70歳以上も働き続ける日本社会が確実にやってきている

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〈年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。〉

話題のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

70歳まで働く未来

日本企業において、会社員は65〜70歳まで働く人が増える未来は確実にやってくる。

〈2021年4月に施行された高年齢者雇用安定法では、現状義務化されている65歳までの雇用確保に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するための高年齢者就業確保措置が企業の努力義務とされた。

ここでは雇用の提供というこれまでの選択肢に加え、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の創設などの選択肢も提示されている。

同改正法は、雇用であれ、業務委託であれ、70歳までの従業員の生活を保障してほしいという政府から企業への要請となっている。〉(『ほんとうの定年後』より)

そうした状況のなか、60代で管理職に就いている人はほとんどいなくなる。

〈部長職の構成比率は、50代前半で26.6%、50代後半で26.9%と50代でピークを打った後は急速に減少し、60代前半には8.8%、60代後半には2.7%までその数を減らす。

特に、大企業においては、部長職にまで上り詰めることができる人はごく一部である。そのごく一部の人も年齢を重ねるなかでいずれその役職を降りることを余儀なくされる。

課長職ではさらに状況は厳しい。課長職の年齢構成をみると、60代前半でその職に就く人の比率は2.9%、60代後半は0.5%となる。50代後半以降、多くの人は役職定年や定年を経験して役職をはく奪される。

60歳を過ぎて、部下を多数有する常勤の役職者で居続けることは、多くの日本企業では不可能になっている。〉(『ほんとうの定年後』より)

年金の支給開始年齢引き上げ

国は多くの人を長く働かせるように政策を進めている。

定年後の収入の柱の一つにもなる、年金の支給開始年齢が引き上げられていることも大きい。

〈少子高齢化によって日本財政がひっ迫するなか、将来の世代が過去の世代が給付されてきた高額な年金を受け取ることは、もはや不可能に等しい。

これまで行われてきた厚生年金の支給開始年齢引き上げの影響も大きい。過去は60歳時点で受け取れた厚生年金保険であるが、男性受給者については、2022年時点において定額部分が65歳から、報酬比例部分は64歳からの支給となっている。

報酬比例部分の支給開始年齢は現在引き上げの最中であり、男性は2025年、女性は2030年をもって65歳で統一される。〉(『ほんとうの定年後』より)

70歳まで働かなければいけない現実をどう考えるか。

余裕を持ち、豊かに自由さを確保しながら働くにはどうすればいいか。

できるだけ早く準備をして、高齢労働社会に備えたい。

つづく「年収100万円、70〜80代に幸せな人と不幸な人の『決定的な違い』」では、年収が激減する70代以降をどう生きればいいのか、データを確認しながら徹底的に読み解く!