飲食店の支援にはなるが…(C)PIXTA拡大する
それで景気は良くなるのか。経済効果はどれほどなのか──。岸田政権が11日、企業が接待で使う交際費について、税法上の損金として非課税にできる上限を、現行の5000円から1万円に引き上げる方針を固めた。月内に取りまとめる2024年度税制改正大綱に盛り込む予定だ。
原則、交際費は税金を計算する際、経費として損金計上できない。しかし2006年度の税制改正で1人5000円以内の飲食は例外的に経費算入できるようになった。
物価高によって飲食費も上昇しているため、上限を2倍にするという。企業の接待費を増やすことで、飲食業界を支援する狙いもあるようだ。
交際費はバブル期の1990年代初頭には約6兆円あったが、最近は3兆円ほどに半減している。
バブル期のように企業が接待費を使うようになれば、カネが回り、景気が良くなるという期待もあるのだろう。ネット上には<営業マンには素直に有難いです><ついでに法人税も引き上げて、接待交際費にバンバン カネを使うように促すべきでしょう>という声もある。
しかし、その一方、<さすが特権階級の方々(笑)自らに甘い 国民は負担増し、特権階級の方々は非課税枠拡大><中小零細には関係が薄いよね><どこを向いて政治をしているのだろうか? 法人には法人税を下げ、尚且つ給与を上げた企業にはまたまた法人税を下げる。今度は交際費の非課税枠を上げるのですか!>と批判も噴出している。
■経済効果は?
実際、交際費をバンバン使えるのは大企業の社員など一部に限られるのも事実だ。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「もともと交際費は、仕事のために使ったのか、個人的な楽しみもあって使ったのか、グレーだと批判されてきたものです。取引先の接待を口実にして飲み食いしている社員もいるはずです。しかも、大企業のお偉いさんほど、枠が大きい。一方、非正規社員には恩恵がない。不公平だと感じている人は相当数いるはずです。もちろん、景気をよくする効果も多少はあるでしょう。しかし、景気を良くする方法は、ほかにあるはずです。飲食店を支援するという考えもあるのでしょうが、とっくに新型コロナは収まり、いまではインバウンド需要もあります。結局、岸田政権が大企業しか見ていない裏返しなのだと思います」
いつになったら、庶民が歓迎する政策を打ち出すのか。