安いコーヒーの苦い真実。2度の「コーヒー危機」とは?

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エシカルなコーヒーを選ぼう

日本人の7割近くが毎日飲んでいるコーヒー。そんな身近な飲み物に、苦い真実があることを知っているだろうか。
実は、安価なコーヒーの多くが環境破壊を引き起こし、発展途上国の貧困を生んでいるのだ。
今回は、コーヒーが生む貧困・環境問題とそれらを解決するためにできることを解説する。

安いコーヒーが環境を破壊している?

安いコーヒーの需要が拡大することで、生産者は質よりも効率を追求するようになり、まだ完熟していない果実も含めて一気に収穫してしまう。結果的に商品にならない未成熟豆や欠点豆が増え、フードロスが多くなってしまうのだ。
コーヒーの品質が重視されるようになれば、生産者の意識が高まり、丁寧な収穫が行われて資源の保全につながる。

2度の「コーヒー危機」

1989年から2007年の間に、コーヒーの国際価格は2度の大暴落・低迷期を経験している。大暴落した要因は、国際コーヒー協会がコーヒー豆の輸出量・輸入量の制限をやめたことや、コーヒーの供給量が大幅に増加したことだと考えられている。
収入を少しでも多くするために、子どもを学校に活かせずにコーヒー収穫に駆り出す事例も増え、児童の退学率が増加した地域もあったようだ。

コーヒーの価格が上がると?

実は、単純にコーヒーの価格が上がれば問題が解決するわけではない。
自然な価格上昇であれば、生産にかかるコストは一定のままなので収入は増える。しかし、1997年に訪れた価格上昇は、投機目的でコーヒーが売買された結果であり、一時的なものに過ぎなかった。
この上昇に反応してコーヒー栽培を始めた人たちは、期待していた利益が得られず、苦しい思いをしている。
これらの問題を解決するために何ができるのだろうか。

フェアトレードを普及させる


フェアトレードによってコーヒー農家の貧困を改善できると考えられているが、現在はフェアトレードコーヒー市場が広がっておらず、影響力も限定的になってしまっている。
2007年のフェアトレードでのコーヒー販売量と総輸出量から計算すると、フェアトレードの割合は1.08%程度である。(千葉大学より)
現時点では、フェアトレードが多国籍企業の市場支配力に対抗でき、生産者を守れる代替案とは言い難い。

高付加価値化する

育てるコーヒー豆をより良いものに変えたり、豆を取り出す方法を変えたりすれば、理論的に高付加価値にすることはできる。
しかし、実際には地理的な条件や気候条件から育てる豆の品種を変えることが難しいのが現状だ。
また、豆を取り出した後の加工を現地で行うことで、より付加価値の高い状態で他国へ輸出できるようになるが、加工は設備に依存するところが大きく、これも途上国で実行するメリットは薄い。

私たちにできること


私たちにできることは、安いコーヒーではなくエシカルなコーヒーを選ぶようにして、世の中への普及に貢献すること。

安価なコーヒーを買うと、発展途上国の人たちの貧困やフードロスの増加を後押ししてしまう可能性がある。
コーヒーを買う際は、サステナブルな農園で生産された製品に与えられる「レインフォレスト・アライアンス認証」や、生産者への適正価格の支払いを保証する「国際フェアトレード認証」のラベルがついたものを選ぶようにしよう。
【参考】
・MyEL
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=22803
・幻冬舎
https://gentosha-go.com/articles/-/33223?per_page=1
・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
・千葉大学
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900066951/13482084_57_203.pdf


※この記事は、2023年3月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。