日本人の死因第4位の脳梗塞のリスクを下げる意外な食べ物とは「ピーナッツ」だった!

厚生労働省が発表した令和3年(2021年)人口動態統計月報年計(概数)の概況※によると、日本人の死因の4位となる脳血管疾患。その中に含まれる脳梗塞は、動脈硬化によって引き起こされる場合が多い。脳梗塞の発症は、日常生活に支障をきたすだけでなく、場合によっては生命の危険にさらされることもある。そんな怖い脳梗塞のリスクを下げる食べ物があるらしい。下肢静脈瘤専門クリニック目黒外科院長・齋藤陽先生に解説いただいた。

脳梗塞を引き起こす動脈硬化

脳梗塞とは血栓と呼ばれる血の固まりが血管をふさいでしまい、脳に血液や酸素が運ばれなくなり、壊死状態になることです。
脳梗塞が怖いところは、ろれつが回らない、視界がぼやけるとなど初期症状はあるものの、突然発症し、時間が経つに連れて症状が進むため、できるだけ早く治療を開始し、血流を改善しないといけません。
治療が遅れると、後遺症が残ったり、生命に関わったりすることもあります。
脳梗塞の一番の原因となるのは、動脈硬化です。動脈硬化とは血管の内側の壁に悪玉コレステロールなどが溜まり、血管が固くなって血液の流れが悪くなる状態のことです。

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この悪玉コレステロールを下げるのに効果的な食品が、なんと「ピーナッツ」なのです。
これは国立がん研究センターが日本人の男女7万5000人を対象にピーナッツの摂取量と脳梗塞の発症リスクとの関連を約14年間追跡調査した結果によるものです。
ピーナッツの摂取量が最も多かったグループと最も少なったグループで比べると、ピーナッツを最も摂取したグループのほうが、脳梗塞の発症リスクが低下したという結果になりました。
ピーナッツは脳梗塞のリスクを下げる食べ物だったのです。

※令和3年(2021年)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/index.html

ピーナッツを摂取すると悪玉コレステロールが低下する

ピーナッツには不飽和脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が含まれています。
特にこの不飽和脂肪酸が脳梗塞の原因となる悪玉コレステロールを下げてくれるのです。
油には主に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸は乳製品や肉など動物性脂肪に多く含まれていて、常温で固まります。対して不飽和脂肪酸は植物や魚に含まれている油で、常温では固まりにくいです。
飽和脂肪酸は摂りすぎると悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化の発症のリスクを上げますが、不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを低下させます。
そのため、不飽和脂肪酸を栄養素に含んだピーナッツは脳梗塞のリスクを下げる食べ物なのです。

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その他の栄養素のビタミン、ミネラル、食物繊維も生活習慣病を改善するためには積極的に摂りたいものばかりです。
特に食物繊維は、ピーナッツの皮に含まれているので、便通が気になる人は皮ごと食べるようにしましょう。
塩味がついたものなどは油が加わるため、高カロリーになるので素焼きのものがおすすめです。
1日に食べる量は約25g、手のひらに乗るくらいの量を食べましょう。
ピーナッツ以外でも、アーモンド、カシューナッツ、クルミなども不飽和脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維を含むので、小腹がすいたらおやつ替わりにしてもOKです。
また、脳梗塞の原因となる動脈硬化は、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙など生活習慣病によって引き起こされる場合があります。
そういったことが気になる人は、普段摂取している脂質について気にかけるようにして、ナッツや魚に含まれる不飽和脂肪酸に置き換えるようにしましょう。
動脈硬化は自覚症状がなく、徐々に進行していきます。高齢者でなくても、20代でも生活習慣に問題があると発症に結びつきます。
ただし脳梗塞が発症する前には前兆があるので、見逃さないようにしましょう。
手足がしびれる、言葉がうまく出てこない、めまいがする、目の前が暗くなるなどの症状があればすぐに医療機関を受診することをおすすめします。
知らないうちに進行し、突然発症するのが脳梗塞の怖いところです。
普段の生活習慣を見直ししつつ、ピーナッツなど不飽和脂肪酸を摂取し、悪玉コレステロールを低下させるようにしましょう。
取材・文/百田なつき