全日本人が絶句…日本人が全員「強制参加」させられている「ネズミ講」をご存知ですか

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老後の生活には、いくら必要になるのだろうか。

日本中に激震が走った「老後は2000万円が必要」という金融庁の報告書は、残念なから全くの現実である。

年金「最終警告」』は、絶対に知っておくべき年金の「嘘と本当」が書かれた必読書だ。

本記事では、〈年金の「真の世代間格差」は「5400万円」という「残酷すぎる現実」〉に引き続き、年金の仕組みについて、くわしくみていく。

※本記事は島澤諭『年金「最終警告」』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

世代別の勘違い

現在の日本の公的年金制度は、わたしの試算でも、国の試算でも、若い世代には、非常に不公平な制度であることがわかりました。

貰いすぎな高齢者世代からは「自分が払ったお金が戻ってきているだけだから問題ない」との反論の声が聞こえてきそうですし、払い損の若い世代からは「自分たちの老後はどうせ年金は貰えないのだから、保険料を払うだけ損」という嘆き節が聞こえてきそうです。

若者世代はともかく、高齢者世代は、ちょっと勘違いをしているようです。では、どこが勘違いなのでしょうか。それを指摘する前に、公的年金制度の財政方式の違いとその変遷についてみておく必要があります。

積立方式は銀行預金

公的年金制度の財政調達方式には大きく分けて、積立方式と賦課方式とがあります。 積立方式は、自分が支払った年金保険料が、国の口座にそっくりそのまま積み立てられていて、年金受給開始年齢に達すると、自分が払い込んだ保険料の総額に利子が上乗せされて給付される仕組みです。銀行預金のイメージですね。

なお、積立方式では、個人が積み立てたおカネを個人に返すだけなので、世代間での不公平は生じません。

みなさんは、ネズミ講を知っていますか?

ネズミ講は、1人のメンバーが2人以上のメンバーを勧誘して、あとから加入したメンバーが先に加入したメンバーに金銭を支払う組織です。もし、自分が最後のメンバーだとすれば、誰からもお金を受け取れないので、当然、そのネズミ講には加入しません。

つまり、ネズミ講が永続するには、メンバーが無限に増え続けなければなりません。しかし、人口は有限です。ですから、ネズミ講はいつか必ず破綻するのです。日本では、1978年に制定された無限連鎖講の防止に関する法律で、国がネズミ講を禁止しています。実は、賦課方式で営まれる公的年金も本質はこのネズミ講となんら変わるところはないのです。

具体的には、賦課方式は、当該時点の現役世代が負担した保険料が、高齢者世代の年金給付の財源として、そっくりそのまま横流しされる仕組みです。

したがって、この場合、若者人口が増え続けているときは問題ないのですが、若者人口が減り始めますと、より若い世代ほど不利になってしまいます。

日本の公的年金はネズミ講

戦後、日本の公的年金制度が再建されると、戦前と同様に積立方式で開始されました。でも、積立方式は自分が蓄えた保険料に利子がついて返ってくるシステムです。当然、保険料を積み立てていない限り年金は戻ってきません。

つまり、制度発足当初からすでに高齢だった人は、積立金を保有していないので、年金が支給されないことになります。こうした事態を回避するという実務的な理由から、当時の政府は、現役世代が支払った保険料を横流しすることで制度の欠陥を補ったのです。

その後、建前上は積立方式なのに、実際上は賦課方式で運営される修正積立方式によって、公的年金制度が運営されてきました。しかし、少子化、高齢化の進行、経済の低迷の長期化により、現在では計画的に積立金を取り崩す賦課方式で運営されているのです。

このように、現在の日本の公的年金は、賦課方式で運営されています。現役世代が高齢者世代を扶養しているので、国は、「世代間の扶けあい」と呼んでいます。

ただし、賦課方式の本質はネズミ講です。国が法律で禁止しているはずのネズミ講を主宰し、国民に強制参加させているのと同じなのです。

さらに、つづき〈知ったら全員青ざめる…「日本人が全員」買っている、「絶対に損」をする「金融商品」を知っていますか?〉では、具体的に年金がいくらもらえるのか、またその世代間格差についてくわしくみていく。

知ったら全員青ざめる…「日本人が全員」買っている、「絶対に損」をする「金融商品」を知っていますか?

老後の生活には、いくら必要になるのだろうか。

日本中に激震が走った「老後は2000万円が必要」という金融庁の報告書は、残念なから全くの現実である。そして若者や現役世代を中心に年金制度そのものに不信感が募っている。年金の支払額に世代間格差があるのは現前たる事実であり、その財源も20年から30年後には枯渇することが予測されている。

本記事では、具体的に年金がいくらもらえるのか、またその世代間格差についてくわしくみていく。

※本記事は島澤諭『年金「最終警告」』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

確実に損をする金融商品

みなさんは、「額面が100円で満期が来たら200円戻ってくる」金融商品Aと、「額面が100円で満期が来たら50円戻ってくる」金融商品Bがあったらどちらを選びますか?

もちろん、金融商品Aを選ぶでしょう。ミスミス損をして、大事な資産を失いたくないですからね。

では、誰かが、勝手にあなたに金融商品Bを押し付けてきたらどう思いますか?

損が確実な金融商品を押し付けられるわけですから、実に不公平だと思うに違いないでしょう。徹底的に抵抗しますよね。

でも、日本では、国が、国民に対して同じことをやっているのです。しかも、ある世代には金融商品Aを、別の世代には金融商品Bを買わせています。にもかかわらず、案 外、従順に受け入れられています。何を隠そう、公的年金制度のことなのです。

あなたはいくら年金が貰えるのでしょうか?

では、国が、「生まれた年(世代)」で、国民を差別的に取り扱っている証拠はあるのでしょうか?

現在の年金制度や経済状況、人口動向を前提として、0歳以上の世代について、95歳まで生きると仮定した場合、一人当たりの貰える年金額を機械的に試算した結果が図 1(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)の世代別会計モデルです。(※1)


図1。95歳まで生きるとした年金受給額(万円)

0歳1818万円、10歳1920万円、20歳2031万円、30歳2132万円、40歳2238万円、50歳2433万円、60歳2681万円、70歳3608万円、80歳4252万円、90歳4873万円です。(※2)

高齢者ほど貰える年金額が多く、若者ほど少なくなっていますね。つまり、世代間で不公平が発生しているのは明らかです。(※3)

例えば、1928年生まれで20歳手前で終戦を迎えた90歳と1998年のバブル崩壊後に生まれた20歳との間では、2800万円、2.4倍もの格差があります。

しかも、将来の経済や人口動向次第ですが、マクロ経済スライドの終了が、後ろにずれ 込めばずれ込むほど、若い世代の貰える年金額は減っていきます。(※4)