<変わる10月>値上げ、食品はピークアウトへ 「第3のビール」や電気ガス代は上昇

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昨年来の食品値上げは10月にピークアウトしそうだ。帝国データバンクによると4500品目超と高水準の値上げが見込まれるが、前年同月比では3カ月連続で減少して勢いは鈍化する。ただ、晩酌のお供となる「第3のビール」の増税や、電気・ガス料金の上昇も重なり、懐に厳しい状況は今後も続くことになる。


10月はプリマハムが1日にハムやソーセージなど約200品目を3~20%値上げするのを始め、即席麺や缶詰を含む加工食品が相次いで値上げを予定する。しょうゆやソースといった調味料、飲料・酒類の値上げも多く、伊藤園は1日に「お~いお茶 緑茶」など2リットル入りペットボトル製品21品の希望小売価格を最大9・3%引き上げる。

令和5年の食品値上げは10月で節目の3万品目を突破し、通年で3万5千品目程度と過去最大級になりそうだ。だが、昨年来の相次ぐ値上げで企業収益が改善したほか、消費者の購買力が低下して売れ行きが伸び悩んでおり、今後は値上げペースの鈍化が見込まれる。

また、10月の酒税法改正でビールの税額は350ミリリットル当たり70円から63円35銭に下がり、安価な第3のビールは37円80銭から発泡酒と同じ46円99銭に引き上げられる。価格差が縮まることで〝ビール党〟に移る人が増えるとみられ、各社はビールの新商品を続々と投入してアピールしている。

大手電力10社では家庭向け電気料金を10月検針(9月使用)分から上げる。大手都市ガス4社のガス料金も全て値上がりする。政府が物価高対策で実施している電気・ガス代への補助が半減するためだ。火力発電の燃料となる石炭などの資源価格は下落傾向にあるが、補助の縮小分が上回る。

政府の補助は8月使用分まで、電気は使用量1キロワット時当たり7円、ガスは1立方メートル当たり30円を値下げしてきた。当初は9月使用分で補助が半減して終了する予定だったが、現在、12月使用分まで延長が決まっている。(田辺裕晶、米沢文)