南極と北極の氷、ぜんぶ溶けてしまったら?大都市の水没や国土消失も!?

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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』109話【全152話】

あらためて考えると、この地球(ほし)にまつわるさまざまなことは「知っているようで知らない」ことが多いのではないでしょうか…。
太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をお届けします。
思わず誰かに話したくなる理系ウンチクは、職場や家庭での日々の雑談に役立つかもしれません!
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。

南極と北極の氷、ぜんぶ溶けちゃったらどうなるの!?

南極は一面を氷で覆われた世界。地球上にある氷の80~90パーセントは南極に集中しているというが、あの氷が解けることはあるのだろうか。もし解けたとしたら、地球はどうなってしまうのか。
南極の氷は分厚く、その厚さは平均で2450メートル。もっとも厚い部分では4500メートルにもおよぶ。この氷は、何百万年もかけて降り積もった雪が解けることなく圧縮されてできたもので、とてつもない重さで南極大陸を押し下げている。そのため、南極は大陸といっても、その大部分は海面下まで沈下しているのだ。
氷が解けてなくなると、南極の地盤は数百メートル隆起し、海水面が上昇する。その影響は南極周辺だけにはとどまらず、地球全体の海水面がおよそ60メートルも上昇するという。当然、海沿いにある街は水没する。大都市も例外ではなく、ニューヨークやロンドン、カイロ、ベネチア、上海などが水面下になる。オランダは国土のほとんど全部、オーストラリアは国民の80パーセントが暮らしている地域を失うことになる。
日本では、東京23区が高層ビル以外水没し、東京オリンピックの会場地も海面下になる。ほかにも人口が集中している都市の多くが海の近くに位置しているため、主要都市は水没することになるだろう。
かつては、南極の氷が減ることはないと考えられていた。しかし、2002年には南極大陸の南米側にあるラーセン棚氷が崩落している。これは東京都の1.5倍にあたる面積の氷が7年ほどかけて崩壊したもので、地球温暖化の影響ではないかと懸念されている。
ちなみに、北極には陸地がなく、氷は海に浮かんでいるだけ。そのため、北極の氷が全部解けても海の水位はほとんど変わりがないという。