新茶摘み取り最盛期、有機栽培で宮崎から世界へ

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機械で一番茶を摘み取っていった=2023年5月3日午後1時50分、宮崎市高岡町浦之名、平塚学撮影

宮崎県内で新茶の収穫が最盛期を迎えている。あまり知られていないが、近年はお茶どころに負けないよう有機栽培茶に活路を見いだす。海外でも注目されているという。

宮崎市内の西のはずれにある高岡町浦之名の一里山地区。山あいの集落に広がる茶畑には、色鮮やかな黄緑色の新芽が伸びていた。畑のあちこちで一番茶の機械での収穫風景が広がっていた。

 一里山茶業農事組合法人によると、一里山地区は10軒ほどが無農薬除草剤をまったく使わない有機栽培茶の生産に取り組んでいるという。

 今年の新茶の収穫が始まったのは4月下旬。5月20日ごろまでが一番茶で、新芽を摘んでから40~45日ほどで次の芽が生えてくると二番茶の収穫時期を迎えるという。

 組合の明神隆組合長は「有機栽培で一番大変なのが雑草の管理。人力を減らし、なるべく機械で雑草を取り除いていく。自然任せ、天候任せなので、こればっかりはしょうがない」と話す。

農林水産省によると、2022年産の県内の荒茶生産量は3千トン。静岡(2万8600トン)、鹿児島(2万6700トン)、三重(5250トン)に次いで全国4位だった。上位3県とは圧倒的な差があり、主産県の生産量6万9900トンのうち4・29%にとどまる。

 ブランド力も他県に比べ見劣りしてきたが、最近は事情が異なる。全国の有機栽培の茶畑の面積では県内は鹿児島、静岡に次いで3位に上昇し、全体の13%を占めるという。

 県によると、全国の有機栽培茶の栽培面積はお茶全体の1割に満たないが、県内は1割強。それを支えるのが、欧米を中心とした海外への輸出の増加だ。日本食ブームや健康志向の高まりで、日本のお茶の輸出は増加傾向。残留農薬基準を満たして安全な有機栽培茶は、海外のほうがニーズがあるという。

 明神さんは「体にもいい有機栽培茶はおいしさや香りが違うと言われる。海外からも注目され、作りがいがある。有機栽培の中でも高品質のお茶を追い求めていきたい」と話す。(平塚学)