先進国としての日本は「終焉」を迎えていた…アジア人から「働き先」として除外される「ヤバすぎる日本の現状」

ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中の堀江貴文氏。彼の新刊『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)から一部抜粋し、少子高齢化による人手不足などが問題視される日本の現状について解説する。

出稼ぎ労働者の「劣悪な労働環境」

日本には多くの出稼ぎ外国人労働者がいる。特にベトナム、インドネシア、タイといった東南アジアからやって来る若者がたくさんいて、彼らはいわゆる3K(キツい・汚い・危険)と言われるような仕事にも従事してくれている。日本の水準では高くない給料でも、彼らの母国に比べれば高い給料になるからだ。日本の安くて良質なサービスは彼らによって支えられている面が大きい。

そうした外国人労働者の大半は、日本政府が定める外国人技能実習制度により在留資格を得ている。だがこの技能実習制度、かねてから悪名が高い。「技能実習」の名のもとに外国人労働者を不当にあつかう雇用主が少なからずいるからだ。

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低賃金で劣悪な労働環境。残業代の未払い。暴行やセクハラ。果ては労災隠し。そんなケースが横行しているのだ。同じ日本人として情けないし、申しわけない。

この技能実習制度の問題は2000年代からすでにアメリカや国連から「奴隷制度に等しい」「虐待的、搾取的な慣行」と指摘され、改善を求められていた。しかし日本政府は積極的な改善策を打ってこなかった。そしてやがてSNSの普及にともない、その労働実態がより広く明るみになったことでいま現在、国外のみならず国内からも批判が噴出している。

もちろん、誠実にやっている雇用主も多くいる。それでもその外国人労働者たちは「技能実習生」であって「正式な移民」ではないため、社会保障などの権利がほとんどないに等しい。こんなことをやっていては、せっかく日本に来てくれた外国人たちからの評判は地に落ちていく。

不当な搾取に遭った彼らは、間違いなく母国の知り合いにその内実を伝えるだろう。いくら日本が住みやすい国であろうが働きに来てくれなくなる。その結果、日本が世界に誇るサービス力も必然的に劣化してしまうだろう。

「働き先」として除外されていく日本

そもそもなぜこんないびつな制度が導入されているのか。その背景には、移民に対する日本人のアレルギー的な反発がある。大多数の日本人は条件反射的によそ者を拒む。

だから政治家は「人手不足なので、日本でも移民政策を進めます!」とは言わない。選挙でマイナスになるからだ。そこで苦し紛れに「あくまでも実習生。彼らは何年かすると国に帰るので大丈夫」という建前で実質的な移民労働力を得ている。

しかしそんな誤魔化しはもう通用しない。きちんと権利を保障した移民制度の導入を真剣に考えないといけない段階に入っている。

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ただでさえ日本は外国人労働者にとって魅力的な場所でなくなりつつあるのだ。日本の賃金はなかなか上がらない。日本人でもそうなのだから、技能実習生の賃金は推して知るべしだ。加えて円安だ。母国に送金したところで以前ほどの利幅にはならない。また日本経済の低落を尻目に、いまや東南アジアは経済成長の最中だ。

日本で働くメリットは見出しづらい。実際、東南アジアや中国の若者たちは日本ではなく、アジア各国の大都市に集まりはじめている。日本は働き先として除外されつつあるのだ。

人手不足が叫ばれて久しい日本。でも指をくわえて待っていても外国人労働者は来てくれない。正式な、健全な移民制度を定めるしかないのだ。