法改正で「税金が6倍」になることも…これからの日本を直面する「空き家問題」のヤバすぎる現実

高齢化の影響から「空き家問題」が急速に増えている日本。現在、住宅総数に占める空き家の割合は7軒に1軒と言われている。

空き家率の高い地域を都道府県別でみれば、山梨県が1位、次いで和歌山県、長野県と続く。地域別では東京都世田谷区が一番多く、その数なんと約4万9000戸という“意外な結果”も発表された。

ここまで空き家が増える理由はもちろん、冒頭の社会背景はあるが、簡単に売却に踏み切れない持ち主の気持ちが深く関係しているのが要因と推測できる。

相続を済ませ所有物になった空き家は、自分が生まれ育った実家だ。思い出が詰まった場所を、不便だからといってそうそう断捨離もできない。一方で有効に活用したいと思い至っても、その方法も分からないとなると個人では「お手上げ状態」だ。

そんな「空き家」にまつわる深い気持ち応え、さらに有効に利用する方法を提案し続けているのが、空き家活用株式会社の和田貴充CEOだ。和田氏は「空き家2000万問題」をかかげ、空き家問題は“あなたの問題”と、老若男女に当事者意識をもたらしている、いわば「空き家アドバイザー」だ。

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今年12月には「空家特措法」改正され、放置すれば税金が6倍にも膨れ上がる空き家ケースもあるなか、まずは実際にどのくらいお金がかかるのか、その「裏側」を見てみよう。

*本記事は、和田貴充氏『今すぐ、実家を売りなさい』(光文社)を抜粋、編集したものです。

住めるのに放置される「空き家」

空き家の大半を占めるのは、A、Bのどちらの状態でしょうか?

答えは「B」。空き家の多くは、きれいで住める状態です。

ゴミが散乱し、外壁が剝がれかけ、屋根もところどころ穴が空いていて、今にも崩れそうな一軒家。空き家といえばそんなイメージが浮かぶ人もいるでしょう。

でも、そんなことはありません。多くの空き家は見た目も設備もよいものが多く、住むことができるのです。統計上、専門用語でいう管理不全の空き家は6・7パーセントしかないのです。

今、空き家は全国で約894万戸あります。そのうち、市場に出て売買や賃貸の相手を探しているのが約500万戸です。残った約349万戸は、流通されず放置されているのです(総務省「平成30年住宅・土地統計調査特別集計」による)。

眠ったまま放置されている空き家の中で、ボロボロなのは23万戸ほどしかなく、そのうち倒壊の恐れがあるとして、自治体から対応を勧告される「特定空き家」という指定を受けているのは、わずか二万戸です。90パーセント以上は、まだ十分に使える家なのです。

空き家を放置すると「出費が2000万円」にも!

90パーセント以上の家が、十分使える状態なのに空き家のままになっているのは、なぜでしょうか?

一番多く見られる理由は、手を付けるのが面倒だから。固定資産税や火災保険などの出費があったとしても、税金を払っていた方が気持ちの上では楽に感じるくらい、おっくうなのです。

あるいは、兄弟や親戚の間での意向がまとまらない。兄弟や親戚の揉め事になるくらいなら、放っておいた方がいい。そんな事情も見られます。

そして、そのこんがらがった糸をどうほぐしたらいいか分からない。どこから手を付けたらいいか分からない。

そうして持ち主が気持ちに踏ん切りをつけられず放置されている物件には、誰も住んでいなくても、毎年の固定資産税や火災保険、電気やガス、水道などの公共料金、庭木の剪定代などがかかってきます。

自分が住んでいる家なら必要経費と思ってあまり気になりませんが、住んでいない家による出費は気が重いものです。

そして、10年も20年も空き家のままにしていたら、500万円、1000万円といつの間にか出費が累積してしまうのです。

さらに、人が住んでいない期間が長いほど家は傷んでしまいます。たとえ空き家の活用方法が見つかっても、遺品整理や残置物撤去などの片付け代やリフォーム代がかさんでしまいます。

ゴミの処分費用は人件費を含めれば100万円単位、長年放置すればリフォーム代は2000万円程度もかかるケースもあると、和田氏は警笛を鳴らしています。そんな「大損」をしないために、今すぐできることは何か。引き続き<これから40代が直面する、実家の空き家「2000万問題」の現実…法改正で「6倍の税金」がかかることも>で実例を紹介します。

和田貴充著『今すぐ、実家を売りなさい』