政治資金収支報告書に記載しなかったお金 税金を払う必要は? 税理士と弁護士に聞いてみた

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去年選ばれた2023年を象徴する漢字「税」。
なぜ税か…というと、

一連の政治とカネをめぐる問題でこんな声が聞かれるからです。

「これって脱税じゃないの?」

さて、収支報告書に記載しなかったお金、税金を払う必要は・・・?


税理士 飯島正樹さん:
「非課税とされる政治にかかわる収入というのは、あくまで政治資金として政治資金収支報告書に記載をされて報告されたものだけなんですね。ですので一般論でいえば個人に対する所属課税が発生するのではないかという考えがあります」

元甲府市議で、国会議員の収支報告書の監査人を務めた経験もある税理士の飯島正樹さんです。


今回、自民党の国会議員などで問題となっているキックバックの収入については課税対象となる場合もあると指摘します。


政治団体が寄付やパーティーで集めた収入は政治資金として税金はかかりません。
しかし、政治資金収支報告書に記載しなかった場合は…


税理士 飯島正樹さん:
「(報告書不記載は)原則としては政治資金としての取り扱いができない。つまり支出側でも不記載になっている。頂いた側でも不記載をしてるという状態では政治資金規正法の上では政治資金にはなりませんので、個人の所得課税が出てくるのではないか。所得税の区分では雑所得という事になろうかと思います」

キックバックされたお金を政治活動以外に使った場合、課税の対象となる可能性を指摘しています。



税理士 飯島正樹さん:
「個人的に費消したという場合には(政治活動として)経費には認められないはずです」「今回は非常にレアなケースが多発しているわけですけれども、最終的には課税庁の判断になろうかと思います」


今月20日、山梨県の長崎知事の資金管理団体が派閥から渡された現金1182万円をおよそ5年間、事務所の金庫に放置し、政治収支報告書に記載していなかったことが明らかになりました。

この場合、税金の問題は・・

弁護士 中川佳治さん:
「知事の説明を前提とするならば、私は脱税には当たらないと思います」

民事・刑事に詳しい中川佳治弁護士は、この1182万円が「誰のものか」という点がポイントだとしています。


弁護士 中川佳治さん:
「(現金が)両当事者の間で『誰に帰属する』という意思が合致していたかという部分に関わってくると思うんですよね」

これについて知事の説明は…


山梨県 長崎幸太郎知事:
「志帥会から明確に寄付として交付を受けたものではないことから、処理方針が示されるまでの間の預り金のようなものとして認識し、分別管理を行っていたものです」


弁護士 中川佳治さん:
「そうすると明確に寄付なり、このお金はあなたに最終的に帰属するものですよ、という意志の確認があってお金がわたっているというところが、もし、ないのであれば、やはり長崎知事側の管理団体の方に利益が帰属した、金銭が帰属したというのは難しいのではないかと思います」


知事側が「預り金」として処理していることは資金団体として「金銭を得ていない」、「収入を得ていない」ことになるとしています。


弁護士 中川佳治さん:
「『預かっている』というお金であれば(知事側に)帰属していないという事になるので、私はそれに対する課税というのは私は考えられないと思います」

ただ、税法上問題はないとみられていても2人の専門家は一連の政治とカネを巡る問題で政治資金のあり方を考える必要はあると指摘します。

弁護士 中川佳治さん:
「過去に遡ってその当時渡していた主旨が寄附金であれば最終的にそれに対する課税も考えられませんし、問題ないといえば問題ないのかもしれませんが、ただ(政治倫理的に)修正すればいいという話では個人的にはないのではないか、と思う」


税理士 飯島正樹さん:
「企業の連結会計のように一人の政治家の複数の政治団体をひとまとめにして収支の流れを明らかにして国民の目に、不断の監視の下に置くということも必要、大事かと思います」