相続した家の名義変更が非課税に!登録免許税が0円になる条件や手続き方法を解説

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「登記」とは、自分が持つ不動産の権利を証明できる公的な制度で、身近な人が亡くなり不動産を相続した場合は、相続登記をすることで自分の権利を公的に証明できるようになります。この相続登記は2024年から義務化されることが決まっていて、以前は任意だったものが今後は必須の手続きになります。

そして相続登記には登録免許税という税金がかかるので、基本的には相続登記義務化によって必ず登記費用がかかるということになりますが、ケースによっては非課税となることもあります。
この記事では、登録免許税の非課税措置について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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1. 相続登記にかかる登録免許税とは

登録免許税とは
まずは、相続登記にかかる登録免許税がどのようなものか押さえます。

登録免許税とは

登録免許税は不動産登記を行う際にかかる手数料のようなものです。
税金の一種ですが相続登記の際にも必要で、登記手続きをとるにあたり事前に納付が必要になります。

納付方法は印紙を購入する方法や金融機関で納める方法など複数ありますが、いずれにしても登録免許税を支払った証明を添付することで相続登記の手続きが可能になります。

登録免許税は住民票や戸籍謄本の取得にかかる費用などと同じ性質を持つので、相続登記の手続きを司法書士に依頼するか否かに関わらず必ず支払います。ただし下で見るように一部のケースでは非課税措置を受けられ、その場合は負担が発生しません。

登録免許税=不動産の課税価格×税率0.4%

登録免許税の納税が必要な場合、不動産の課税価格に税率0.4%を掛けて税額を算出します。

課税価格の元になるのはその不動産の固定資産税評価額で、これは固定資産評価証明書を確認することで知ることができます。

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相続登記でかかる登録免許税とは?計算方法や納付方法を解説

2. 登録免許税が非課税となる免税措置とは

基本的に登録免許税は必ずかかるものですが、以下のようなケースでは非課税措置を受けられるので負担が発生しません。

①土地の評価額が100万円以下の場合

不動産のうち土地に関しては、課税価格(固定資産税評価額)が100万円以下の場合は登録免許税がかからないことになっています。

実はこの規定は以前からあったのですが、以前は課税価格が10万円以下の土地のみが対象で、しかも市街化区域外(都市部から離れた土地)だけが対象でした。

実質的に山林などしか適用が受けられなかったのですが、現在はその適用の幅が広げられています。都市部の土地でも利用できる余地があるので、可能であれば必ず非課税措置を受けましょう。

②土地を相続した人が登記せずに死亡した場合

例えば祖父→父→子(自分)という流れで相続が起きたとします。

祖父が死亡して相続が起きた際、父が相続人となりましたが、登記手続きの手間や登記費用の支払いを嫌って相続登記をしなかったような場合です。実際にこのようなケースは多くあり、これがために近年の所有者不明土地が拡大している事実があります。

登記は所有権者が変わった事実を順序だてて反映させる必要があるので、父が死亡して相続が発生した際、相続人たる子(自分)はまず祖父→父への相続登記を代わりに行い、その上で父→子(自分)への相続登記手続きを取る必要があります。

そうすると、子(自分)は祖父→父と、父→自分への登記の2回分の登録免許税を支払わなければなりません。

相続人にとって大きな負担となるので、過去の相続における相続登記をさかのぼって行う場合の登録免許税は免除してもらえることになっています。相続登記は所有者不明土地の拡大を抑制するために義務化が決まっているので、今後は相続登記をしないということはできません。

ただ、登記費用だけを負担させるのはよろしくないということもあり、この非課税措置が作られました。

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相続登記の義務化はいつから?罰則の内容や過去の相続への影響を解説

③表題部所有者の死亡後に相続人が所有権保存登記をする場合で土地の価額が100万円以下

もう一つの非課税措置が、土地の価額が100万円以下で、表題部所有者の死亡後に相続人が所有権保存登記をする場合です。所有権の保存登記とは、その不動産について初めてなされる登記をいいます。

所有権移転の登記はすでに先の所有権者が登記をしていますが、保存登記は最初にされる登記という点で違いがあります。

登記簿は大きく表題部と権利部に分かれ、表題部のみの登記しかされていない土地も多くあります。登記簿表題部に記載されている所有者の相続人名義で初めて不動産の権利部の保存登記を行う場合で、かつその土地の評価額が100万円以下の場合に非課税措置を受けられます。

3. 相続登記で非課税措置を適用する方法

相続登記の際に登録免許税の免除措置を受けるには自分で申請する必要があります。
この方法について見ていきます。

申請書に非課税の根拠条文を記載する

相続登記申請を行う際に、申請書に非課税措置の根拠条文を記載することで税金の免除を受けられます。

上の「①土地の評価額が100万円以下の場合」で見た非課税措置を受けるには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

また「②土地を相続した人が登記せずに死亡した場合」の免除措置の適用を受けるには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

そして「③表題部所有者の死亡後に相続人が所有権保存登記をする場合で土地の価額が100万円以下」で見た非課税措置を受けるには登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

適用期間を確認する

上で見た各非課税措置は今のところ期間限定となっています。

3つの非課税措置は令和7年の3月31日までの限定となっているので、その期間内であれば適用を受けられます。今後、これらの非課税措置の運用が延長される可能性もあります。

4. 登記申請書の書き方

ここでは登記申請書の書き方について見ていきます。
登記申請書には以下の項目を記載します。

①登記の目的
「所有権移転」と記載します。
②原因
相続が起きた年月日を記載し、その右に「相続」と記載します。
③相続人
相続人の名前と住所、連絡先を記載し、押印します。
④添付情報
登記原因証明情報などの添付書類の名前を記載します。
⑤登記識別情報の通知の希望
登記識別情報の通知を希望するかしないかを記載します。
⑥申請先法務局の名称と申請年月日⑦課税価格と登録免許税額
不動産の課税価格と登録免許税額を記載します。
⑧不動産の表示
不動産番号や所在、地番、地目、建物であれば家屋番号などを登記簿の通りに記載します。

これらのうち、非課税措置を受けるためには上記⑦の登録免許税額のところに前項で見た根拠条文を記載します。ただし、免除を受ける場合も本来の登録免許税額の記載は必要です。
税額を記載したうえで、その数字の下に例えば「租税特別措置法第84条の2の3第〇項により非課税」などと記載します。

5. 相続登記で登録免許税を非課税にする際の注意点

注意点
ここでは相続登記で登録免許税を非課税にする際の注意点を見ていきます。

相続した建物は対象外

これまで見てきた登録免許税の非課税措置は土地に関して適用のあるもので、建物については適用されません。国側の狙いとしては、単に国民の負担軽減を図るためではなく、所有者不明土地の増加を抑制するのが主目的でこれらの非課税措置を運用しています。

建物に関しても近年の空き家の増加によって様々な弊害が出ているのは確かですが、これはこれとして別の施策を打っています。国としては国策と直結する国土の有効利用が妨げられる事態を一刻も早く何とかしたいという考えが強いため、これらの非課税措置は土地に関してしか受けることができません。

相続後は早めに登記を済ませる

遺産分割協議がまとまるなどして環境が整ったら、できるだけ早く相続登記を済ませるようにしましょう。登記は公的なシステムですから、自分の権利を早期に保全することで安心につながります。

さらに相続登記は令和6年の4月1日から義務化が決定しています。

この日以降は過去の相続事案にさかのぼって全ての不動産の相続登記が義務化されます。相続登記の義務を怠ると罰則があるので、いずれ必要になるのであれば早いうちに済ませた方が安心です。

相続登記をするにあたっては事前に遺産分割協議などで時間を取るので、早め早めに行動することが勧められます。