「ドル円150円」突破で円安はどこまで進むか…財務省がやらかした「“為替介入”惨敗の歴史」と「止まらないインフレ」のヤバすぎる真相

image

なぜか「マイナス金利」を解除しない日銀

円安が止まらない。

すでに、10月26日には1ドル=150円台後半まで円安が進行した。

そこからいったんは終息し149円台まで落ち着いたが、さらに31日の日銀政策決定会合後には、再び150円台に逆戻りし、いま(10月31日19時現在)もどんどん円安が進行している。

インフレを加速させる円安に国民は気が気ではないだろう。

為替介入のジレンマに苦しむ鈴木俊一財務相 Photo/gettyimages

これまで、為替市場では、1ドル=150円を超えると政府・日銀によるドル売り・円買い介入の警戒感が高まっていた。ところが、ドル売り介入は“ほとんど効果がない”のが現実だ。

結論から言えば、即効性のある円安進行を阻止するには、ゼロ金利政策を止めるしかない。ところが、31日に日本銀行は、YCC(イールド・カーブ・コントロール)政策の柔軟化をはかり、物価見通しを引き上げただけで、ゼロ金利政策を継続してしまった。

このままだと、インフレはさらに加速して、国民の生活にさらなるダメージをもたらすことだろう。

まったく意味のない円安時の「為替介入」

ここまでの為替の推移をおさらいしておこう。

10月26日には一時150円台後半に、翌27日にも150円台半ばまでドル高・円安が進行した。両日とも、その後、150円台から149円台にドルが下落したことで、市場では為替介入が入ったのではないかとの声も出ていたが、おそらく介入ではなかったのだろう。

2022年9月にドル売り・円買い介入が実施された時には、145円超から一気に5円以上のドル安・円高が進み、140円台となった。実際に介入が実施されれば、ドルの下落は10月26日や27日のように、1円程度の下落では済まないだろう。

だが先述したとおり、為替介入はほとんど効果がない。

2022年9月の介入でも、145円超から5円以上下落したドルは、同日中に143円台まで戻り、翌日には144円台前半までドル高・円安となった。

円安時の円高誘導「惨敗の歴史」

それは何も今に始まったことではない。

財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」には、過去の為替介入の実施状況が公表されているが、1991年から2022年までの31年間で、為替介入が実施されたのは17年ある。

このうち、円安誘導のためにドル買い・円売り介入が実施された年は12年なのに対して、円高誘導のためのドル売り・円買い介入は5年しかなかった。

その金額も、円安誘導のためのドル買い・円売り介入が79兆8236億円なのに対して、円高誘導のためのドル売り・円買い介入は9兆1880億円と約9分の1に留まる。

筆者作成

このように、現状の円安を止めるために、円高誘導のためのドル売り・円買い介入は非常に難しいことなのだ。

しかし、150円を突破した、ドル・円は次の節目となる155円まで円安が進みかねない。果たして、介入は行われるのだろうか。

さらに後編記事『円安はもう止まらない…!「ドル円150円超」で露呈した財務省と日銀の「無策のワケ」と、そのウラに潜む「魔物の正体」』では、財務省の円安時における円高誘導為替介入が、効果がないことをさらに詳しくお伝えしよう。