平均手取り「27万円」より悲惨…日本人に待ち受ける「恐ろしい老後」

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(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』、厚生労働省年金局『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』とともに、日本人の給与や年金について考えていきます。

高齢人口は増加…「2.5人に1人」が高齢者となる見込み

現在、日本の人口は約1億2,452万人(総務省統計局/令和5年6月報)。このうち15歳未満が11.5%、15~64歳が59.4%、65歳以上が29.1%となっています。

少子高齢化問題はもう10年以上叫ばれ続けています。このまま進んだ場合、2050年、日本の総人口はついに1億人を下回り、2060年には「約2.5人に1人」が高齢者となる見込みです。

また高齢化については、「2040年問題」が広く知られています。2040年、団塊ジュニア(現在47歳~50歳の方々)が65歳以上になり、生産年齢人口が大幅に減少、社会保障費が急激に増加するという「ほぼ確定的な」問題です。

少子化について、自民党は『全ての世代が安心できる、医療、介護、年金、少子化対策をはじめとする社会保障全般の総合的な改革を更に進め、持続可能な全世代型社会保障を構築します』、立憲民主党は『少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどの「ベーシックサービス」を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会をめざします』と掲載しています。

度々取り上げていますが、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は「443万円」です(国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』)。

平均給与443万円は月の収入では37万円ほどになります。前年の収入によって多少の差はあるものの、手取りは27万円~29万円です。

「そんなにもらっていない」「平均だからもっと低い金額の人はいっぱいいる」と大きな声が上がる平均給与ですが、「賃金」については底上げを促されていることも周知の事実。2022年度の全国加重平均額は31円引き上げられ、「961円」となりました。

共産党が『最低賃金を中小企業への十分な支援とセットで時給1500円に引き上げます』と掲げたことが大きく報道されたこともあります。ちなみに日本の最低賃金の水準が英仏独などの金額の6~7割程度に留まっており、先進諸国と比べてはるかに低いことが明らかになっています。

厚生年金の平均額「月14万円」という事実に何思う

厚生労働省年金局発表『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』より、現在の受給状況を見ていくと、厚生年金保険(第1号)受給者は3,588万人。厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万5,665円です。国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、5万6,479円となっています。

年齢別の厚生年金の平均額は下記のとおり。

【60代】

60歳・・・8万7,233円

61歳・・・9万4,433円

62歳・・・6万1,133円

63歳・・・7万8,660円

64歳・・・7万9,829円

65歳・・・14万5,372円

66歳・・・14万6,610円

67歳・・・14万4,389円

68歳・・・14万2,041円

69歳・・・14万0,628円

【70代】

70歳・・・14万1,026円

71歳・・・14万3,259円

72歳・・・14万6,259円

73歳・・・14万5,733円

74歳・・・14万5,304円

75歳・・・14万5,127円

76歳・・・14万7,225円

77歳・・・14万7,881円

78歳・・・14万9,623円

79歳・・・15万1,874円

【80代】

80歳・・・15万4,133円

81歳・・・15万6,744円

82歳・・・15万8,214円

83歳・・・15万9,904円

84歳・・・16万349円

85歳・・・16万1,095円

86歳・・・16万2,007円

87歳・・・16万1,989円

88歳・・・16万952円

89歳・・・16万1,633円

「今日を生きるため」という圧倒的現実

「老後資金2,000万円」はあくまで「生きていくための金額」です。豊かに暮らすためには3,000万円が必要とされています。これらの数字を見る限り、早め早めの資産形成が求められていることは明らかです。

平均寿命が過去最高を更新するなか(女性87.74歳/男性81.64歳)、日本の年金は大丈夫なのか? 令和元年の厚生労働省の『将来の公的年金の財政見通し』では、「経済成長が続く限り」問題はないと算出されました(6つのパターンで細部にわたり検証していますが、本記事では割愛します。詳細は厚生労働省HPをご覧ください)。

安定した老後のために経済成長が求められ、経済成長のために労働と生産が求められますが、実際には「未来のためではなく、今日を生きるため」コツコツと働いている方が多いのではないでしょうか。現役世代の薄暗い感情は、日本全体に沈下していくばかりです。