英で70年ぶり戴冠式 秋篠宮ご夫妻ら世界の要人2000人出席

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チャールズ英国王の戴冠式を待つウェストミンスター寺院=ロンドンで2023年5月6日、AP

 昨年9月に死去したエリザベス英女王の後を継ぎ、新国王に即位したチャールズ3世(74)の戴冠式が6日午前11時(日本時間同日午後7時)、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた。日本の秋篠宮ご夫妻ら世界の要人約2000人が出席し、新たな君主の時代の始まりを改めて祝福。英君主の戴冠式は、1953年のエリザベス女王以来70年ぶりとなる。

 戴冠式は君主が王冠を授かる宗教的儀式。英国国教会の最高位聖職者であるカンタベリー大主教の手で、チャールズ国王の頭に王冠がのせられた。カミラ王妃(75)も別の冠を授かった。

 式典には秋篠宮ご夫妻のほか、ジル・バイデン米大統領夫人、マクロン仏大統領ら各国の王族や国家元首らが出席した。

 戴冠式はかつては王位に就いた人物の「正統性」を国内外に示す狙いがあったが、「現在は儀式的なイベントになっている」(ロイター通信)という。昨年9月に母エリザベス女王が死去した時点で王位継承順位1位だったチャールズ皇太子(当時)は自動的に新国王に即位しており、今回の式典はあくまで象徴的な意味合いにとどまる。英BBC放送などによると、同寺院での戴冠式はイングランドでノルマン朝を創始したウィリアム1世が1066年に行って以来、一部の王を除いて歴代君主が実施。チャールズ国王で40人目になるという。

 国王は1948年11月生まれ。ケンブリッジ大学入学後、王室の伝統として軍務にも就き、空軍でパイロットの訓練を受けた。皇太子時代の81年にダイアナ元皇太子妃と結婚。長男ウィリアム王子(現皇太子)、次男ヘンリー王子が生まれたが、96年に離婚。ダイアナ元妃は97年に事故死した。その後、長年不倫関係にあったカミラ夫人(現王妃)と2005年に正式に結婚した。

 英メディアによると、国王は記録的な物価高に苦しむ国民に配慮する形で、今回の戴冠式を「簡素化」するよう希望したという。70年前の戴冠式で約8000人だった出席者は、今回は約2000人まで削減。式典後にバッキンガム宮殿まで馬車で戻るパレードの距離も大幅に短縮された。

 一方、英国内では王室廃止論も根強く、6日にはロンドン中心部などで抗議デモも実施された。テロや大規模デモを警戒し、英治安当局は2万9000人以上の警官を動員した。【ロンドン篠田航一】