「釣り」か「景勝」か…高千穂峡での釣りをめぐって町は困惑

image
image
image
image

県内有数の観光地、高千穂峡での漁業を巡って高千穂町側が困惑する事態となっています。
西臼杵漁業協同組合が、これまで控えていた高千穂峡での漁業を3月から開始すると町側に通知。
町長は「高千穂峡の神秘性が失われるのでは」と懸念を示しています。
国の名勝・天然記念物に指定されている高千穂峡。
国の内外から多くの観光客が訪れ、渓谷を遊覧できる貸しボートは人気を集めています。
この高千穂峡を巡って、去年10月に西臼杵漁協から町に要望書が届きました。
「高千穂峡を漁場として使用できないかとする意見が多数ありましたので、漁協としてもこの度、高千穂峡での漁業活動を行うことといたしました」
また要望書には、漁の解禁に応じて、はえ縄漁や、かにかご漁など様々な漁を行うことや、釣り船を係留するために貸しボート施設の使用などが書いてあったということです。
さらにその後届いた通知書では、3月1日のヤマメ漁の解禁日から開始する旨が書いてありました。
県によりますと西臼杵漁協は、五ヶ瀬川水系の漁業権が認められていて、高千穂峡内での漁業活動は可能です。
ただ組合側はこれまで観光地であることから、慣例的に漁業は控えてきたということです。
(矢野文昭 組合長)
「高千穂峡で釣りもやってはどうかという声が、数年前から出てきてましたので、今回思い切って実施してみようかということでスタートした」
「当然ボートを使う人も(漁業者や遊漁者に)気を付けてもらわんといかんじゃろうし、当然私たちもあそこで釣りをする場合は、お互い様ですから、そこは共有しながらやっていけたらなと思っている」
全国に名だたる景勝地である高千穂峡で、釣りなどの漁業ができることが新たな発信になると話す組合側。
一方、高千穂町は…
(甲斐宗之町長)
「高千穂峡というのは、高千穂の宮崎県全体としても、観光の顔という場所でもあるので、観光地としてのイメージが壊れてしまうんじゃないかという懸念を感じた」
「ここの神秘性が失われてしまうんじゃないかということ、ブランドイメージが壊れるんじゃないかということと、そして多くの観光客が訪れる高千穂峡でありますので、釣り竿など振られた場合の危険も伴うんじゃないかというところ」
今後、対話を重ねたいとする町側。
組合側は3月から漁業を開始する方針ですが、協議には応じる姿勢だということです。