オスプレイ配備へ、佐賀空港で駐屯地新設工事始まる…対中国の南西諸島防衛強化の一環

 陸上自衛隊の輸送機オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、防衛省は12日、空港北西側で駐屯地を新設する工事を始めた。2025年7月までの完成を目指す。

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 駐屯地は約33ヘクタールの敷地に整備し、木更津駐屯地(千葉県)で暫定配備が続く機体を含むオスプレイ計17機のほか、 目達原めたばる 駐屯地(佐賀県吉野ヶ里町)のヘリコプター約50機も移駐させる。

佐賀空港(左奥)周辺に計画されている駐屯地の建設予定地に、工期を知らせる看板などを設置する作業員ら(12日午後3時54分、佐賀市で)=浦上太介撮影佐賀空港(左奥)周辺に計画されている駐屯地の建設予定地に、工期を知らせる看板などを設置する作業員ら(12日午後3時54分、佐賀市で)=浦上太介撮影

 建設予定地には12日午後、作業員ら数十人が入り、工期を知らせる看板などを設置した。一方、周辺では計画に反対する住民ら約10人が抗議活動を行った。

 オスプレイは、輸送ヘリと比べて最大速度が約2倍、航続距離は約3倍の能力を持つ。有事の際は離島の防衛作戦を担う陸自の「水陸機動団」の輸送任務などにあたる。佐賀空港は、水陸機動団が所属する 相浦あいのうら 駐屯地(長崎県佐世保市)から約60キロしか離れておらず、緊急時に迅速な対応が可能になる。

 防衛省は14年7月、海洋進出の動きを強める中国を念頭に、オスプレイの配備を佐賀県に打診。県は18年に受け入れ方針を表明したが、有明海で養殖ノリ漁を営む漁業者らの間で賛否が割れる事態が続いた。同省が追加の排水対策を示し、予定地の大半(約31ヘクタール)を所有する県有明海漁協は5月、同省への売却を決めた。

 陸自トップとして配備計画の策定に携わった元陸上幕僚長の岩田清文氏は、「南西防衛の中核を担う重要施設が着工したことで、計画は一つの結節を迎えた」と評価した。