「憲法いかせ」「改正の世論を」 憲法記念日、護憲派・改憲派が集会

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護憲派の集会で、プラカードを掲げる参加者たち=2024年5月3日午後1時53分、東京都江東区、渡辺洋介撮影

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公開憲法フォーラムで、声明文が読み上げられた=2024年5月3日午後4時10分、東京都千代田区、上田幸一撮影

憲法記念日の3日、護憲派と改憲派によるイベントが各地で開かれた。

 護憲を訴える「九条の会」などでつくる市民グループは、東京都江東区の東京臨海広域防災公園で「武力で平和はつくれない! とりもどそう憲法いかす政治を」と題して集会を開いた。主催者発表で3万2千人が参加した。

司法試験指導校「伊藤塾」塾長の伊藤真弁護士は、武器輸出の制限緩和や日米首脳会談で合意された米軍と自衛隊の「指揮統制」の連携強化に触れて、「自衛隊が世界中で戦争をできる部隊に変えられてしまっている」と指摘。「憲法なんかどこ吹く風だという考えで、憲法無視の政治が進もうとしている。世界に誇る憲法の理想に向けて連帯し、憲法をいかす政治を取り戻そう」と呼びかけた。

東京都千代田区では、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などが共催し、日本会議などが協賛する改憲派の集会「公開憲法フォーラム」があり、主催者発表で約800人が参加し、オンラインで約1万2千人が視聴した。

 主催者を代表してジャーナリスト櫻井よしこ氏が「戦後の日本国のねじ曲がった国のあり方を立て直すのが憲法改正。岸田首相の背中を押して、政治家が憲法改正に走らねばならない世論をつくりましょう」と呼びかけた。自民、公明、維新、国民民主各党の代表らも登壇した。(渡辺洋介、編集委員・北野隆一

憲法改正「賛成」63%、9条2項「改正」は最多の53%…読売世論調査

 読売新聞社は憲法に関する全国世論調査(郵送方式)を実施し、憲法を「改正する方がよい」との回答が63%(前回昨年3~4月調査61%)と、3年連続で6割台となった。憲法を「改正しない方がよい」は35%(前回33%)だった。

 改正賛成派の割合は、調査が郵送方式となった2015年以降で最も高かった。調査方法が異なるため単純な比較はできないが、面接方式だった04年調査の65%に次いで2番目に高かった。

 戦争放棄を定めた9条1項を改正する必要は「ない」とした人が75%(前回75%)だった。一方、戦力の不保持などを定めた9条2項を改正する必要が「ある」が53%(同51%)で過去最多となり、「ない」の43%(同44%)を上回った。憲法に自衛隊の根拠規定を追加する自民党案について、「賛成」は56%(同54%)、「反対」は40%(同38%)だった。

 憲法改正賛成派が増えた背景には、日本を取り巻く安全保障環境の変化があるとみられる。中国の軍備増強や日本の領海への侵入が安全保障上の脅威だと「感じる」との回答は、「大いに」59%、「多少は」34%を合わせて93%に上った。

 9条を今後どうすればよいと思うかを尋ねると、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」が44%(前回43%)で、「これまで通り解釈や運用で対応する」が38%(同37%)、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」が14%(同15%)と続いた。

 国会で憲法に関する議論を進める際、AI(人工知能)などデジタル技術の発展をふまえるべきだと「思う」は58%で、「思わない」の39%を上回った。

 調査は3月12日~4月18日、全国の有権者3000人を対象に実施し、2002人から回答を得た(回答率67%)。