宮崎の「クラフトビール」が熱い! 事業拡大の動きに、世界最高峰の審査会で高評価のビールも

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小規模な醸造所の手作りビールを意味するクラフトビールに注目します。
宮崎県内にもクラフトビールの醸造所が多くありますが、中には事業拡大の動きや、世界的な審査会で賞を獲得した醸造所もあります。宮崎県内のクラフトビール事情を取材しました。

さまざまなビールがあり、味もそれぞれ個性があっておもしろい

宮崎市若草通りにあるビールバー「Beer Market BASE」。
国内外のクラフトビールを豊富にそろえていて多彩な味を楽しむことができます。さらに店は、市内に醸造所をもっていて、オリジナルのビールを味わうこともできます。

(客)
「さまざまなビールがあり、味もそれぞれ個性があっておもしろい」
「(クラフトビールは)素材などにこだわって作ってあるので、ほかのビールとは違い特別感があるので、そこが魅力」

(松田温郎さん)「ここがうちの工場です」
店舗と醸造所の代表を務める松田温郎さん(34歳)。
2018年からこちらの場所で、クラフトビールの製造を始めました。

(B.M.Bブルワリー 松田温郎代表)
「(クラフトビールは)こんなに多様性があるんだと思い、勉強する度に、知識を入れる度におもしろい」

「地ビール」と「クラフトビール」の違いは・・・

こうした少量生産のビールは、1994年の酒税法改正により製造が可能に。
当時は「地ビール」と呼ばれ、大きなブームを起こしました。

しかし、醸造所が乱立したことで、ブランドイメージが低下。
さらに、大手メーカーが価格の安い発泡酒を発売し、価格が高くブランド力のない地ビールは販売不振となり、ブームは終息します。

こうした反省を踏まえ、少量生産のビールは、手作りによる付加価値の高い「クラフトビール」としてブランドの再構築を図っています。
日本ビアジャーナリスト協会によりますと、全国のクラフトビール醸造所は、2017年の290か所から現在は705か所まで急増。
ブームが再来しています。

「そんな食材もありなんだ」と思わせることが僕らの責務

こうした中、松田さんは、他県の醸造所との共同開発やさまざまな副原料を用いた限定商品を販売するなどして、選ばれる商品づくりに力を入れています。
(B.M.Bブルワリー 松田温郎代表)
「きょうは、黒ビールに栗の渋皮煮を合わせる仕込みをしている。あと、毎年、大葉を使ったビールをリリースしているので、『そんな食材もありなんだ』と思わせることが僕らの責務であって、クラフトビールの魅力」

また、今年9月に醸造所を宮崎市清武町へ移転拡大させ、生産量を現在の10倍以上にまで増やす予定です。
(B.M.Bブルワリー 松田温郎代表)
「製造量がそもそも少ないので、それを補うために事業を拡大する。業界全体の底上げ、クラフトビールの消費量を増やしたいので、そういうこと(生産拡大)は必須だと思う」

ほのかなフルーティーさと切れ味「太陽のラガー」

一方、延岡市に工場がある宮崎ひでじビール。
去年、店舗と工場を増設してリニューアルし、これまでの3倍の規模の醸造が可能になりました。
(宮崎ひでじビール・醸造責任者 片伯部智之さん)
「これが地元・延岡の鉄工所で作ってもらったタンクですね」

宮崎ひでじビールの看板商品がこちらの「太陽のラガー」。
ジャーマンピルスナーという種類をベースにした酵母入りビールで、行縢山(むかばきやま)の軟水や無ろ過製法などにより、ほのかなフルーティーさと切れ味が特徴です。

(宮崎ひでじビール・醸造責任者 片伯部智之さん)
「食事にあわせてもいいですし、本当ビールだけでもおいしく飲めるというのが太陽のラガーの特徴で、本当、普通においしく飲めるビールになってます」

51か国1万以上の銘柄が出品する審査会で銀賞受賞

この「太陽のラガー」、先月、アメリカで開かれた世界最高峰の審査会で高い評価を受けました。

それが、51か国2376の醸造所から1万213銘柄がエントリーした「ワールドビアカップ」。

「ビールのオリンピック」とも呼ばれるこの審査会の無ろ過部門で、出品された88銘柄の中から銀賞に選ばれました。

(宮崎ひでじビール・醸造責任者 片伯部智之さん)
「僕たちがずっと思い入れのあるビールでしたし、ピルスナーというスタイルっていうのは、なかなか受賞できないという商品でもありますし。その中で受賞できたというのは、本当うれしいし、『やっぱり間違っていなかったんだな』っていうのが実感できて、本当、うれしいですね」

ひでじビールは去年、この大会の別の部門で、県産の和栗を使った「栗黒」が金賞を受賞していて、2年連続の快挙となりました。
(宮崎ひでじビール・醸造責任者 片伯部智之さん)
「ちょっと1回手に取って『これが世界の味なんだ』というのを確認していただければなと思います」

注目度が高まっている宮崎のクラフトビール。
作り手たちのこだわりが詰まっています。

※MRTテレビ「Check!」6月13日(火)放送分から