「宇宙と交信するための秘密基地だと思ってました」山上にそびえる謎の巨大な鉄塔 実はすごい施設だった

「宇宙と交信するための秘密基地だと思ってました」山上にそびえる謎の巨大な鉄塔 実はすごい施設だった | MRTニュース | MRT宮崎放送

えびの市の山の上にある複数の鉄塔についてです。えびの市に行くと遠くから見えて存在感もありますが、何の施設なのか知らないという方も少なくないと思います。今回、特別に許可を得てその内部を撮影しました。

一体、何のための鉄塔なのか…

山々に囲まれたえびの市。
その山の上に目を向けてみると異様な存在感を放つ巨大な鉄塔がある。

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調べてみるとネット上にもこんな声が…
「遠目からでも分かる山頂から垂直に延びた何本もの塔が明らかにやばい」
「宇宙と交信するための秘密基地だと思ってました」
(渕雅顕記者)「こちらの場所からも山の上に鉄塔があるのが確認できます。あれで宇宙と交信しているんでしょうか。あの謎の鉄塔について、近くの道の駅で聞き込みをしていきたいと思います」
「道の駅えびの」で聞いてみると…
Q:山の上に見える鉄塔は何かご存じですか?
(地元の女子高校生)「知らない。なんでここに立ってるんだろうなと」
(職場が地元の男性)「分からない。何かあるなという感じで怪しい」
(地元の男子高校生)「知らないエヴァンゲリオンでああいうのが出ていたのでかっこいいなと思う。男心をくすぐられる」
Q:何かは知らないけど?「何かは知らないけどメカメカしいやつ好き」

聞き込みを進めるとある貴重な証言が得られた。

(道の駅の職員)「上のですか?海上(自衛隊)の潜水艦のやりとりをする大きなアンテナと聞いている」

どうやら海上自衛隊に関する施設のようだ。
今回、調査班は、特別に許可を得て、その内部に潜入した。

えびの市の山の上にある「えびの送信所」

今回、その内部の撮影が許可された。

送信所の所長を務める田本茂久さんに案内してもらった。
(渕記者)「下から大きな鉄塔が見えたがここは何の施設?」
(海上自衛隊中央システム通信隊えびの送信所・田本茂久所長)「こちらは海上自衛隊の送信所で潜水艦に対して情報を送信する場所」

(渕記者)「海上自衛隊の施設なんですね。宇宙と交信してるわけじゃないんですね…」
「宇宙とは交信してないですね…」

標高およそ720メートルの山中にある「海上自衛隊中央システム通信隊えびの送信所」。

東京ドーム55個分の敷地に8本の鉄塔がそびえたっている。

指令を潜水艦に送信

「えびの送信所」ができたのは今から30年余り前の1991年。

施設の建設には広大な敷地が必要だったため、えびの市の山中が選ばれたという。
ここでは「VLF」という超長波帯の電波を使って、海上自衛隊の神奈川県の部隊から来た指令を潜水艦に送信している。

国内で稼働している唯一の超長波通信施設で、日本一の大きさを誇るアンテナだという。

さっそく、鉄塔のもとに案内してもらった。
(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久 所長)「こちらが下からも見えている鉄塔になります。鉄塔は8本あってそれぞれ高さが異なる。いまこちらで見えている鉄塔230メートルの鉄塔になっていて一番高いので270メートル一番低いので160メートルの高さになる」

鉄塔は、先端が標高1000メートルにそろうようそれぞれ長さが変えられていて、電波は、鉄塔につながるアンテナから発せられているという。

(渕記者)「電波はどのくらいとどくのか?」
(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久 所長)「そこは具体的には答えられないが遠くまでとんでる」

自衛官ではなく民間が業務に

続いて案内してもらったのが、こちらの部屋。
職員が真剣なまなざしでモニターと向き合っている。

(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久所長)「こちら送信局舎になります。必要な電波の形式などを選択して送信するような作業を行っている」
そして、ここは、自衛隊の施設としては極めて珍しいある特徴があるという・・・

(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久所長)「24時間365日常駐していて見ていただければ分かるが自衛官ではなく民間の方が業務についている」
情報はすべて暗号化されており、職員がその内容を知ることができないようになっているため、業務を民間に委託するアウトソーシングが行われている。

国の防衛に関わる重要施設

そして、最後に向かったのがこの部屋。

(渕記者)「広いですね~ここは何の役割を?」
(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久所長)「こちらはコイル局舎になります」

電波の状態は雨や風など天候の影響を受けるため、このコイルをミリ単位で調整する必要があるという。
(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久所長)「こちらに木の車輪があるがこの車輪で外側のコイルを動かしている。内側のコイルは固定になっているので外側がミリ単位で動くようになっている」

えびの市の山の上にそびえる巨大な鉄塔。それは、国の防衛に関わる重要施設だった。
(海上自衛隊えびの送信所 田本茂久 所長)「トラブルがなく送信所の施設を運営するというのが第一の仕事だと思うので、当たり前を維持するためにはメンテナンスが重要だと思うので、日々メンテナンスしながら運用していきたい」

「えびの送信所」の建設から30年余り経ちますが、えびの市によると設備の老朽化に伴い、防衛省は、市内で移転を計画しているということです。

計画では、2025年度をめどに移転場所を決定し、2036年度末の運用開始を目指しています。