結局、人口減少でこの国に何が起こるのか…2025年「限界自治体」が111ヵ所になる未来

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人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。

※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

住民の約7割が高齢者の町

5年が経過すると、県庁所在地では人口減少の流れが加速する。2020年時点では何とか人口を維持していた6都市のうち、0.4%増の宇都宮市を除く5市(水戸市、那覇市、大分市、大津市、金沢市)が人口減少に転じる。2020年時点で人口減少下にあった青森市の場合、対2015年比の減少幅はさらに拡大して10.7%減となり、わずか10年で1割以上というハイスピードの縮小に見舞われる。

人数で見ると、2020年の岐阜市、宮崎市に続き、2025年には長崎市が40万都市から脱落。秋田市も30万都市、松江市は20万都市の名を返上することとなる。

一方、高齢化の影響が出始めるのもこの頃だ。秋田市は35.6%、青森市35.2%、長崎市35.0%、奈良市33.3%、前橋市と長野市が32.7%と、およそ住民の3人に1人が65歳以上になる。

前年の2024年には団塊世代がすべて75歳以上となることから、75歳以上を見ても奈良市(20.7%)、秋田市(20.4%)、長崎市(20.0%)では20%を超える。

全国の市区町村に目を転じれば、群馬県南牧村は69.8%、奈良県川上村67.3%、群馬県神流町67.1%など、高齢化率が60%を超える市町村は9つに上る。50%越えとなるところは111ヵ所になるなど、「限界自治体」が珍しい存在ではなくなる。

75歳以上の割合は、群馬県南牧村の45.9%、奈良県川上村45.0%をはじめ、8つの自治体で40%を越える。ここまで高齢化が進むと、人口の減少率も大きくなる。川上村の場合、2015年に比べて37.4%減となる。南牧村と北海道歌志内市は35.9%減、奈良県野迫川村は35.4%減など、人口が軒並み3分の2となる。

高齢化も進み、人口も減ったのでは税収も減る。南牧村や川上村まで人口が減らない町村でも、自治体運営に弊害が現れてくる市町村が広がり始めるだろう。

例えば、2025年の南牧村の場合、人口は1268人だが、0~4歳は6人、5~9歳は8人、10~14歳は13人である。こうした数字を見ると小中学校の存続が難しくなることは容易に想像される。ところが、問題はそれだけではない。

南牧村に限らず、全国各地で周辺自治体の人口が総じて減るところが出てくると、高校の存続が難しくなるのだ。すでに全校生徒が50人といった県立高校も存在する。こうした学校の統廃合が進んだならば、通学が不可能という生徒も出てくるだろう。