クルマを持つなら、結局「現金」「残クレ」「サブスク」どれがいいのか? 元ディーラー営業マンがこっそり教えます

クルマの購入といえば、数年前までは現金かローンが主流だった。しかし、今では残クレやサブスクリプション契約といった新しい選択肢もある。それぞれの「向き」「不向き」を解説する。

新時代の選択肢

image
自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 クルマの購入といえば、数年前までは現金かローンが主流だった。しかし、今では残価設定型クレジット(残クレ)やサブスクリプション契約といった新しい選択肢もある。

 これらの選択肢は、クルマの使い方によって「向き」「不向き」がある。今回は、これらの選択肢の特徴と向いている人、向いていない人について解説する。

 クルマを購入する際、自分自身はどのようなクルマを買えばいいのか悩む人もいるだろう。それぞれの特徴をあらかじめ理解しておかないと、販売店で戸惑ってしまう可能性もあるのだ。

クルマの買い方

自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 早速、クルマの買い方を確認しよう。

●一般的な購入方法
 最もスタンダードなクルマの買い方は、購入代金の全額を現金で支払うか、一部をクレジット(ローン)で支払う方法だ。ただし、現金と銀行などの一部ローンを利用すれば、納車時から「自分のクルマ」として使うことができる。

●残価設定型クレジット(残クレ)
 高額化するクルマを買いやすくするための新商品が残クレだ。残クレとは、従来のローンとは異なり、ローン契約終了時のクルマの価値をあらかじめ見積もり、最終的な支払いにあてることで、月々のローン返済額を抑えることができる商品である。

 最大のメリットは、通常の手続きでは手が届かない高額なクルマでも購入できることだろう。一方、デメリットは、ローン支払時に

・ローン支払時に、返却/買い替え/買い取りの選択を迫られる
・事故による修復や過走行によるペナルティーを課せられる

ことだ。

●サブスクリプション契約
 いわゆるZ世代は、クルマの価値を「所有するもの」から「利用するもの」に変えた。この変化に対応するために設けられたのが、サブスクリプション契約である。

 ただし、この商品はサブスクリプションというよりも“個人リース”に近いということを念頭に置いておく必要がある。決まった年数でリース契約をして、毎月決まった金額を支払う方式が採られているからだ。

 この「毎月決まった金額を支払う」のポイントは、クルマに興味のないZ世代が、車両代金、保険料、税金、維持費などを一本化することで、クルマに関わる出費(駐車場代とガソリン代以外)を定額にでき、手間のかからない、いわゆる“タイパ”のよいクルマの買い方として認識できることだ。

自分に合った買い方

自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 これらのクルマの買い方にはメリットとデメリットがあり、それはクルマの使い方やクルマに対する考え方によって大きく異なる。ここでは五つのケースを取り上げ、どの買い方が自分に合っているかを解説する。

●1台のクルマに長く乗りたいケース
 モノを大切にし、愛着を持って扱いたい人であれば、従来のクルマの購入方法として最も一般的な「現金もしくはローン」を選択することをお勧めする。残クレもリースも、契約満了後に顧客が買い取りを選択できるプランもあるが、支払金利などを考慮するとトータルコストは高くなる。

 現金一括が難しい場合でも、金利負担を軽減するために銀行などの長期ローンを利用することをお勧めする。

●定期的に新車を購入したいケース
 新車を購入し、3年後の初回車検後、または5年程度で買い替えを予定している人には、残クレの利用がお勧めだ。残クレを利用せずに通常のローンで代用することも可能だが、最終的な残債を清算できない可能性があるため、特定条件で買い取り価格が確定する残クレの利用は非常に便利だ。

 前述のとおり、残クレの返却には条件があるので注意が必要だ。また、残クレ契約が切れる3~5年の間にライフスタイルが確実に変化する人にも残クレの利用をお勧めしたい。

残り三つのケース

自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 残り三つのケースを解説する。

●通勤・通学で決まった距離を乗るケース
 どのような購入形態にもいえるが、まず見極めるべきは「月に何km走るのか」である。平均走行距離が500~1500kmであれば残クレやサブスクリプション(リース)でも問題ないが、それ以上になると無理な場合もあるので、現金かローンで購入するのがよい。

●クルマの支払いを一本化したいケース
 駐車場代とガソリン代以外のクルマのランニングコストを一括で支払いたい場合は、わかりやすいサブスクリプション(リース)がお勧めだ。毎年収める自動車税や車検時に収める自動車重量税はもちろん、メンテナンス込みのプランは、突然発生する高額な修理・車検費用を月々の費用に含めることで、顧客にクルマを所有(利用)してもらうものだからだ。

●クルマを業務で使用するケース
 最も難しいのが、クルマを業務で使用するケースだ。クルマは資産であるため、経費として処理することは難しく、向き不向きは業種や財務状況によって異なる。クルマを資産として所有し減価償却するか、レンタル品として扱い経費にするかを決める前に、税務アドバイザーに相談することをお勧めする。専門家のアドバイスを受けることで、大幅な節税が可能となる。

以上の五つのケースを検討し、適切な選択をしてほしい。