【ペロペロ少年以外は】「吉野家」「はま寿司」「資さんうどん」スシロー損害賠償訴訟を受けて、迷惑動画被害企業に対応を聞いた

迷惑動画で逮捕された容疑者2人

吉野家での迷惑動画で逮捕された容疑者2人

 今年1月から相次いだ飲食店への迷惑動画騒動で、ついに被害を受けた企業が動き出した。回転寿司チェーン「スシロー」の運営会社「あきんどスシロー」が、共用のしょうゆ差しの注ぎ口や湯呑みをペロペロと舐めた少年に対し、約6700万円の損害賠償を求めた民事訴訟を起こしたことがわかった。食への安心・安全を揺るがす行為に対し、企業が毅然とした対応をとるのは当然のことだろう。今回、週刊ポストは迷惑動画の被害を受けた企業に今後の対応を聞いてみた。

 民事訴訟を起こしたスシローは、女性客が「甘だれ」と書かれた店の備え付けの容器に、醤油のボトルを差し込んで混入している動画が拡散される被害も受けている。こちらについても“ペロペロ少年”同様、損害賠償を求めるのかと聞いたところ、「個別の状況について、お伝えさせていただくのは控えております」(広報課)とのことだった。

 ほかの企業はどうか。同業他社の「はま寿司」も2件の迷惑動画の被害を受けている。ほかの客が注文したとみられるレーン上の寿司に、勝手にわさびをのせる動画と、男子高校生がガリの容器に直接箸を入れて食べる動画がそれぞれ拡散された。前者は6月にSNSで拡散した10代少年が書類送検、後者は警察が男子高校生と動画を撮影した人物らに話を聞いている。運営する「ゼンショーホールディングス」の広報は、「現時点で民事訴訟を起こしていない」としつつ、「それぞれ刑事の判断を持って、対応を考える予定です」と、損害賠償請求の可能性を否定しなかった。

◆「賠償請求は予定していない」と言い切った企業

 九州を中心に展開するうどんチェーン「資さんうどん」では、男性客がテーブルの上にある天かすを共用スプーンで頬張る行為の動画が拡散されたが、こちらも「捜査の状況を見守りつつ判断したいと思っています」(広報)と民事での請求を否定しなかった。被害を受けた企業のほとんどが、警察の捜査や判断を待ってから民事での損害賠償を検討するという姿勢だ。

 しかし、「民事での賠償請求は予定しておりません」。こう言い切ったのは大手牛丼チェーン「吉野家」を運営する吉野家ホールディングスだ。

 吉野家では、共用の紅ショウガを自分で使った箸で食べる動画が拡散されていた。4月4日、威力業務妨害などの疑いでいずれも大阪市西成区の自営業・嶋津龍容疑者(35)と岡敏秀容疑者(34)が逮捕されている。紅ショウガを食べた嶋津容疑者は「みんなを笑わせたかった」、動画を撮影・SNSに投稿した岡容疑者は「紅ショウガを食べているのが面白かったのでSNSに動画を投稿した」と供述し、容疑を認めている。嶋津容疑者は元プロボクサーで、岡容疑者はバーを経営している。

 逮捕された両容疑者は成人で責任能力もある。犯行理由についても「笑わせたかった」「面白かった」と短絡的なものだ。吉野家も逮捕時には「普段、ご利用いただいているお客様に動画を見て、不快や不安な思いをさせました。外食全体の安全安心が問われるような大きなニュースになったことを大変遺憾に思っています。今後このようなことが起こらないように切に願っています」とコメントを出していた。それがなぜ民事での請求を見送る判断を下したのか。

 吉野家ホールディングスの広報は「理由については控えさせていただきます」と詳細については語らなかった。

逮捕された岡容疑者

逮捕された岡容疑者

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岡容疑者の経営するカレー店。大手グルメサイト上の評価

普通のカレーメニューを展開していた岡容疑者

普通のカレーメニューを展開していた岡容疑者

岡容疑者(SNSより)

岡容疑者(SNSより)

岡容疑者が提供していたカレーメニュー

岡容疑者が提供していたカレーメニュー

岡容疑者が提供していたカレー

岡容疑者が提供していたカレー