【最低賃金/2023年最新版】全国平均以上は「7都府県のみ」、初の1000円台も地域格差は顕著に厚生労働省「令和4年度地域別最低賃金改定状況」を分析

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厚生労働省は2023年7月28日の審議会で、最低賃金の全国平均を時給換算で41円引き上げ、1002円とする目安を定めました。41円の引き上げは過去最大で、1000円台は初となります。

ただこれは全国一律のものではなく、金額には地域によって差があります。今回は全国平均とそれぞれの地域の金額を比較して紹介します。

【都道府県別の最低賃金】引き上げ金額はA~Cランクで分類

地域別の引き上げ金額はA~Cでランクが分かれており、Aランクは41円、Bランクは40円、Cランクは39円となります。たとえば、Aランクには埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府など人口や働き口の多い地域が分類されています【各都道府県のランクは表1参照】。


出所:
厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」

【都道府県別の最低賃金】全国平均以上は7都府県のみ

全国平均が1000円台と聞くと、全国のほとんどの地域で1000円を突破したような印象を持ちますが、実はそうではありません。最低賃金は加重平均を採用しているため、働き口の多い都市部の数字に引っ張られます。そのため、全国平均の1002円を上回っている地域は以下の7都府県のみです【各都道府県の最低賃金ランキングは図1参照】。

  • 東京都:1113円
  • 神奈川県:1112円
  • 大阪府:1064円
  • 埼玉県:1028円
  • 愛知県:1027円
  • 千葉県:1025円
  • 京都府:1008円
  • 出所:厚生労働省「令和4年度地域別最低賃金改定状況」をもとに筆者作成

    【都道府県別の最低賃金】地域別の金額差は最大221円

    全国平均を下回っている地域についても詳細をみていきます。

    <901円~1000円>の地域

    • 兵庫県:1000円
    • 静岡県:984円
    • 三重県:973円
    • 広島県:970円
    • 滋賀県:967円
    • 北海道:960円
    • 栃木県:953円
    • 茨城県:951円
    • 岐阜県:950円
    • 富山県:948円
    • 長野県:948円
    • 福岡県:940円
    • 山梨県:938円
    • 奈良県:936円
    • 群馬県:935円
    • 岡山県:932円
    • 石川県:931円
    • 新潟県:930円
    • 和歌山県:929円
    • 福井県:928円
    • 山口県:928円
    • 宮城県:923円
    • 香川県:918円

    <801円~900円>の地域

    • 福島県:898円
    • 島根県:897円
    • 徳島県:895円
    • 岩手県:893円
    • 山形県:893円
    • 鳥取県:893円
    • 愛媛県:893円
    • 大分県:893円
    • 青森県:892円
    • 秋田県:892円
    • 高知県:892円
    • 佐賀県:892円
    • 長崎県:892円
    • 熊本県:892円
    • 宮崎県:892円
    • 鹿児島県:892円
    • 沖縄県:892円

    注目したいのは最低賃金の金額差が年々拡大していることです。10年前の2013年には最低賃金がもっとも高い地域と低い地域の金額差は205円でしたが、2023年には221円に広がっています。

    【都道府県別の最低賃金】住んでいる都道府県の数字をチェック

    今回は厚生労働省のデータをもとに、全国の最低賃金をみてきました。先述したように全国平均は加重平均であるため、都市部の数字に引っ張られます。そして地域による価格差は年々拡大しています。これらを踏まえ、地域ごとの正確な情報を知るためには、きちんと住んでいる都道府県の数字をチェックするようにしましょう。

    参考資料

    LIMO編集部 記者 大蔵大輔