2024年11月に、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が閣議決定されました。
この経済対策の一部には、住民税非課税世帯や所得税非課税の低所得者世帯に対する支援策が盛り込まれています。
具体的には、低所得者世帯への「7万円または10万円」の給付、給付金の対象外となる方については所得税と住民税の定額減税が実施される予定です。
給付金と定額減税の詳細
出所:内閣府「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(10万円/1世帯)のご案内」等を基に筆者作成
では、「住民税非課税世帯」とはどのような世帯のことを指すのでしょうか。
今回は、住民税の仕組みや住民税非課税世帯となる条件などについて解説していきます。
1. 住民税非課税世帯について
住民税非課税世帯とは、その言葉の通り、住民税が課税されない世帯のことです。
収入が一定以下の方は住民税が非課税となり、生計を一にする家族全員の住民税が非課税の場合、「住民税非課税世帯」となります。
1.1 住民税の仕組み
住民税は、「所得割」と「均等割」に分類される地方税です。それぞれ「市町村民税」「道府県民税」として地域社会の費用を分担するものになっています。
所得割は所得に応じて課税額が決まり、所得が多いほど税額も大きくなります。一方、均等割は所得に関係なく一律で支払う税金であり、税額は自治体によって若干異なる場合があります。
住民税の概要
出所:財務省「身近な税」
所得割は所得金額の10%、均等割は5000円程度を負担する形です。
2. 住民税非課税世帯となる条件
住民税非課税世帯の条件を満たすには、「所得割」と「均等割」の両方が非課税である必要があります。
東京23区内における住民税非課税世帯の条件を以下にまとめました。
・生活保護を受けている方
・「障害者・未成年者・寡婦・ひとり親」で、合計所得金額が135万円以下の方
給与所得者の場合は、年収204万4000円未満
・年間の所得額が下記の金額以下の方
<同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合>
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
<同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合>:45万円以下
3. 「7万円・10万円」給付金を受け取る手続き
申請方法や支給時期などについては、お住まいの自治体から発表される情報を確認しましょう。例えば、世田谷区の公式ウェブサイトでは下記の情報が記載されています。
世田谷区の給付金の概要
出所:世田谷区「令和5年度世田谷区価格高騰重点支援給付金(追加給付分/7万円)について」
<申請手続きが不要な世帯>
- すでに価格高騰重点支援給付金(3万円)を受給した世帯に対しては、「支給のお知らせ」を2025年1月12日に発送済み
- 支給時期は1月31日前後
<申請手続きが必要な世帯>
- 「支給のお知らせ」発送対象世帯以外の世帯
- 「確認書兼申請書」が2月9日または3月下旬以降に発送予定
- 「確認書兼申請書」を返信後、1~1.5カ月程度で振込予定
出所:世田谷区「令和5年度世田谷区価格高騰重点支援給付金(追加給付分/7万円)について」
4. まとめにかえて
低所得者世帯への給付はすでに始まっており、定額減税については2024年6月から実施される予定です。
どちらも我々の生活を支援するものですので、内容を把握しておきましょう。
なお、給付金受け取りの手続き等は自治体によって取り扱いが異なります。
必ずお住まいの市区町村の公式ウェブサイトで確認し、申請が必要な場合は手続きをしましょう。
参考資料
- 内閣府「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(10万円/1世帯)のご案内」
- 財務省「身近な税」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 世田谷区「令和5年度世田谷区価格高騰重点支援給付金(追加給付分/7万円)について」
加藤 聖人
執筆者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)、生命保険募集人。証券会社で約8年間、株式や投資信託、生命保険等の販売に携わる。退職後はフリーライター兼個人投資家として活動。金融ジャンルの記事を中心に執筆しつつ、日々のマーケット動向も注視している。