その発想はなかった! 老後に毎月「年金プラス10万円」を無理なく“楽しく”稼ぐには「会社をつくる」が最善の方法である理由【専門家が解説】

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「人生100年時代」を迎え、老後の生活資金を「年金」だけで賄うのが困難になると予測されます。そこで重要なのが、老後、年金に加え「月々プラス10万円」の収入を得られるようにすることです。「ローリスク独立」や「シニア起業」等を通じた「収入の多角化」を提唱する副業評論家の藤木俊明氏が、著書『年金にあとプラス10万円を得る方法』(産学社)から「年金プラス10万円」の収入を得るためのノウハウを解説します。

本当に法人を作り、「ひとり社長」になる

◆もう一人の自分として法人を持つ

本当に会社を持ち、「ひとり社長」として活動する選択肢をお話しします。

会社を作るというと尻込みする人も多いかもしれませんが、副業からスタートして、定年後に備えて会社を作り、「法人」として仕事を請けていく準備をすることです。

「無理はしない」(ローリスク)という原則を守ることが第一で、決して上場を目指すような起業ではなく、副業をもう少し本格的に展開しようというイメージです。そして、大事なのは「シニア世代はひとり社長で無理なく楽しく働く」ということの実現です。

◆法人を作るメリット・デメリット

なぜ会社を作るのがよいのか? それは「信用を得る」ためです。法人にすることのメリットは、大きな企業や団体との取引が可能になることです。

会社員時代に培った経験や技術、よくなじんだ商流や人的ネットワークを活かして仕事をしていこうという場合、小さな法人を立ち上げるメリットは大きいです。

そして、一定の収入が入って来たときこそ、法人のメリットが発揮されます。自分は法人から給与をもらっているということにして、節税が可能になります。必要経費も落としやすくなります。

しかし、デメリットもあります。法人の立ち上げに費用がかかること、毎年法人税を支払わなくてはならないこと。消費税の支払いが生じることです(これは法人でなくてもかかってきますが)。

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それらの会計処理や申告を行なうためには、自分だけではむずかしく、税理士などの専門家と契約する必要も出てきます。

つまり、なんだかんだといろいろ手間や出費も増えるのです。事務所を構えたり、人を雇用したりすると、さらにいろいろな経費がかかってきます。

最初は、そういう本格的な起業は想定しません。可能な限り人も雇わず、「ひとり社長」として、レンタルオフィスやコワーキングスペースを利用し、固定費を最大限絞って運営する法人を目指すことにします。

もっと平たく言えば、年金生活になっても、「今日も行くところ(自分の会社)がある」って楽しくないですか?

法人の種類別の立ち上げにかかる経費

◆法人の種類とかかる費用は?

興味のある方のために、法人の種類とおおよそかかる費用、必要なものなどをまとめておきましよう。

これから「ひとり社長」として法人を立ち上げようと考えると、「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」が視野に入ります。もっとも一般的で、これから会社を大きくしていきたいというのなら「株式会社」でしょう。

おおむね30万円ぐらいの費用を準備する必要があります。その中で多くを占めるのが登録免許税で、できたら自治体の創業支援事業を受けて半額にしたいところです。

しかしもっと簡易に、ローコストで立ち上げられ、運用も容易なのが「合同会社」です。おおむね10万円ぐらいで設立可能とされています。

以前の「有限会社」的なものだととらえてけっこうです。もちろん、これも立派な会社法人であり、企業との取引にもまず問題なく、法人としての銀行口座が作れます。

「一般社団法人」も、法人として作ることができます。これは教室を開いたり、民間資格を発行するセミナー・教育関連ビジネスに向いた法人形態です。

こちらの設立は、12万円ぐらいを見込んでおいたほうがいいでしょう。そして手続きに必要なものは次の通りです。そして、それぞれ専門家に依頼した場合、5~10万円程度の代行手数料が必要になります。

「ひとり社長」副業の効用

◆副業が認められない会社で検討

定年後、「ひとり社長」としてやっていこうと心の中で考えている方には、会社員のうちに、「もう一人の自分」として法人を持つことをおすすめします。

つまり、会社員でありながら、別の会社の社長になるわけです。「そんなことができるのか」と言われそうですが、実践している人はけっこういます。副業が認められにくい会社でも、法人の社長になることは、まず制限されません。

自社の就業規則を確認してください。他社の従業員になることは禁止されているでしょうが、他社の株主や役員になることは禁止されていないことが多いでしょう。

たとえば、自分の家が代々地主で、形だけでも会社組織にして、不動産管理をしている場合があります。親から、「お前、名義だけでもいいから役員になってくれないか」と言われて就任し、問題が発生するとは思えません。

人事・総務部の親しい人に相談してみたらどうでしょうか。

ただ、現実的には別の法人から大きな報酬を得てしまうと摩擦が起きる可能性はありそうです。副業の所得(収入ではありません。収入から経費を引いた金額)が20万円を越えたら確定申告が必要となります。

確定申告すると住民税に反映され、そこから会社に判明します。シニア世代ともなると、会社に判明しても構わないとは言いづらい、摩擦を起こしたくないという人もいるでしょう。

在職中に法人を設立することのメリット

◆家族を巻き込むのもひとつの方法

会社の代表を奥さんにお願いして、自らは報酬を受け取らない方法もあります。そして定年退職後に合流するものです。

これは、まず会社が関知できません。実際、筆者が取材してきた人の中には、公務員や准公務員の立場の人がいました。そこでは法的に副業は認められませんので、定年前に、奥さんを代表取締役にして会社を立ち上げることにしたのです。

なかには、奥さんのほうが、経営の才能があることがわかり、合流してからも奥さんがそのまま代表取締役として会社を経営しているという人もいました。

自らは、会社で身につけた財務や法務の知識などを活かし、バックオフィスの仕事に専念すると決めたようです。それはとても幸せなことですよね。

定年後、旦那がずっと家にいるようになって奥さんの自由度がなくなり、夫婦仲が悪くなりがちというニュースをよく聞きます。

この「在職中に奥さんを代表取締役に法人設立、定年後合流」というスタイルであれば、そんな悩みはなく、夫婦共通の目的に向かって、ずっと一緒に歩んでいけるわけです。

もちろん、今度は会社の方針をめぐってもめるということもないこともないですが。

◆「ひとり社長」は目に見える滑走路

在職中に法人を設立することをおすすめするのは、定年退職の時期が来るのがわかっているのに、「何かしなくちゃ」と思いながらも、無為に日々を過ごすことを防止するためです。

みなさん、よくセミナーに行くし、勉強もします。でも、結局定年退職を迎えて、「何もしないまま」日々を過ごす人が多いのです。

法人という形を作ると、放っておけば経費も税金もかかるので、「何かせざるを得なくなる」からです。法人は「定年後に飛び立つための目に見える滑走路」です。

藤木 俊明

有限会社 ガーデンシティ・プランニング

代表取締役