高血圧治療は半年に1回の注射でOKに? 臨床試験がスタート

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注射で良好な血圧コントロールが持続

 高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心臓病などのリスクを高めます。そのため、高血圧と診断された人は血圧の薬を毎日飲む必要があります。
 最近ではオンライン診療や長期処方などにより、以前と比べれば病院に行く回数は減りました。それでも定期的に診察を受けたり、薬をもらったりすることは煩わしいことに違いはありません。
 もっと簡単に血圧が安定して、病院に行かなくても済むような、そんな高血圧の治療はないのでしょうか?
 実は、安定した血圧コントロールが長期間得られる、という新薬が開発されて、今、注目されています。それは「RNA干渉薬」という、特定の遺伝子を働かなくしてしまう特殊な遺伝子治療薬です。遺伝病の治療に使われることが多かったのですが、アンジオテンシノーゲンという血圧維持に関わるタンパク質の遺伝子を抑えることにより、高血圧治療にも応用されているのです。
 今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という世界的医学誌に掲載された論文によると、第1相の臨床試験の結果として、この薬を1回皮下注射するだけで半年間良好な血圧コントロールが持続する、という効果が確認されました。これはまだ初期の臨床試験なので、すぐに使用可能な薬ではありませんが、近い将来、高血圧は半年に1回の治療で済むようになるかもしれません。