更地の固定資産税を安くする方法!高くなる理由や払えない時の対処法

空き家になった実家を相続するなどした場合、古い家があると土地が売れにくいことや管理の手間、費用をなくすために家の解体を考えることもあるでしょう。
しかし家を壊して更地にすると土地の固定資産税が高くなることがあるので、更地にするかどうかは十分検討が必要です。

本記事では、更地の固定資産税を安くする方法や税金を払えない時の対処法、また空き家を放置するリスクなどについて解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

1. 更地の固定資産税が高くなる理由

価格が上がる
ではなぜ更地にすると固定資産税が高くなってしまうのか、その理由から見ていきます。

固定資産税の計算方法

固定資産税の基本的な計算方法は以下の通りです。

固定資産税額=課税標準×1.4%

税率の1.4%は標準税率であり、自治体によって違うことがあるので不動産を管轄する自治体でどうなっているか確認が必要です。課税標準はその建物の価値を指し、基本的に自治体が設定する固定資産税評価額が入ります。

つまり、その建物の価値の1.4%分を固定資産税として払うということになります。

更地と建物が建っている土地の違い

固定資産税には「住宅用地の課税標準の特例」というものがあり、住宅用の建物を建てるための土地については課税標準を低く見積もることができるようになっています。

住宅用地のうち、面積200㎡以下までは小規模住宅用地として課税標準が固定資産税評価額の6分の1になります。200㎡を超える部分についても、一般住宅用地として課税標準が固定資産税評価額の3分の1になります。

固定資産税の“税額”が6分の1、3分の1になるわけではなく、あくまで課税標準を低く見積もれるものですが、税率を掛ける対象の数字が小さくなるわけですから、算出される税額もかなり安くなります。

この特例は非常にお得なものですが、家を解体してしまうと住宅用地ではなくなるため特例を受けられなくなり、税金が上がってしまうのです。

家や土地の売却を考えている方は、不動産一括査定がおすすめです。下のフォームを入力すれば、 複数の会社の査定結果を比較できるので、 高く・早く売れる可能性が高まります。

2. 更地の固定資産税を安くする方法

価格が下がる
では更地の固定資産税を安くする方法として、どのような手段があるか見ていきます。

建物の取り壊しは1月1日以降にする

固定資産税の計算の元になる課税標準は、毎年1月1日時点の評価を元に設定されます。そのため、1月1日以降に建物を取り壊せば、その年は特例の適用を受けられるので固定資産税が安く済みます。

もし新たに建物を建てるなら、翌年の1月1日までに新築工事を終了させることで翌年も特例を利用できますから、タイミングを考慮して計画を立てるのがおすすめです。

住宅または賃貸の共同住宅を建てる

建物を壊して一旦特例の適用から外れてしまっても、新たに建物を建てることで再び特例の適用を受けることができます。一般的な住宅だけでなく、アパートなどの共同住宅も特例を利用でき、実はアパートの方が税金的にはお得になります。

上で見たように小規模住宅用地として200㎡までの土地の課税標準が大幅に減額されるわけですが、アパートの場合、「戸数×200㎡」として計算できます。

例えば戸数が5戸のアパートであれば1000㎡まで小規模住宅用地として扱えるので、一般的な住宅よりもお得になります。

農地に転用する

農地は基本的に宅地より固定資産税評価額が安くなるので、税金が安くなります。可能であれば農地転用を考えることもできますが、一度農地にしてしまうと宅地に戻すのは大変なのでよく考える必要があります。

また土地が市街地にある場合、仮に農地に変えたとしても宅地並みの課税を受けることもあるので注意が必要です。

サムネイル画像

更地に木を植えると、固定資産税が節税できるって本当?

駐車場を経営する

駐車場として土地を利用する場合、住宅用地ではなくなるので基本的に特例の適用を受けられません。

しかし駐車場経営で生み出した利益を固定資産税の納税資金に利用できるので、結果として税負担を軽減できます。

また、その駐車場のとなりでアパート経営をするようなケースでは、人が住むアパートと駐車場を一体の土地として利用していると考え、特例の適用を受けられることがあります。その場合は駐車場の土地も固定資産税の減額を受けられます。

売却する

使わない土地であれば税金がかかるだけですから売却も視野に入れましょう。

売ってしまえば以後は固定資産税はかかりませんし、売却代金でその年分までの固定資産税を支払えます。

無償譲渡、寄付する

そのまま所有していても税金がかかるだけのため、買い手が付かない土地の場合は無償譲渡や寄付も考えましょう。

「タダなら貰っても良い」という人は意外と多くいるので、無償譲渡ができれば少なくとも以降の固定資産税を払わなくて済むようになります。慈善団体などに寄付をすることもできるので、受け取ってくれるところを探してみましょう。

3. 空き家の放置は高リスク

image
建物を壊すと土地の固定資産税が上がるからといって、空き家を放置するとまた別の危険やリスクが生じます。

空き家放置のリスクや危険を横断的に見ていきます。

劣化が早まる

人が住まなくなった家は急激に朽ちるスピードが速くなります。

換気や通水などの手入れがされなくなることが理由と考えられますが、1年から数年程度の短期間で老築化が激しく進むこともあり、これを防ぐには頻繁な手入れと適切な管理が欠かせません。

倒壊の危険が生じる

傷みが進んでくると建物が倒壊する危険が出てきます。

周辺に家があれば被害を与える危険が生じ、通行人に被害が及ぶこともあるかもししれません。積雪がある地域では雪の重みで倒壊しやすくなりますし、台風でなくとも少し風が強く吹くだけでも倒壊するリスクが出てきます。

害虫が発生する

老築化が進んだ建物では害虫も発生しやすくなります。ネズミなどの小動物の増加も考えられ、フンなどによって不衛生な環境となります。

この影響は周囲にも悪影響となり、周辺住民が健康被害を起こすことも考えられます。

ごみを不法投棄される

たまにメディアなどでも特集が組まれることがありますが、人が住まなくなり管理されていないと分かると、そこに不法投棄をされることがあります。

一般ごみから粗大ごみ、家電など、一般の人が捨てるケースもありますし、廃品業者などが大型のごみを捨てていくようなケースもあるようです。「割れ窓理論」といって、誰かが一度ごみをすてると、そこがゴミ捨て場となったかのように次々と不法投棄が連鎖します。

不法投棄は一度起きると手が付けられなくなるので十分注意が必要です。

放火される

これもニュースになる事がありますが、空き家は放火のターゲットにされやすくなります。特にチラシなど火を付けやすいものが放置されているとハイリスクで、容易に放火を許してしまいます。

ちなみに、空き家は保険会社にとってもリスクが高いため、基本的に住宅用の火災保険に加入するのは難しいと思ってください。ビジネステナントなど企業向けのプランであれば加入できることがありますが、保険料は割高になります。

また空き家になる前から加入していた住宅用火災保険がそのまま継続になっていたとしても、実際に火事が起きて保険会社の調査を受けた際に空き家であったことが分かった場合、保険金が支払われないことがあります。

勝手に住まれる

電気が付かなくても水が通じていなくても、雨風を防げればそれでいいと考える輩に勝手に住まわれるリスクもあります。

実際、そのようなケースもマスコミ等で報道されたことがありました。

犯罪に利用される

犯罪集団の根城にされることもありますし、薬物の売買に使われるケースもあります。

これもテレビ等で事件が報道されていましたが、海外から持ち込んだ薬物の郵送先として空き家を指定し、ポストに入れられた薬物を受取人が回収するという手口で空き家が利用されたケースがありました。

勝手にそのようなことに使われることも恐ろしいですが、もし管理や手入れで空き家に出向いた際に犯罪組織の人員とかち合ったらと考えると余計に恐ろしくなります。

資産価値が下がる

無人になることで早まる老朽化の影響のほか、上で見てきたような諸々のリスクにより建物の資産価値が下がります。そのような建物が建つ土地として、土地の価値も下がるでしょう。

いざ売却となった時に高値で売るのが難しくなります。

所有者責任が問われる

倒壊や害虫、悪臭などで周囲の建物や人に被害が及んだ場合、所有者としての法的責任が問われる可能性があります。

損害賠償や慰謝料などで多額の出費が必要になるかもしれません。

特定空き家に指定される

空き家の放置は地域に大きなリスクをもたらすため、危険な空き家が生じないように国は2014年に法律を作っています。

通称「空き家法」と呼ばれ、倒壊など物理的な危険や悪臭などの環境被害を生じさせたり、景観を著しく損なう、その他放置することが不適切な状態となっている空き家は地元自治体が「特定空き家」に指定することができます。

特定空き家に指定されると、以下のようなステップを経て最終的には強制的に建物が解体され、その費用を請求されます。

①指導・助言

行政指導として建物の危険を除去するように指導されます。
この時点で対応すれば特定空き家の指定を解除してもらえます。

②勧告

指導・助言に適切に対処しない場合、行政から勧告の処分を受けます。勧告は単に強い口調で指導されるというものではなく、定められた期限までに状況を改善する法的な責任が生じます。

またこの勧告を受けた時点で、上で見た「住宅用地の課税標準の特例」の適用対象から外されます。

勧告に従って状況を改善すれば良いわけではなく、勧告を受けてしまった時点で上記特例の適用から外され、固定資産税が上がってしまうので注意が必要です。

③命令

勧告に従わない場合、自治体は命令の処分を下します。
命令に従わない場合、最大50万円の過料に処せられます。

④行政代執行

それでも状況が改善しない場合、行政代執行として建物が強制的に解体され、所有者はその費用について請求を受けることになります。

家の売却を考えている方は、不動産一括査定がおすすめです。下のフォームを入力すれば、 複数の会社の査定結果を比較できるので、 高く・早く売れる可能性が高まります。

4. 固定資産税が払えない場合

お金に悩む女性
固定資産税は定められた期限までに支払う必要があり、期限を過ぎると延滞金というペナルティが発生します。これは一般の借金でいうところの延滞利息に相当し、必要な納税がされるまでずっとかかり続けます。

また最終的には納税者の財産が差し押さえられてしまうので、固定資産税を払えない場合は早急に対処が必要です。

以下で対処法を見ていきます。

自治体に相談する

自治体では以下のような相談が可能なので、早めに今後の支払いについて相談してください。

①分納

最大12回程度までの分割払いを認めてもらい、一回の支払いにかかる負担を減らしてもらいます。

②徴収猶予

病気をしたり災害にあった、あるいは事業の休廃業で収入が減ってしまったなどの事情がある場合、固定資産税の支払いを一定期間待ってもらえます。

③減免

生活が困難で生活保護を受けている、あるいは災害で建物が大きな被害を受けたなどの場合、固定資産税を半額~全額免除してもらえることがあります。

④換価の猶予

財産の差し押さえを受けてしまった場合でも、換価処分されると生活ができなくなる、事業を継続できなくなるなどの事情が認められる場合、換価処分を一定の間待ってもらうことができます。

売却する

不動産を売却すればその代金で固定資産税を払うことができ、翌年以降は所有者ではなくなるので税負担が発生しなくなります。

今住んでいる家など通常の売却が難しい場合はリースバックを検討できます。リースバックは売却することで買い手に所有権が移りますが、以後は賃料を払って使用を続けることができます。

サムネイル画像

家を売っても住み続けられるリースバックの仕組みや相場、デメリット・注意点を解説!

まとめ

本章では更地の固定資産税を安くする方法や税金を払えない時の対処法、空き家を放置するリスクなどについて見てきました。

家が建っていた土地を更地にすると、住宅用地の課税標準の特例を受けられなくなるため、固定資産税が高くなります。更地にする場合でも解体の時期を調整するなどして、できるだけ固定資産税を安くする方法を模索しましょう。

建物を解体しなければ税金面では特例を受け続けることができますが、そうすると建物から生じる危険やリスクが生じてくるので、なかなか悩ましい問題です。

空き家を放置することのリスクを踏まえ、管理を徹底する、早めに売却を検討するなどの対応を考えましょう。

家の売却を考えて、この記事を読んでいる方は、不動産一括査定がおすすめです。下のフォームを入力すれば、 複数の会社の査定結果を比較 できるので、 高く・早く 売れる可能性が高まります。

執筆

オウチーノニュース編集部

マイホーム購入のダンドリ、不動産売却にかかる費用、賃貸物件の探し方など、住まいの基礎知識から契約、税金といった専門的な内容までわかりやすく解説。宅地建物取引士や司法書士、税理士、FPなどの不動産・お金の専門家が、監修・執筆した記事を配信しています。