【国民年金】保険料「月1万6,000円」だが…4割強が知らない「怖い真実」

老後の生活を支えてくれる公的年金。しかしその制度は複雑で、知らないと利用できないものも多くあります。たとえば「国民年金」。「月400円」で将来の年金額を増やすことができる制度がありますが、知っている人はわずか4割強。残りの人はそんな制度があることすら知りません。同じように、ちょっと怖い制度があることも知らない人は多いようです。みていきましょう。

【国民年金】保険料「月1万6,000円」だが…4割強が知らない「怖い真実」
(写真はイメージです/PIXTA)

「月々400円」で年金受取額を増やす、とっても簡単な方法は?

国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が加入する公的年金で、第1号被保険者は自営業者、農業や漁業の従事者、学生など、保険料を自分で直接納める人たちです。

ちなみに会社員や公務員など、職場の厚生年金や共済組合に加入する人たちは第2号被保険者となります。

その保険料は月1万6,520円。まとめて前納すると割引が適用されます。たとえば、6ヵ月前納すると、口座振替で9万7,990円となり、都度払いよりも1,130円お得になります。さらに1年前納で4,150円、2年前納で1万6,100円お得になります。

また毎月の保険料に月400円の「付加保険料」を納めると、将来の老齢基礎年金を増やすこともできます。これができるのは、国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者。会社員や公務員は対象外です。

老齢基礎年金の受給額は、満額支給で月6.6万円。会社員などであれば「老後、公的年金だけで暮らしていく」ことも可能ですが、自営業者などの場合は非現実的。「少しでも年金受給額を増やせたら……」と考えている人も珍しくないでしょう。わずか「月400円」で将来を年金額が増やせる「付加保険料」は、そんな人たちにはまさに朗報です。

ではどれくらい年金を増やすことができるのかというと「200円×400円を支払った月数」。たとえば20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めた場合の年金額は「200円×480ヵ月=9万6,000円(年間)」が上乗せされます。1ヵ月にすると8,000円。たったそれだけ、と思うかもしれませんが、公的年金が収入の大半を占めるようになる老後は、月8,000円でも大きな差。また2年以上受け取ると、納めた付加保険料以上の年金を受け取れるので、入っておいて損はない、といえるでしょう。

「付加保険料」の周知度4割強…、「保険料未納のペナルティ」の周知度は?

令和2年『国民年金被保険者実態調査』によると、国民年金第1号被保険者は1,238万4,000人。そのうち「付加保険料」を知っているのは、44.5%。5割以上の人が知りません。もちろんデメリットはゼロではなく、加入は任意ですが、それにしても周知度がこんなに低いとはなんとも残念な限りです。

そもそも国民年金、保険料の納付者は605万人、滞納者は193万1,000人、全額免除者が206万2,000人、学生納付特例者が177万9,000人、納付猶予者は56万1,000人。

保険料の納付状況と世帯の総所得金額の分布をみてみると、納付者の平均は548.0万円で、中央値は353.0万円。一方で滞納者の平均は279.5万円で、中央値は195.0万円です。さらに保険料の納付状況と本人の総所得の分布をみてみると、納付者の平均は178.7万円、中央値は80.0万円。一方で滞納者の平均は100.1万円で、中央値は62.0万円です。保険料滞納の理由として経済的な側面が大きいことを垣間見ることができます。実際に「保険料を納付しない理由」で最も多いのが「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」で76.0%と圧倒的。低収入が大きな弊害となっていることは明らかです。

国民年金の保険料、200万人近い滞納者がいて、その76%、150万人近くが経済的理由で「保険料を払えない」という状況。ただし国民年金保険料の納付は義務であり、滞納した保険料は財産の差押等強制徴収の対象となります。そのことを知っているかの問いに対しては、全体で55.3%が「知っている」と回答。つまり4割強が国民年金の保険料を滞納していると、「財産の差押え」という深刻な状況に直面することを知らないのです。

――保険料が払えない

そういう場合は未納のままにせず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを。 将来の年金額を計算するとき、免除期間は保険料を納めた時に比べて2分の1程度になりますが、保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。 財産の差押えなどとんでもないことになる前に、一度、役所の年金課に相談しにいくのが正解です。