生成AIの著作権侵害を周知へ 適法と違法の境界

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生成人工知能(AI)を業務に活用する企業が増えている(日立製作所提供)

「チャットGPT」など文章や画像を自動で作り出す生成AIの活用について、内閣府や文化庁など関係省庁で検討する「AI戦略チーム」は15日、3回目の会合を開き、著作権侵害などについて議論した。日本の著作権法ではAIの学習目的で著作物を利用するのは法律違反に当たらないが、AIが生成した画像などを販売すると著作権侵害に当たる場合がある。これについて文化庁の担当者は周知・広報させる方針を明らかにした。

会合では、AIの学習・開発段階と利用段階で著作権に対する考え方を分ける必要があることが示された。日本の著作権法上は、著作権者の許諾なしに著作物をAIに読み込ませて学習させることは可能だが、生成した画像を販売する際に、既存の著作物との類似性や依拠性が認められた場合などは、著作権法違反となり刑事罰の対象となる可能性もある。仮に既存の著作物と知らなくても違反となり得る。

文化庁担当者はこの考え方が「まだ浸透していない」とし、今後関係者らを対象にしたセミナーを開催し、広く普及させることを目指すとした。

一方、デジタル庁と経済産業省、農林水産省は15日に開かれたAI戦略チームの会合で、チャットGPTに代表される生成AIを、機密情報を扱わない範囲で業務利用する意向を示した。チームは了承した。