます。なるべく重ならないようにしますが、後で間引きながら育てていくのであまり気にしなくて大丈夫です。

    上から種まき用の培養土をうっすらかけ、手のひらで押さえます。水やりは霧吹きで十分湿る程度に行い、日の当たる場所に置いておきます。

    このようにスジを作ってまっすぐ播いていく方法を「すじまき」といいます。

    「点まき」

    表土にペットボトルなどのキャップで丸い穴をつくり、その中にタネを2〜3粒入れます。後に間引き、生育の良い1本だけを残して育てます。

    このように丸い穴の中に数粒をまとめて播く方法を「点まき」といいます。トウモロコシやアサガオなど、比較的大きいタネに向いている方法です。

    「ばらまき」

    文字通り、「ばらまき」ます。コショウの空き容器に粒子の細かい砂と混ぜて、ふりかけるように播くやり方もあります。土の上に並べようがないようなごく細かなタネを播く場合に向いています。ニコチアナやジギタリス、カンパニュラなどのタネは粉のように細かいので、この方法で播きます。

    ばらまきで発芽した大葉の新芽。かわいいですね。芽吹きから育っていく経過を見ることができるのも、種まきの楽しさです。タネの中には好光性(こうこうせい)といい、タネを播いたあとに土をかぶせないほうがよいものがあります。その場合は手でタネを土に押し付けて霧吹きします。

    <水やり>基本的に霧吹きでそっとあげます。

    <日当たり>発芽するまでは陽光の入る明るい窓辺などが適しています。突然の雨でタネが流れてしまう心配もありません。