頻尿・尿漏れに自宅でできるセルフケア。見直したい7つの生活習慣とは?

頻尿や尿漏れの心配があると、旅行や外出先はもちろんのこと、自宅にいても不自由で不快感が続きます。排尿トラブルはなかなか人に相談しにくいものですね。前回は、男女ともに、頻尿・尿漏れの原因について解説しました。第2回の今回は、見直したい7つの生活習慣について、日本泌尿器学会専門医の髙山美郷さんに教えていただきましょう。

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頻尿=過活動膀胱ではありません。まずは生活習慣をセルフチェック

数年前に過活動膀胱を扱ったテレビコマーシャルが流れていたこともあり、頻尿イコール過活動膀胱だと思っている方が少なくありません。
でも第1回でもお話ししたように、頻尿、尿漏れは水分の摂り方に問題がある場合も少なくありませんし、病気の症状の一つとして現れていることもあります。
「前よりもトイレが近くなったかも」と感じている方は頻尿につながるような生活習慣がないか見直してみましょう。

【1】季節ごとに水分摂取の目安量は異なります

頻尿を訴える多くの人に見られるのが、水分の摂りすぎです。体格により前後しますが、夏は2リットル、春や秋は1.5リットル、冬は1リットルが水分摂取量の目安。
試しに自分が毎日どれぐらいの水分をとっているのか、メモしてみてください。水分を摂りすぎている人は、量を減らすだけでトイレの回数も減らせるはずです。

【2】尿意を招く飲み物を習慣的に飲んでいない?

「1日に飲んでいる水分の量をメモしてみたけれど、目安量より少ない」、「そもそもそんなに水分は摂っていない」という人は、飲み物の種類に問題があるのかも。ふだんどんな飲み物を好んで飲んでいますか?
コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンクなどはカフェインが含まれています。カフェインやアルコールには利尿作用があるので、尿量が増え、どうしてもトイレが近くなります。
また、柑橘系の飲み物、炭酸飲料、アルコールは膀胱粘膜を刺激する作用があります。頻尿が気になる場合は、これらの飲み物を控えめにするとよいでしょう。

【3】晩酌はほどほどにしましょう

夕方以降、ビールなどのアルコールをたくさん飲むと、夜間頻尿を招く可能性があります。アルコールには、前述のよう利尿作用と膀胱粘膜を刺激する作用もあるからです。
「夜中にトイレに起きる」ことが気になっている場合は、お酒の量を控えめにするとよいでしょう。

【4】寝るまぎわは水分を控える

マチュア世代によく見られるのが「夜中にトイレに行きたくなる」夜間頻尿です。尿意で目が覚めても、その後すぐに眠れるのであれば気にする必要はありません。でも「夜、何度も目が覚めて、熟睡できない」「トイレでいったん目が覚めると、明け方まで眠れない」となると、疲れもとれませんよね。そんなときは寝る直前に水分を摂っていないか、チェック。
「寝ている間にいっぱい汗をかく。だから脱水予防のため、寝る前に水分をとるようにしている」人もいるでしょう。「夜中のトイレ」に悩まされている人は、寝る2-3時間前までに水分摂取をすませるようにしましょう。また、寝室は暑すぎず寒すぎない温度管理も重要です。

【5】冷たいものは常温に戻して飲みましょう

お風呂上がりに冷たい水や冷蔵庫で冷やした麦茶を飲んでいませんか? アルコールやカフェイン飲料を避けていても、冷たい飲み物を飲んで急に体を冷やすのはよくありません。常温に戻してから飲みましょう。

【6】体を冷やさないよう心がけて

体が冷えると脳が反応して、尿道の締まりが悪くなり、膀胱の反射も起きやすくなります。とくに寝るときは腹巻、おへそまで隠れるショーツでおなかをしっかりガード。足元は湯たんぽなどで温めて寝るとよいでしょう。

【7】着圧ストッキング、適度な運動などでむくみを予防

運動不足だと足に水分(体液)がたまり、夕方になると足のむくみを感じます。その状態でベッドや布団に横になると、足にあった水分が、血流に戻り尿量が増えるために、夜間に尿意を感じやすくなります。足がむくみやすい人は日中、着圧ストッキングや着圧靴下をはいてむくみ予防を心がけるとよいでしょう。
夕方に、散歩などを軽い運動をするのもおすすめ。運動をすると血液・体液の循環も促されるので、足にたまっていた水分が尿として排泄され、夜間頻尿の軽減に役立ちます。

男性は要注意! 「座り姿勢」+「振動」は前立腺によくない!

仕事などで長距離運転が習慣になっていると、前立腺の慢性的な炎症(慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群)を招く心配があります。会陰部が圧迫された姿勢で振動を受け続けるのがよくないので、バイクや自転車の長距離走行も気をつけて。可能な限り、こまめに休憩を取り「立つ時間や体を動かす時間」、「振動を受けない時間」を作りましょう。
また、男性の排尿症状を呈する病気で注意が必要なのは前立腺癌です。初期には症状を呈しませんが、だからこそ早期発見が重要です。特に50歳を超えると罹患率が増加するため、年1回の前立腺癌検診(PSA検査)を受けましょう。

監修者

日本泌尿器科学会認定専門医

髙山美郷

日本泌尿器科学会認定専門医・医学博士・Certificate of da Vinci® as a console surgen
厚生労働省指定 オンライン診療研修修了 医師緩和ケア研修修了
2014年岩手医科大学卒業。亀田総合病院、盛岡赤十字病院、倉敷成人病センタ-、大手美容クリニックなどを経て、2023年5月、女性医療クリニックLUNAで泌尿器科外来を開始。女性泌尿器科・腟医療・美容、トータルで女性をサポートしている。