【2023年人気記事】尿のニオイでわかるサインと対処法(専門家監修)

 2023年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初公開日は同年6月15日。年齢や固有名詞等は公開時のままとなります。本年も変わらぬご愛読のほどをよろしくお願いいたします。
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 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

雨も滴るいいオンナ(漫画:腹肉ツヤ子)

雨も滴るいいオンナ (漫画:腹肉ツヤ子)

1. 尿のニオイが変わった…これって何かの異常?

 リツコさん(35歳女性・仮名)からご質問をいただきました。

「実は最近、尿のニオイが気になっていて……」

 リツコさんは不安げに、えりのボスに話します。

「うまく説明できませんが、尿のニオイがいつもと違っていて、強いニオイがするんです」

 えりのボスはしばらく考え込んだあと、リツコさんの顔を見てこう言います。

「もしかしたら、何か病気が隠れているってこともあるわね」

「えっ……、一体どんな病気ですか?」

 リツコさんは驚いた様子でえりのボスに聞き返します。

 リツコさんは普段、会社などでトイレを使う際にもニオイが残らないか心配でたまらないそうです。

 これは放っておけません!

2. 尿のニオイから何がわかる?

病気が隠れている可能性も(写真:iStock)

病気が隠れている可能性も (写真:iStock)

「一体、何が原因なんでしょうか……」

 リツコさんは恐るおそる、えりのボスに問いかけます。

「膀胱炎や脱水の可能性もあるわ。糖尿病の場合にも、尿のニオイが変わるといわれているわよ」

 えりのボスは続けて、それぞれの尿の特徴について話します。

「もし膀胱炎なら腐ったようなニオイがして、脱水ならアンモニア臭が強くなるわ。糖尿病なら甘いニオイね」

「なるほど。どんなニオイかといわれると難しいです……。ちょっと腐ったようなニオイのような気もしますし、ただニオイが強いだけのような感じもします」

 リツコさんの話に相槌を打つえりのボス。

「ただニオイが強くなるだけなら、食べ物や飲み物のせいも考えられるわね。アスパラガスやニンニク、コーヒーとかなら、尿のニオイが強くなる可能性があるわよ」

3. 尿のニオイが気になるときのセルフケア

いつもと何かちがう…(写真:iStock)

いつもと何かちがう… (写真:iStock)

 ここからは、尿のニオイが気になるときのセルフケアを3つご紹介します。

3-1. 充分な水分補給をする

水分を意識して摂ろう(写真:iStock)

水分を意識して摂ろう (写真:iStock)

 充分な水分を摂ると尿の濃度が薄まるため、尿のニオイを緩和することができます。

 一般的に、1日に約1.5リットルの水分を摂ることが推奨されています。ただし、腎臓病などの疾患がある場合は、医師に相談してから摂取量を調整するようにしましょう。

3-2. ニオイが強くなる食材を知っておく

そのニオイ、食べ物が原因かも(写真:iStock)

そのニオイ、食べ物が原因かも (写真:iStock)

 尿のニオイが強くなる食べ物には、アスパラガスやニンニク、クミンのような香辛料や魚類、コーヒーなどがあるといわれています。

 これらの食材を摂取する場合は、水分を多めに摂り、必要に応じて消臭剤を使用するなどの対策をとりましょう。

3-3. 嗜好品を控える

タバコやアルコールを控えよう(写真:iStock)

タバコやアルコールを控えよう (写真:iStock)

 タバコやアルコール、カフェインなどの嗜好品は、尿のニオイを強くする原因となります。ニオイが気になる場合は、できるだけ控えるようにしましょう。

4. 尿のニオイには漢方でアプローチ

くり返す膀胱炎には漢方薬(写真:iStock)

くり返す膀胱炎には漢方薬 (写真:iStock)

 膀胱炎が尿のニオイの原因だった場合は、抗菌薬による治療が一般的ですが、膀胱炎になりにくいからだを目指すために漢方薬の活用もおすすめです。

 バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。

 膀胱炎の原因には、膀胱にたまった水分と熱による炎症やストレス、過労、冷えなどが考えられます。

 膀胱炎の対策には、止血作用や炎症を抑える作用に加えて、

・水分代謝を改善して尿の排出を促す
・からだを温めて膀胱の機能を正常化する
・消化や吸収機能をよくして免疫力を上げる
・自律神経の乱れを整えて心因性の膀胱炎を改善する

 といった作用を含む漢方薬を選びます。

 漢方薬は膀胱炎の根本改善を目的とするため、「膀胱炎がくり返される」と悩んでいる方にはとくにおすすめです。

 日常から免疫力を高めておけば、膀胱炎になりにくい体質を目指すことができます。

 また、漢方薬を選ぶときには、一人ひとりの状態や体質に合っているかを見極めることが重要。うまく合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用があらわれることもあります。

5. 尿のニオイの予防におすすめの漢方

尿のニオイは予防できる(写真:iStock)

尿のニオイは予防できる (写真:iStock)

 尿のニオイを予防したい方におすすめの漢方薬をご紹介します。

5-1. 五淋散(ごりんさん)

排尿痛や残尿感に効く(写真:iStock)

排尿痛や残尿感に効く (写真:iStock)

 膀胱にたまった熱を取り去り、泌尿器の炎症による症状をとることに用いられる漢方薬で、排尿痛や残尿感などの尿トラブルに働きかけます。

 また、水分代謝を促すことで排尿を促します。過労やストレスによって膀胱炎をくり返す方に。

5-2. 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

尿が出にくい方に(写真:iStock)

尿が出にくい方に (写真:iStock)

「気」(エネルギー)が滞ると尿が出にくくなり、熱がこもった状態を改善することで、尿のにごりや残尿感の悩みにアプローチします。

 比較的体力があって、下腹部の筋肉が緊張して熱感や痛みがある方に。

5-3. 猪苓湯(ちょれいとう)

頻尿、残尿感などの排尿トラブルに(写真:iStock)

頻尿、残尿感などの排尿トラブルに (写真:iStock)

 排尿を促して菌を排出させることで、排尿困難や排尿痛などの改善に働きかけます。頻尿、残尿感などの排尿トラブルや口渇がある方に。

6. 適切な対処で尿のニオイを防ごう!

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どんなニオイか気にしてみよう (写真:iStock)

尿がどんなニオイか、それによって対応が変わるんですね……。今日から意識してどんなニオイか気にするようにしてみます」

 えりのボスはリツコさんの言葉に頷きます。

「できそうなセルフケアから実践して、何かおかしいと感じたら病院ですぐ相談するようにね」

 リツコさんは今日から早速、生活習慣を変えていこうと心に決めました。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくリツコさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

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<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 藤田 佑莉(ふじた・ゆうり)

 北里大学卒業後、産婦人科門前の調剤薬局で働く中で、女性特有の不調に悩んでいる方が多いと実感。漢方薬による根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方をお手頃価格で提供する「あんしん漢方」で薬剤師としてサポートを行う。