「スマートキーなしでも車は動く」エンジンかけっぱなし駐車をよくやる人、絶対やめて!緊急時に使える奥の手はあるけど…

エンジンかけっぱなしでもカギを持っていけば安心?

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暑い日に、車内にペットや子供を残した状態で少し車を離れなければならないという場合は、エアコンを付けたままにしておくでしょう。その際、ドアは施錠し、スマートキーは車外に持ち出すというケースが一般的かもしれません。

このとき、「鍵が車内にないのだから子供が運転席でイタズラしても大丈夫」などと考えてはいませんか?

実は、スマートキーが車内になくても車を動かすことができてしまうのです。

スマートキーが無いままでエンジンをかけて車を離れるとどうなるの?

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当然ですが、スマートキーがない状態では、車のエンジンをかけることはできません。しかし、エンジンがかかっている車であれば、エンジンを止めない限り、スマートキーが車内にない状態でもギアを動かすと、ステアリングを操作することは可能なのです。

車内に残っている子供がギアをDに入れたり、ハンドルを切ったりしたらどうなるでしょうか?駐車場内で他の車にぶつかったり、道路に車が出てしまったりして、大事故に繋がるおそれがあります。

さらに、エンジンがかかっている状態では、スマートキーがない状態で車を動かしても、セキュリティアラームなどが鳴ることはありません。

もちろん、何らかの手段で鍵を開けることができればそのまま車を乗って盗むという行為も可能になってしまいますから、防犯の観点からも、エンジンをかけっぱなしで施錠しただけで車を離れることは絶対にやめたほうがよいとわかるでしょう。

ちなみに、純正のリモコンエンジンスターターを作動させた場合、ドアの開閉と同時にエンジンが止まってしまいます。

これは、エンジンをかけたままにしておくと鍵がなくても車が動かせる状態なので、人が中に入る動作を起こした時に一度あえてエンジンを切り、ドライバーが意図しないタイミングで車が動かされることを防ぐためです。

どうしてもエンジンをかけたまま車を離れなければならない場合はどうする?

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道路交通法第71条では車から離れる際にはエンジンを止め完全にブレーキをかけるなどして、車の完全停止状態を保つこと、ドアロックをするなどして他人に無断で運転されないよう措置することをドライバーに求めています。

これらの措置を怠ったために車が動き出した場合や、盗難され、盗難された車で事故が起こった場合には、車の運転者や持ち主に、損害賠償責任が問われる可能性があります。これは民法709条、自賠責法第3条に明記されています。

この大前提はありますが、先に挙げたように、子供やペットなどのためにエアコンを作動させたまま、少しの間車を離れなければならない時にはどうするべきなのでしょうか。

こうしたケースでは、エンジンをかけたままでドアの施錠を行うことができればいいと考えると、方法は一つだけあります。スマートキーに入っている「メカニカルキー」を使用する方法です。

メカニカルキーは、スマートキーの中に仕込まれた、通常の差込型の鍵を指します。これを使うと、エンジンをかけたままドアロックをして、車を離れることができます。

手順としては、まず車内で全ドアの施錠を行います。次に運転席だけロックを外し(もしくはそのままドアハンドルを握ると運転席だけ開錠する)外に出て、メカニカルキーを使って外から車を施錠します。

通常、エンジンがかかっていると、スマートキーでの施錠はできませんが、メカニカルキーを使えば、運転席のロックは可能です。ドアロックを開ける際にもメカニカルキーを使う必要があります。

セキュリティは万全ではないため注意が必要

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ただし、この方法は車内からの操作に対しては完全ではありません。車内の子供が運転席のドアハンドルを引けばそのままロックは解かれてしまいますし、全集中ロックスイッチなどを操作しても、解錠されてしまうので、防犯対策が万全とは言えない状況です。

また、この方法を使って施錠できるのは私有地内のみです。道路上でエンジンをかけたまま車から離れる行為は、前述の道路交通法違反となるので、絶対にやめてください。

今回紹介した施錠方法は、私有地限定でさらにセキュリティの面から見ても問題があります。使用は限定的にし、個人の責任の下で行ってください。

このように、スマートキーが無い状態でも車の移動はできてしまうということを肝に銘じ、車から離れる際には、エンジンを切る、スマートキーを携帯することを励行しましょう。