宮崎の「竜喜丸」、近海カツオ一本釣り日本一 漁獲高で高知の船抜く

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漁獲高日本一になったカツオ漁船「竜喜丸」の乗組員=日南市提供

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漁獲高日本一になったカツオ漁船「竜喜丸」の乗組員=日南市提供

宮崎県日南市の南郷漁協所属のカツオ漁船「竜喜(たつよし)丸」(119トン)が今年、近海カツオ一本釣り漁の水揚げ高で日本一になった。日本一は11年連続で高知県の船が占めてきた。宮崎県内の漁船が日本一になるのは初めてという。

 宮崎県は近海カツオの一本釣りの水揚げ量が1994年から連続で日本一で、県内の水揚げ量の9割以上は日南市。市内には南郷、日南市、外浦の3漁協があり、カツオ漁船計22隻が所属。近海カツオ一本釣り漁の国内最大の基地となっている。毎年、南西諸島~北海道の日本近海を北上・南下するカツオの群れを追って春から秋に漁をする。

 竜喜丸は今年は2月1日に日南市南郷町の目井津港を出港。11月28日に帰港した。昨年は不振だった三陸沖の漁が好調だったことなどから豊漁で、水揚げ量は約1700トン、水揚げ高は6億3800万円で、2位の高知の第83佐賀明神丸の6億2千万円を上回った。

 南郷漁協によると、宮崎や高知、三重など近海カツオ一本釣り漁が盛んな各地の漁船は毎年、日本一の水揚げ高を競い、2012年から昨年までは高知の漁船が11年連続で日本一だった。竜喜丸は昨年は2位、一昨年は3位だった。

 竜喜丸の漁労長の日高陽祐船頭(44)は、19歳でカツオ漁船に乗り始めてから「日本一」になるのが夢だったという。「宮崎県の船が日本一になれるとは想像もしていなかった。毎日一生懸命、漁に励んできたおかげだと思う」。

 日高さんは帰港してからも、見ず知らずの人から「おめでとう」と声をかけられるという。来年も2月には出港する。「日本一を取り続け、若い人たちがカツオ一本釣り漁を目指してもらえるようにしたい」と話した。

 市水産林政課によると、昨年の市内3漁協を合わせた漁獲量は1万3415トンで、平成以降では最低を記録していた。今年は11月末現在で2万1871トンと21年の2万2403トンと同水準の豊漁だった。同課の担当者は「竜喜丸の日本一は、日本一のカツオ一本釣り漁の日南市をPRする意味でも明るい話題になってくれた」と喜んだ。(平塚学)