「救助の最前線で活動する最後の砦」地中音響探知機など装備 宮崎県に1台だけの“高度救助車”に注目

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大雨のシーズンを迎える中、災害時に活躍する車両に注目します。
この車、「高度救助車」という、宮崎県内に1台だけ導入されている特別な消防車両です。
どのような救助活動が可能なのか、「高度救助車」の驚きの機能を取材しました。

1億8000万円余りをかけて最新の車両に更新

宮崎市北消防署の東分署。
車庫から出てきたのは、先月、市消防局が1億8000万円余りをかけて最新のものに更新した「高度救助車」です。

(宮崎市消防局高度救助隊 山下竜平主査)
「本県において発生が危惧される南海トラフ地震に対しても迅速に対応するため、最新の機材・艤装を施し、新たに整備されました」

この高度救助車、県内に導入されているのは1台のみ。
災害発生時には、県内各地に駆け付けるほか、県外で大規模な災害が発生した際にも出動します。

100種類を超える資機材

車両には危険な現場での活動を可能にする最新機材が・・・
こちらの「地震警報器」は、地震発生をいち早く、音とライトで知らせます。

(宮崎市消防局高度救助隊 菊永裕斗隊員)
「熊本地震でも持って行ってまして、その際に使用し、隊員の命を守る資機材となっております。」

また、車両には、100種類を超える資機材が備え付けられています。
(宮崎市消防局高度救助隊 菊永裕斗隊員)
「電源を押したら電気がつくので、これで開いていく」

車両を破壊したりはさまれた人を助けたりする時に使う油圧救助器具は、従来の、油圧ホースがつながれたエンジン式ではなく、扱いやすい最新のバッテリー式です。
(宮崎市消防局高度救助隊 安永大地隊員)
「現場に到着して、こちらのコードをとればすぐに現場に向かえるので、迅速な救出活動ができます。バッテリー式で作動するので、若干前のよりかは重くなってるんですけど、毎日鍛えているので・・・軽いです」

「高度救助隊」は精鋭部隊 記者が実感

高度救助車だけでなく、車両を運用する隊員たちも頼もしい存在。
「高度救助隊」は、宮崎市消防本部で高度な教育を受けている隊員14人による精鋭部隊です。

そして今回は、災害発生時にどのような救助活動が可能なのか、特別に再現してもらいました。
(長友幸生記者)
「私ががれきの中に閉じ込められたという想定で、音を鳴らしてみたいと思います」

救助活動で使うのが、小さな振動や音を探知する「地中音響探知機」。

(宮崎市消防局高度救助隊 安永大地隊員)
「この声が聞こえたら、声を出すか、近くのもので音をたてて反応をしてださい・・・検知器の反応みます」
記者が声をたよりに手が壁に触れる程度のわずかな音を立ててみると・・・

(宮崎市消防局高度救助隊 安永大地隊員)
「継続して音をたててください。
R2(センサー)での反応あり、菊永隊員については、音響センサーをR2付近に投入お願いします。」

振動センサーの1つが微細な音を確認。隊員が、音を感知した場所に音響センサーを入れます。
(高度救助隊・安永大地 隊員)
「今から高度救助小隊が救出に向かいます。もう少しの辛抱ですので頑張りましょう」

わずかな振動から埋もれた人がいる場所を特定するだけでなく、会話をすることもでき詳細な状況が確認できます。

また、小さい隙間があれば小型カメラで探索できる「画像探索機」という機材も備えています。
(宮崎市消防局高度救助隊 浮田準平隊員)
「先端の部分がこのように360度動くようになってますので、がれきの下などの狭い空間でも要救助者の方を捜索することができるようになっております」

救助の最前線で活動する最後の砦

困難な人命救助を可能にする高度救助車。
最新の技術とそれを操る隊員たちの情熱が県民の命を守ります。
(宮崎市消防局高度救助隊 橋口尚悟隊員)
「救助の最前線で活動する最後の砦ということを自覚し、諦めない心と妥協しない精神で、市民の生命人体財産を守っていきたいと考えております。」

※MRTテレビ「Check!」6月28日(水)放送分から